日本経済

2020年5月1日

【藤井聡】緊急事態が一月伸びた今こそ、落ち着いて「出口戦略」を考え始めましょう ~キーワードは「半自粛」~

From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

GW空けまで、と言われていた緊急事態が、さらに延期になってしまいました。感染が広がっている13都道府県とそれ以外をどう分けるか未定らしいですが、まだまだ「8割自粛削減」は要請され続ける事になりました。

そんな事続けてると、経済はボロボロ。ここで給付、補償でもありゃぁまだマシですが、それもチョロチョロの予定。結果、倒産が相次ぎ、自殺が増えることは避けがたいでしょう。

97年増税でデフレになった事の帰結として、20年累計で14万人くらい自殺者数が増えたのですが、今回もきっとそうなるだろう・・・と思いつつ、改めて計量経済分析を行ったところ、やはり、少なくとも14万人程度は自殺に追い込まれるだろうという結果となりました。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1255994515418054658

で、最悪のケースでは、26万人・・・まさに悪夢です。

だからそろそろ、どこかの誰かが

「出口」

の話をしなければなりません。

・・・ということで、提案したのが、こちらの話。
『【緊急事態宣言・出口戦略編】京都大学レジリエンス実践ユニット 新型コロナウイルス対策 Part4(解説:藤井聡ユニット長)』
https://www.youtube.com/watch?v=Vu3EbKx_uU4

この議論がTBSの「グッとラック!」のスタッフさんの目にとまり、折から「緩和すべきだという議論をしている人を呼びたい」とおっしゃっていた、司会の志らくさんの意向もあり、当方から説明することになりました。

その時の報道(を紹介しているの)がこちら。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1255991678130810880

ここでのキーワードは

「半自粛」

です。もともと当方は、スタッフさんとの打ち合わせの折りは、

「半自粛&半自制」

と言っていたのですが、TV的にはちょっと長い・・・ということで、キーワードを半自粛、にしたという次第。

要するに、

「1)今自粛しているが、そのレベルを下げて、ある程度社会経済活動を復帰(つまり半自粛)。

2)ただし、何も考えずに復帰したら、また感染が拡大する。だから、再開した社会経済活動の際には、「自制」をして、「人に移さない/移らない」ように徹底的に注意する。

3)それができれば、感染を拡大せずに、経済も少しずつ回していくことができる。これこそ我々が今目指すべき出口戦略だ」

という話。

別のキーワードとしては、

今は、接触機会8割減だが、
これからは、感染機会8割減を目指すべき、

という話になります。

で、万一、「そんな自制なんてできないよ!」っていうなら、永遠に今の自粛を続けりゃ良い、っていう話だ・・・という事を解説しました。ところが驚く事に、

「そんなの理想論だ!」

という批判がありました。しょうがないので、

「半分がどうしても難しいというなら、9分自粛でもいいですよ。肝要なのは、すこしずつ、段階的に安全を見ながら、社会を開いていくことですから」


とも申し上げましたが、こう申し上げても、十分に納得いただけていないようでした。

そんな風に頑なに出口の議論を避けるのなら、ワクチンが開発されるまでこのまま最悪4年も5年もこのままの状態を続ける、ということになるのですが---そこまで議論は及ぶことはありませんでした。

・・・

「出口戦略の話をしに言ったのに、出口の話をするなと言われた」ようなものですから、少々面食らってしまいましたが、日本中にこういう気分が蔓延している、ということがよく分かりました。

つまり、今世論には

「兎に角今は、自粛が大事だ!!」

っていう空気が濃密にあり、したがって、

「出口の議論をするなんて不謹慎だ!!」

という事になっているわけです。

しかし、これは、極めて危険な状態です。

人間がバカなら、出口の話をし出した途端に全員自粛ができなくなるかもしれませんから、出口の議論が不謹慎だってことになるでしょうが、日本人がそんなバカばっかりだとは到底思えません。

少なくともどこかで、

「この後どうすればいいのか、出口を考えましょう」

という人がいなけりゃ、日本はメチャクチャになってしまうのは自明です。

実際、随分ご無沙汰している当方のとある古い友人は、当方が「出口」の議論をしているのをTVで見て、次のようなメッセージを送ってきました。

「自粛の後について考えるだけで、なんだか気持ちが晴れた・・・(っていうかもうちょっと正確に言うと)この状態の後の事について考えてくれる人がちゃんといるっていうことが、何となくほっとしたんだと思う」

おそらく、多くの国民がこういう気分を持っているんじゃないかと思います。

ここは落ち着いて、出口戦略を、考えましょう。

幸か不幸か(っていうか、もちろん当方は不幸だと思っていますが!)、緊急事態宣言が伸びたわけで、あと一ヶ月もそれを考える時間ができたのですから

国民世論がもう少し落ち着いていくことを、心から祈念します。

さもなければ、自粛はダラダラ続き、倒産と失業と自殺が増えるのです。そしてそれと同時に、自粛が空けたとき、国民は皆、何の戦略も無いままになし崩し的に出口から外に押し出され、その結果、感染爆発リスクが拡大してしまうことになるからです。

国民皆で、しっかりと出口の準備をいたしましょう。

追申:
今の、「コロナ自粛の風潮」がどれだけ理不尽かつ恐ろしいのかについて、お話しました。ちょっとは落ち着いた議論が必要だ、とお感じの方は是非、ご一読ください。
TV漬けの国民は今「頑張ってコロナを駆逐すべし!」という無理難題を信じ込み、感染者を迫害する暴挙に及んでいます
https://foomii.com/00178/2020042416264265820

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【藤井聡】緊急事態が一月伸びた今こそ、落ち着いて「出口戦略」を考え始めましょう ~キーワードは「半自粛」~への10件のコメント

  1. 大和魂 より

    藤井先生お疲れさまです。兎にも角にも東京都と大阪府の両知事と、その勢力は、グローバルスタンダードに持って行きたいようです。そのグローバル化の目的は、新自由主義社会の構築であり、つまり庶民の所得を減少させて格差の拡大を図りますから、日本の社会には、到底馴染むはずもありません。なので、それも阻止する出口戦略も必要かと思います。

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  2. より

    番組見てました。
    お一方以外は微妙に話を聞いてくれて無いような感じ…

    私も、この提案をグットラック以前に見て読んで、自宅介護しているお年寄りを家族感染から守るのが非常に難しいと感じているのですが…
    理想論と否定してはいけませんよね…
    この理想論をどう実現するかですから…

    私が心配しているような上記の人たちをどう守るか、具体的に方法を探って行ったり、どういう心配点やどういう問題があるんかを今のうちから多くの人で検討しいおき、その問題点の解決策の知恵を絞って、開いていくという話ですからね…

    ワクチン、薬が経済的な問題なども含んで完成していない開発すら進んでいない病気なんて多数ですからね…
    ワクチンや薬が完成しないというところまで念頭に置かないといけないわけで…

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  3. より

    そうそう、書き忘れですね。
    番組を見ていて思ったことは、自粛して、感染者数が減ってくればもう終わりだと思ってる人が多いのではと思いました…
    第二波とかあんま考えていないのかなと…

    我々は「態勢を作るための時間稼ぎ」をしているということが抜けてしまっているのではと…
    態勢を作るということは、この自粛期間中にどう開いていくのか、マスクやらの物資をどう整えていくのかを話し合い、物理的(投資・生産)に解決していく時間であるはずなんですけどね…

    だとすれば、開けたときの話と今将来に向けてやらなきゃならないことを検討しなければいけないのですが…
    まあ、さすがに開けた後を考えるにしても「お肉券」とかはないですが…w(経済回復の話は、開ける支度の後の話だと思いますしね…)

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  4. 拓三 より

    鼻をほじらない。
    目をこすらない。
    手(汚い)で顔を触らない。
    食事中大きな声でしゃべらない。
    外から帰れば手を洗う。

    うむ~ 幼稚園で習ったような…

    幼稚園以下の人達はさておき、この問題を突き詰めれば、やはりこのウイルスがどこまで危険か、にたどり着く。ここを無視する事は危険であり、又、軽視するのも危険。なので「正しく恐れる事」が重要になるよね。

    最初、2月時点で、藤井氏の提案を読んだ時、佐藤健志氏と同じ感覚になったのよ(名前を出してすみません)
    ただ、これほど敏感に恐れる事にも違和感があったのよね。
    でもアレよ。違和感を陰謀論などで誤魔化したらアカンで。
    すれば、自ずとウイルスの性質になってまうんよね。

    なのでネットで調べれる範囲で調べたの。

    まあ、一見、恐ろしい事が出てくる出てくる。
    でもね、他のウイルスとの「比較」で見ると。あれ? 8割方同じじゃネ。つまり明らかに恐怖を煽っている一部の団体さんがいるのよ。
    ただし、怖い所もあるよ。それを見極めた上で、数字を見るの。

    するとこのウイルスにおける対策は医療崩壊「だけ」回避すればウイルスと共存する事は可能。それも幼稚園レベルで! それが出来なければ海外みたいに強制封鎖しかないよ。つまり幼稚園以下。

    私は藤井氏より今後の日本においては悲観的です。
    カネ「だけ」で解決できないと思っています。
    これは「国力」の「差」が今後、如実に現れるでしょう。

    米国と同じ様にすれば日本は終わりです。国力が違う。
    では日本の国力は何?
    「カネ」と「人」でしょ。そしてカネと人はイコールでしょ。

    ならば政府は国民の命を守る為に大量の貨幣を使い、そして国民は賢く社会を築いていくことでしかこの危機を乗り越えられないように思うのです。

    結論!

    藤井氏の提案と100兆円の予算がセット!!!

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  5. 日本晴れ より

    半自粛というのに賛同です。今日の尾身理事長の話でも
    感染対策をすれば過剰な自粛を和らげてもいいんじゃないかと仰ってましたし、マスクをして3蜜を避けて手洗いうがいをすれば
    十分に8割減じゃなくて4割ぐらいの削減でもいいんじゃないかと思います。行き過ぎた自粛をだらだらやってもしょうがないし
    出口戦略を考えるべきです。藤井先生の普通に活動しても蔓延は防ぐことが出来るという考えに同感です

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  6. たかゆき より

    拍手をするなら カネをくれ

    医療環境を このような ザマにしたのは

    緊縮大好きの アホ国民
    まさに 自己責任

    医療従事者は アホ国民に 命を奉げる義務はなし
    身の危険を感じたら さっさと 戦線離脱すべき

    かと、、

    医療従事者への 拍手やら 青色ライトアップやら
    拝見するたびに 身の毛がよだつ

    たしかに 彼等は ブルーカラー労働者でせうが、、
    けっして 特攻兵士では ない

    のだ。。。

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  7. 麦粒 より

    お借りします。

    歴史に名を残したいと思うことは、決して悪いことではありませんね。命を惜しむことが、恥ずべきことなのであって。己のためではなく、心の底から、皆のためを思ってやったことは、必ず、後に評価され、意気に感じる者が現れる。歴史に名を残すことの意義は、そこにあると思います。孤立無援は喜ばしいことです。劇的な舞台が整ったということなのですから。あとは、全てを失う覚悟をするだけです。心の底から国民を思って発する言葉は、必ず、国民の心に届きます。

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  8. 麦粒 より

    不要不急のことを提案したら駄目ですからね。今必要なのは、事業者の十分な救済措置。それ以外にありません。

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      1. 麦粒 より

        損失の完全補填はやり過ぎだと思います。かえって受ける側の精神的な負担にもなりますし、やっかみも生みます。守備的過ぎて、改革にとってマイナスでもあります。損失補填は三分の二程度に抑え、残りの三分の一は、業容転換のための補助金とするのがよいのではないでしょうか。

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  9. 麦粒 より

    いやー、今回の演説はひどかった(笑)。必要不可欠なものが無いと、これほどまでに、ただ長いだけの、空虚な感じになってしまうんだねぇ。

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