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2024年4月24日
【藤井聡】「アメリカ大統領スピーチライター」によって、その骨子が作り上げられた岸田演説。それは「アメリカが日本を搾取することを日本側が確約する」という巨大な禍根となった。
岸田さんのアメリカの上下院合同会議での演説は、「アメリカが世界戦略でやろうとしている事について日本は全面的かつ無尽蔵にオカネを払い続けるということを約束するというとんでもないものだ」ということを、以前下記記事にて解説さし上げました。
なぜそうなるのかというと、岸田さんは、その演説をとおして、次のようなことをアメリカの議員全員に対して勝手に約束してきてしまったからです。
1)アメリカが絶対正義であり、世界の秩序を「一人」で守っている。
2)その絶対正義であるアメリカは今、苦しんでいる。
3)でも、僕(日本)はアメリカの最大の友人だ。アメリカよ、君は一人じゃない。
4)僕は君のグローバルパートナーとして、世界中で君がやろうとしている事全てについて全力でサポートするよ。
こんな事いわれれば、そりゃもうアメリカ人は十何回もスタンディングオベーションで、拍手喝采するくらい、大喜びとなるのも当たり前です。何と言っても青天井でいくらでもおカネ出してあげる、っていうことを一国の総理が言ったわけですから。
ですがそもそもアメリカの正義と日本の正義は完全に一緒じゃ無いのですから、「アメリカよ、君は一人じゃない。」なんて言うべきじゃないのです。助けてやるときもあれば、助け船を出さないことがあってもいいし、場合によっては対立することもある、というのが、独立国同士の「大人」の関係なのです。
にもかかわらず、上記3)の「アメリカよ、君は困ってるかもしれないが、君は一人じゃない。僕がいるよ」なんて言ってしまえば、もう、無尽蔵にアメリカを助けなければ、ならなくなるのです。
愚かとしかいいようがありませんが、ここまで言うということは、兎に角岸田さんは、「アメリカの議会で大受けにするにはどうしたらいいだろう?」と考えて、演説内容を調整したんだと考える他に、合理的な説明はつきません。まるで、お笑いイベントで客にどうやったら受けるかだけを考えてネタを仕込んできたお笑い芸人の様な話しですが、それを一国の総理が外国議会でやっちゃったんですから、文字通り「洒落」になりません…
それが証拠に、岸田さんは、この演説内容を決めるにあたって、驚くべき事にアメリカの大統領のスピーチライターに演説内容を相談していたそうなのです!
『岸田首相の演出支えた陰の脚本家、ロナルド・レーガン元大統領のスピーチライター 米国で高評価の議会演説と晩餐会スピーチ』
https://www.zakzak.co.jp/article/20240423-TNVPT2FWIBM6LD4YARUTK5UJWM/2/
『岸田総理アメリカで演説。青木氏「スピーチの内容も相当練り上げて作ったそうです」』
https://www.joqr.co.jp/qr/article/122001/
さすがに下案は、(上記記事によれば)日本の外務省の北米局が書いたと言われていますが、それに対して、米国ライターに散々「赤」を入れてもらったようなのです(岸田さんが赤を入れた、というような記事になっていますが、その岸田さんが米国ライターにアドヴァイスをうけていたわけですから、事実上、米国ライターが赤を入れたという話しです)。
ちなみに、外務省北米局は、国益というよりもむしろ、日米関係を良好にすることだけを専門に考える部局ですから、そもそも対米従属的な下案であった筈ですが、その対米従属性が、アメリカ大統領のスピーチライターによって、純度100%の代物に純化したわけです。
例えば上記記事の青木氏によると…「大統領のスピーチライターの経験もある人を雇って、スピーチの内容も相当練り上げて作ったようです」とのこと。
ホント酷い話ですが…例えばどういうところがアメリカ大統領のスピーチライターに書いて貰ったかというと、次のようなことが解説(暴露?)されています。
『日米関係専門家が指摘するのは、議会演説の「米国は独りではない、日本が共にいる」と…の表現とエピソードである。(こ)の表現は心底米国人が好むもの』
つまり、日本が無尽蔵にカネ(そして法律が許す限りヒトと組織)をアメリカに出し続けなければならない最大のポイントである、
「3)でも、僕(日本)はアメリカの最大の友人だ。アメリカよ、君は一人じゃない。」
という点が、アメリカ人自身の手によって書かれたわけです!
これは要するに次のような話しです。すなわち…
『岸田さんは、日本の国益の事に何も配慮せずにただただどうやれば、アメリカ人が喜ぶかだけを考えていた。
で、アメリカ側は、「こいつ、何でも言うこと聞くぜ…ホント何も考えてないバ○だなぁ…」とばかりに、そんな岸田さんにつけいって、日本を、徹底的に搾取される状況に追い込む約束を、岸田さんの口を通して、米国議会全員に対して言わせた。』
ここまで酷い外交を私は見たことも聞いたこともありません。
そして恐るべき事に、この演説が「米国で大いに受けた!」っていう表面的な現象だけをとらえ、多くの日本人に絶賛されているわけです。
なんと愚かな話なのでしょう…これからこの演説、そして、その演説にそったこれからの「外交」を通して、「異次元の搾取」が行われる巨大なリスクに彼らは、そして岸田本人も全く頓着していないのです…。
せめて本メルマガ読者だけでも、これがどれだけ日本人として情けない酷い話なのかを、そして、この途轍もない「禍根」を、如何にすれば乗り越えられるのかを全力で考えねばならないのだということを…しっかりとご理解いただきたいと、思います…。
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