政治

日本経済

2022年3月31日

【藤井聡】「竹中氏との対談」で、何が明らかになったのかを、解説します。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

先週末の「東京ホンマもん教室」のゲストは竹中平蔵さん。
https://youtu.be/fZiaVetk-HM?t=987

今回は、
「PB目標は必要か、不要か?」
に加えて
「今の日本に、新自由主義的『規制緩和』は、必要か不要か?」
の二点について、25分にわたってタップリ討論しました。

いずれにしても、今回の対談は、しっかり竹中さんのお話をお聞きし、当方が感じる疑問を一つ一つ指摘して差し上げるというタイプの議論となりました。当方個人としては、竹中氏の議論には大いに疑問を感ずるところが多々ありました。

ついてはこの対談での竹中氏の議論を以下に解釈すべきなのかについては、下記にて公表しておりますので、是非、ご一読頂ければと思います。

『竹中平蔵氏とのTV対談が示す新自由主義の「ヤバさ」の本質』
https://foomii.com/00178/2022032713435092639

ただし、今回の目的は、

「竹中氏を論破する」

ことではありませんでした。

何と言っても、論破するには、論破される側に「誠実性」が無ければ不可能だからです。不誠実な人間は、「ああ言えば上祐」の言葉通り、のらりくらりと口先三寸でかわし続けることなどいとも容易くできるのであり、したがって、論破は不可能なのです。

したがって、今回の当方の目的は、

「竹中氏と時間の限りできるだけ誠実に議論し、それを国民に見て貰い、竹中氏が主張が正当なのか否かを、国民各位にご判断頂く」

こととしていたわけです。

したがって、当方は、この竹中さんとの対談を一般の方々がどう評価したのかに、大いに関心を寄せていたのですが……多くの視聴者の方々も当方と同様、竹中氏の議論に疑問を感じておられたようでした。

その様子が、このYouTube動画のコメント欄にて垣間見ることができます。

ここでは、コメント選定の恣意性を排除する趣旨にて、コメント欄の「上から5つ」を機械的に列挙してみましょう。

1位:(298いいね)
『竹中さんの「自分のことを棚に上げた既得権益者批判」は、ほんとすごくて感心するわ。竹中さんが一番の既得権益者やん。』

2位:(183いいね)
『竹中平蔵さんは基本的に本当のことや事実ベースで語りつつ少しのウソを混ぜて論理をコントロールするのが本当に上手いですね。今回の場合「規制緩和=経済活性化」というのが決定的なウソ(または意図的な誤解)ですね。正しくは「規制緩和が経済を活性化する局面もある」です。』

3位:(149いいね)
『竹中が日本経済をいかに壊したかよく分かる動画でした(怒)』

4位:(141いいね)
『自分の既得権益を守る為、必死の形相竹中平蔵の欺瞞が満載の対談であり大変に参考になりました。』

5位:(62いいね)
『日本愛を感じられない竹中さんということを改めて実感した。相手の話を最後まで聞かない姿勢はとても嫌な感じがしました。』

なお、この5つのコメントの主旨を、一つの文章にまとめると、次の様なものとして整理することができるでしょう。

「竹中氏は、お国のためでなく、自分自身の既得権を守るために、マトモに議論せずにウソを織り交ぜて、「規制緩和=経済活性化」というウソ話を世間にはびこらせ、それによって、日本経済が壊されてしまった」

この印象は、当方の印象と大いに重なるものであります。

例えばこの皆さんの印象の根幹にあるのが、「規制緩和=経済活性化」というのがウソ話かどうか?という点ですが、これはもちろん、ウソ話です。

規制緩和しても良いときもあればダメな時も有ります。とりわけ一般論で言うなら、今は供給過多のデフレ状況ですから、そんな状況でいろいろな規制を緩和すれば、必然的に供給力が上がってしまって、供給過多がさらに加速します。そうなればもちろん、デフレが加速するのですから、「規制緩和=経済活性化」というのはウソ話と言わざるを得ないわけです。

ただし……竹中さんがおっしゃった話の中で、当方が激しく問題だと思ったのが、PB目標は必要なんです、という点を、特に根拠無く全く譲ろうとしなかった点でした。何をいってもこの点を譲ろうとされなかったので、PBに関してはまともな議論が難しいのではないかと感じました。

さらには、規制緩和を進めることで実現しようとする「竹中氏の理想の未来」は、伝統も文化も芸術も、さらには、人と人がふれ合う社会というものが何も無い無機質でつまらない、ただただ経済的な効率性だけがある世界だ、という点が明らかになった、という点も、今回の議論の大きな成果であったと感じています。

確かに、そういう世界を理想だと考えれば、規制緩和をどんどん進めりゃ良い、という竹中氏の議論が正当化されることになるのだなぁ、ということを、ある意味、納得いたしました。

ですが、そんな世界を喜ぶ竹中氏以外の人など、ほとんど誰も居ないでしょう。

いずれにしても、そうした当方の竹中氏の議論の評価の詳細については、先に紹介した
『竹中平蔵氏とのTV対談が示す新自由主義の「ヤバさ」の本質』
https://foomii.com/00178/2022032713435092639
にて詳しく解説してありますので、是非、ご一読頂ければと思います。

では、また来週!

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【藤井聡】「竹中氏との対談」で、何が明らかになったのかを、解説します。への3件のコメント

  1. タケナカ ナニガシ より

    彼の お顔を拝見すると

    マスクを取った プレデター
    を 連想

    ヒトも社会も 骨抜きにして
    血祭りに あげる

    性格の悪さが 顔に出る

    アアイフ モノニ ワタシハ ナリタイ

    返信

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  2. 日本晴れ より

    >竹中氏の理想の未来」は、伝統も文化も芸術も、さらには、人と人がふれ合う社会というものが何も無い無機質でつまらない、ただただ経済的な効率性だけがある世界だ、という点が明らかになった、という点も、今回の議論の大きな成果であったと感じています

    竹中氏は本当にニヒリズムな人間だなと思いました
    そりゃこんな人に経済政策を任せればおかしくなるわなと

    返信

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  3. mudiko budio より

    平蔵さん、藤井先生から免罪符貰いたくて要所で媚を売ってましたな。ずる賢い奴。「我は新自由主義の旗振りに非ず」とは、どの口が言わせるか。

    返信

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