日本経済

2025年12月15日

【三橋貴明】消費税は直接税なのか、間接税なのか

【今週のNewsピックアップ】
税金という名の債務
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12949695677.html
直接税と間接税
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12949911148.html

そもそも、税とは何なのか?

税という漢字は、
禾に兌の組み合わせでできています。
禾はご存じの方が多いでしょうが、
穀物の実り。
そして、兌は、脱。
剥ぎ取るという意味もあります。

つまりは、税とは
「実った穀物を剥ぎ取る」ことなのです。

そして、
税がどうやって我々の実り(所得)を
剥ぎ取るのかと言えば、

1.税法で課税対象者
(課税物件が帰属する者)
を定める

2.税法で
課税対象者に租税債務を付する
(国家が租税債権を有する)

これだけです。

税金とは、
「対価」無しで、
課税対象者に国家から課せられる
「債務」なのです。
しかも、
別に借りたわけではないにもかかわらず、
発生する債務です。

課税対象者に課税物件が帰属すると、
自動的に債務が生まれます。

反対側の国家は債権者。
法律により税金という債務を
課せられた我々は、
対価無しで特定金額を「納める」ことで、
租税債務から解放されます。

これが、税金の正体なのですよ。

重要なのは、
「誰」が課税対象者(つまり債務者)で、
「何」が課税物件なのかですね。

入湯税の場合、
課税対象者は温泉客。
課税物件は「入湯」になります。
つまりは、我々は温泉に入る際に、
入湯税という「債務」を負わされたことになる。

というわけで、
入湯する際に入湯税を納め、
債務を弁済する。
もっとも、
いちいち温泉客が税務署に行って
入湯税を納めるわけにはいかないので、
温泉事業者が特別徴収義務者として、
「みんなの入湯税を集めて、
まとめて税務署に支払う」
という役割を担わされているわけです。

温泉事業者が受け取る入湯税は、
完全に「預かり金」になります。
何しろ、自分の財産ではない。
温泉客が納めた入湯税を、
仲介者として預かっただけなのです。

それに対し、
消費税の課税対象者は「事業者」。
課税物件は「資産の譲渡等」、
つまりは「売上」です。
(消費税法にそう書いてある)。
売上という課税物件が生じた時点で、
事業者は消費税を納めなさい。
何しろ、売上が生じた時点で、
事業者は
「消費税という債務」を負うことに
なるのですから
(本当にそう)。

入湯税の租税債務者は入湯客。
消費税は事業者。

租税債務者であれば、
まさに税金は課税物件が
帰属する者の「債務」。
しかも、
別に借りたわけではないにもかかわらず、
設定(創出)された債務が税金となります。
定義は明確。頭にくるほど明確です。

誰が、税務署に納めるかは、どうでもいい。
租税「債務」を負う者は、
消費税は事業者であり、
入湯税は入湯客。
但し、実際に税務署に納めるのは、
消費税は事業者。
入湯税は「温泉事業者(特別徴収義務者)」です。

つまりは、
消費税は租税債務者と税務署に納める人が同一。
だから、直接税。

入湯税は、
租税債務者と、
税務署に納める人が異なる主体。
だから、間接税。

↑これならば、直接税、間接税の定義が
明確になります。

ところが、
日本政府
(というか財務省、あるいは国税庁は)、
「直接税と間接税の区分は、
転嫁有無によって説明される」
というパラメータを追加しているのです。
価格に転嫁できるならば、間接税だと。

転嫁できれば、間接税。
転嫁できなければ、直接税。

いや、ちょっと待てっ! 
転嫁とか、そもそも関係ないだろ!

「租税債務者が誰なのか?」は、明確です。
租税債務者が直接、
税務署で納付しているなれば、直接税。
それに対し、
租税債務者(入湯税ならば入湯客)が
特別徴収義務者(温泉事業者)経由で
納めているならば、間接税。

これには、一切の揺らぎがない。

そこに「転嫁」という概念を持ち込んでしまうと、
「ふわっ」とするでしょ。
そりゃまあ、消費税が増税され、
そのまま価格に転嫁する企業もあるでしょ。
でも、そうではない企業もある。

その種の現実は無視して、
「転嫁できるから、消費税は間接税」と、
政府は主張しているわけです。

もういい。面倒くさい。
消費税が直接税か、
間接税かの議論はやめよう。
どうせ、あいつら抽象的なレトリックを振りかざし、
思考停止に追い込もうとしてくるだけ。

消費税は、粗利税。
何しろ、課税売上から課税仕入を
差し引いたところに課せられるから。
消費税の課税物件は「売上」ですが
(そう消費税法に書いてある)、
課税「仕入」分の控除は認められている。
つまりは、粗利税。

我々は、人件費を粗利から支払う。
ということは、消費税は賃上げ妨害税。

直接税、間接税の議論をしても良いけど、
何しろ「転嫁の可否」を持ち出し、
定義を曖昧にされてしまったので、面倒くさい。

もう「消費税は粗利税。故に賃上げ妨害税」で
突き進むべきだと思ったのですが、
皆さん、いかが思われました?

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