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日本経済

2023年10月10日

【室伏謙一】消費税減税提言は「ガス抜き」でも「選挙目当て」でもない

 先日、10月4日、自民党の責任ある積極財政を推進する議員連盟が、経済対策及びその裏付けとなる補正予算に関して提言を発表しました。その名も「我が国が「明日は今日よりよくなると誰もが感じられる国」となるための総合経済対策・補正予算編成に向けての提言〜真水20兆円規模の補正予算を求める〜」。その詳細については同議連の公式サイトから提言本文でご確認いただくこととして、その中に、物価安定目標2%が安定的に達成されるまでの間、消費税率を5%に引き下げること、というのが記載されています。

 このことについて、報道各社の第一報は比較的事実を淡々と報じたのですが(もちろん肝心なこの減税部分を書かずに報じたところもありましたが)、その後、SNS等では、「そんなものはガス抜きに過ぎない」とか「自民党の議連が減税と言っても実現はされないのだから信じない」とか「解散総選挙を前にした選挙目当てで書いているのだ」といった匿名の書き込みが雨後の筍のように出てきました。

 いくら自民党の議連だと言っても、岸田政権は財務省ベッタリ政権であり、「増税メガネ」(最近では岸田総理自身の「発案」で「増税レーシック」というのも加わったそうですが)が、増税こそすれ減税などするわけがないと、一般国民が考えてしまうのも無理はないですし、実際、消費税減税は、消費税とは何者か?ということについて政府は国民に対して嘘をつき続けてきた手前、そう簡単に「実は一般財源なので減税しても問題ないのでしたぁ」などとは言えないでしょう。

 しかし、消費税が一般財源であり社会保障の財源ではないことや、そもそも税は財源ではない、少なくとも政府は税収を前提として歳出をしているわけではない、税収と歳出は無関係である、国債は借金ではないといった事実が、徐々に一般国民の間に浸透してきており、その数・範囲は、数年前と比べて格段に増えてきています。つまり、国民の側が政府の嘘に気づき始めているということです。

 これは粘り強く、繰り返し、継続して減税の必要性や税とは何か、財政の役割とは何か、国債とは何か、更には貨幣とは何かといったことについて、説明し、発信してきた、その結果、成果に他なりません。その継続してきた努力を今止めてしまったら、元の木阿弥です。

 今回の消費税減税提言は、もちろん今回の経済対策における実現を目指したものには違いありませんが、同時に数年先も見据えた、中期的な視点にも立ったものであるということを皆さん覚えておきましょう。

 その心は、と言えば、消費税減税は勿論のこと、財務省がインボイスの導入を経て目論んでいる消費税増税の阻止でもあります。

 継続は力なり、皆さん消費税や税、そして財政をめぐる事実関係を是非一緒に、もっともっと広めていきましょう。

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