日本経済

2022年5月9日

【三橋貴明】財務省もなかなか大変ですなあ

【今週のNewsピックアップ】
財政破綻論・緊縮財政派のバリエーション
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12740880640.html

財務省の個人向け国債販売の「怪」
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12741054355.html

経済評論家の塚崎公義が、
実に面白い「緊縮論」を唱えていました。

何でも、日本は少子化で人手不足が深刻化し、
増税しても不況にならないそうです。

というわけで、
増税で「国の借金」を返済すれば、
破綻しない(笑)。

塚崎のレトリックが面白いのは、
「財政破綻」については否定している点です。

その上で、財政破綻しない理由について、
「少子化で増税できるから」と、
結局は緊縮論を唱えているわけですね。

財務省としては、
日本が財政破綻しようがしまいが、
財政破綻論者がどうなろうが、
どうでもいい話でしょう。

財務省が望むのは、あくまで「緊縮財政」です。
緊縮が推進できるのであれば、
財政破綻論については
否定しても構わないわけですね。

さて、その財務省ですが、
コロナ禍で対面販売が困難になり、
個人向け国債の販売に苦労しています。

財務省は2003年、
「販売先を機関投資家以外にも広め、
安定的に国債を消化する」という目的(?)で
個人向け国債の販売を始めました。

矢野康治・財務事務次官が
「日本は財政破綻する」と叫んでいる反対側で、
財務省は、
「元本割れしないことや0.05%の最低金利保証がある」
ことを「魅力」「売り」として、
国債を個人に販売しているのでございます。
なかなか、大変ですね。

この矛盾あるいは不整合も面白いのですが、
それ以上に興味深いのは、
「日本国民は銀行預金という貨幣で、
個人向け国債を買う」という点です。

1997年のデフレ化以降、
日本国内の経済主体で、
貨幣(銀行預金)を国民に供給しているのは、
政府の国債発行です。

【金融機関、非金融法人企業、
一般政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】

http://mtdata.jp/data_78.html#shikinkabusoku

図の通り、デフレ化した日本では、
非金融法人企業は常に
資金過剰が続いています。

つまりは、「お金を借りる」よりも
「お金を返す」方が多くなっている。
(=銀行預金という貨幣を消している)

銀行預金は、
1. 企業(あるいは家計)が
銀行からお金を借りる
2.政府が国債を発行し、支出する
ことでしか創出されません。

現在の日本は、1が機能していない。
というわけで、海外部門を除くと、
政府の国債発行と支出
(要は財政赤字、図の資金不足)のみが、
新たな銀行預金を創出しているのです。

つまりは、財務省は国債発行で国民に
銀行預金が供給されているにもかかわらず、
「安定的な国債消化のために、
国民に銀行預金で国債を買ってもらう」と、
個人向け国債を販売しているのです。

安定的に国債を消化するために、
国民の銀行預金で買ってもらおう。
その銀行預金は、国債発行により
供給されたんですけどね。
というわけです。何が何だか。

要するに、貨幣のプール論なのですが、
そもそも国債は「日銀当座預金」で
売買されており、
「安定的な消化」云々は日本銀行、
あるいは「マクロ経済政策」の問題です。

それにもかかわらず、
「国民の預金で国債を買ってもらう」ことを
目的に個人向け国債を販売しているわけで、
結局のところ財務官僚は「貨幣の因果関係」を
理解していないとしか思えないのです。

「銀行預金⇒国債発行」ではなく、
「国債発行⇒銀行預金」が
正しい因果関係なわけですが、
改めて貨幣のプール論という
「人類の勘違い」は根深いことが、
財務省の個人向け国債販売からもわかります。

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「食団連発足と
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(前半)三橋貴明 AJER2022.5.3
https://www.youtube.com/watch?v=ucv7Aj6_o6g

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【三橋貴明】財務省もなかなか大変ですなあへの1件のコメント

  1. とすくん より

    財務省はわざと馬鹿なふりをしているんでしょうか?何がしたいのかさっぱり解りません。

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