欧州

2016年6月27日

【三橋貴明】ブレグジット

From 三橋貴明

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【耳寄り情報】

「第四次産業革命」と聞くと、ドイツの「インダストリー4.0」が連想されるかもしれない。

だが、日本で進んでいる「第四次産業革命」はドイツの「インダストリー4.0」とは似て非なるものである。日本の「第四次産業革命」はサービス業に携わる人々の仕事を楽にし、生産性を飛躍的に高めることが目的だ。ドイツのものは人を排除する産業革命なのに対し、日本のものは人に寄り添い、人を助ける産業革命なのである。

特に介護業界や土木・建築業界、運送業界などで、働く人々の作業を楽にするさまざまなアイテムが実用化されつつある。

この「第四次産業革命」の進展を現場取材を通して見つめてきた三橋貴明が、第四次産業革命が日本経済、世界経済に与えるインパクトについて解説する。

「そもそも産業革命とは何か」そして、
「政治目的で利用しようとする不穏な動き」とは・・・?
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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【今週のNewsピックアップ】
イギリス国民投票とグローバリズム
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12173823800.html
ブレグジット以降 前編
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12174156765.html

日本のマスコミは、例によりまともに報じようとしませんが、今回のイギリスのEU離脱国民投票における離脱派の勝利は、グローバリズムに対する反発です。
厳密に書けば、「グローバリズムによる主権喪失」に国民が耐えられなくなった結果、離脱派の勝利に至ったのです。

グローバリズムとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化するという発想です。厳密には、自由化することで「経済が成長する」という考え方になっています。
とはいえ、モノ、ヒト、カネの移動を自由化するか否かは、各国の主権の問題です。時の政権が「規制する」と判断すれば、グローバリズムは成立しません。

だからこそ、「国際協定」でグローバリズムを固定化するという手法が生まれたのです。国際条約は国内法の上位に立ちます。国際協定でグローバリズムを定めてしまえば、民主主義で覆すことすら困難になります。

すなわち、EUやユーロなど、各国国民の主権を制限する協定に参加している国では、国民が自国の政策を決めることができません。
今回のイギリスで言えば、EUから流入する移民(主に東欧諸国からの移民)を制限することは、EUに入っている限り不可能なのです。

勘違いしている人がいますが、イギリスはシェンゲン協定を批准していません。そのため、イギリス入国時の「パスポートのチェック」はあります。

だからと言って、EUからの移民流入を制限することはできないのです。EUの「憲法」たるマーストリヒト条約には、
「労働者は連合内を自由に移動する権利をもつものとする」
という文章があります。EUに加盟している限り、イギリスは欧州(特に東欧)からの外国人労働者の受け入れを制限、規制することは不可能です。

さて、上記の主権喪失に加え、「デフレーション(厳密にはデフレ化)」という問題が重なってきます。
イギリスは2008年ごろに不動産バブルが崩壊し、直近のインフレ率は0.1%。明らかに、経済がデフレに向かっています。

もっとも、イギリスの失業率はそれほど高くない(5%台)のですが、日本同様に実質賃金は08年以降に下がり続けています(日本は98年から下がり続けていますが)。

さらに、最低賃金(400円程度)で働かざるを得ない「実習生」が、100万人近くも存在します。イギリスはバブル崩壊後に緊縮財政を実施し、日本と実に似た状況にあるのです(失業率は低いが、実質賃金が下がり続けている)。

こうなると、好況期には問題にされなかった「外国人労働者」「外国移民」の問題がクローズアップされざるを得ません。イギリスの労働者階級、あるいは失業者達は、

「自分たちが貧しいのは、外国移民のせいだ」

と、外国移民を敵視し始めます。そして、大変残念なことに、彼らの指摘は正しいのです。

三橋も経営者の端くれですが、我々経営者が、なぜ外国人労働者(外国移民)を雇うのか。給料が安く済むからに決まっています。他に理由は、一切ありません。

というわけで、ヒトの移動の自由化というグローバリズムが進み、更に「経済のデフレ化」が発生すると、国家はネイティブな国民と、外国移民及び彼らの支援者に分断され、衝突が繰り返されることになるわけです。

上記は、国民が「豊かになりたい」という希望を持っている限り、決して避けられない現象です。

今回のイギリスの「ブレグジット」の本質を理解すれば、日本で、
「成長を確保するには、(外国人労働者を受け入れ)労働力を増やしていく以外に方法はない(木村参議院議員)」
などと言っている連中が、どれほど「とんでもない」かが理解できるはずです。

ーーー発行者よりーーー

「第四次産業革命」と聞くと、ドイツの「インダストリー4.0」が連想されるかもしれない。

だが、日本で進んでいる「第四次産業革命」はドイツの「インダストリー4.0」とは似て非なるものである。日本の「第四次産業革命」はサービス業に携わる人々の仕事を楽にし、生産性を飛躍的に高めることが目的だ。ドイツのものは人を排除する産業革命なのに対し、日本のものは人に寄り添い、人を助ける産業革命なのである。

特に介護業界や土木・建築業界、運送業界などで、働く人々の作業を楽にするさまざまなアイテムが実用化されつつある。

この「第四次産業革命」の進展を現場取材を通して見つめてきた三橋貴明が、第四次産業革命が日本経済、世界経済に与えるインパクトについて解説する。

「そもそも産業革命とは何か」そして、
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