日本経済

2018年1月12日

【三橋貴明】マネタリーファイナンス

From 三橋貴明@ブログ

またもや、日本政府に対し、日銀への
「無期限無利子国債」発行に対する援軍が登場しました。

元英金融サービス機構長官であるアデア・ターナー氏が、
デフレ脱却のため政府が財政赤字を拡大し、
同時に日銀が国債を買い取り、その一部を
無期限無利子国債として、実質償却するべきと提言したのです。

『視点:マネタリーファイナンスはなぜ日本に必要か=アデア・ターナー氏
https://jp.reuters.com/article/2018-views-adair-turner-idJPKBN1EY0T3

根強いデフレ圧力と公的債務問題に対して
日本が取り得る最も有効な打開策は、
中央銀行が財政赤字を穴埋めする「マネタリーファイナンス」を
国民に向けて明示的に実行することだと、
元英金融サービス機構(FSA)長官のアデア・ターナー氏は述べる。

具体的には、政府が2019年10月の消費増税を
延期した上で2020年代半ばまで大幅な財政赤字を
出し続ける一方、日銀は政府による国債発行と
ほぼ同じペースで国債購入を続け、かつその一部を
無利子の永久債としてバランスシートの資産に計上し、
実質的に「消却」すべきだと説く。(後略)』

もちろん、無期限無利子国債ではなかったとしても、
政府は日銀が保有する国債について
償還や利払いの必要はありません。

理由は、日銀が日本政府の子会社であるためです。

親会社と子会社間の貸し借りや利払いは、
連結決算で相殺になります。

一応、日本政府は日銀が保有する
国債の利払いを続けていますが、
日銀決算後に「国庫納付金」として
戻ってきています
(その後、一般会計予算に組み入れられています)。

すなわち、現時点で日本銀行が保有する
国債について、政府は実質的な負担がありません。

とはいえ、無期限無利子国債に変えることで、
名目的にも負担が消えるのです。

ターナー氏が言うように、日銀が、

「無利子の永久債としてバランスシートの資産に計上」

とやると、政府のバランスシートでは、貸方に負債として
無期限無利子国債が計上されることになります。

無期限無利子国債となると、何しろ
「現金紙幣」と同じ扱いになるため、
名目的にも負債が消えます。

ちなみに、後略部でターナー氏は、

「あわせて、一般企業グループにおける
連結決算と同じように、政府と中銀を会計的に
一体として捉える統合政府の考え方に従って、
日銀保有分を公的債務から差し引いて
考えることも強調すべきである。」

と、述べています。

理由は、

「公的債務負担が実際のところは、よく言われている
国内総生産(GDP)比250%よりも大幅に低い
水準であるならば、国民のマインド面に
ポジティブな影響を与えるだろう」

とのことですが、わたくしが
「日銀は日本政府の子会社だから、
日銀保有分国債は連結決済で相殺」と
しつこく繰り返しているのも、ターナー氏と
同じことを考えているためです。

要は「マインド」の問題であり、財務省発の
「財政破綻」「国の借金で破綻する」といったレトリックに
対抗するためには、連結決済(統合政府)の考え方で、
日銀保有分を政府の負債から差し引き、

「あ、何だ、その程度の問題なのか」

と、国民が理解することが
極めて重要だと思うのです。

また、ターナー氏は、

「違いは、コミュニケ─ションにおいて
正直になるか否かである。」

「日本政府・日銀は、より効果的な
コミュニケーションを目指して、正直になるべきだ」

と、ポイントを突いています。

まさしく、問題はコミュニケーションなのです。

政府が「実は日本の財政破綻の可能性はない」と
正直に国民に伝えれば、日本の財政問題は消えます。

ただ、それだけの話です。

もっとも、現実には「財政問題」など
存在しないにも関わらず、存在することになっています。

政治家や国民の多くが財務省発の
「クニノシャッキンデハタンスル」レトリックに騙され、
間違った情報に基づき緊縮財政に賛成する。

政治家なり日銀が「正しい情報」を「正直に」
国民に伝えることさえできれば、問題は解決するのです。

とはいえ、現実には当の政治家まで、
多くが財政破綻レトリックを頑なに信じ込んでおり、
「効果的なコミュニケーション」が不可能な状況です。

ならば、どうしたらいいのでしょうか。

少なくとも、国民一人一人にできることは、
スティグリッツ教授やターナー氏のような
「権威」を巧く活用し、日本に
「国の借金問題などない。なぜなら・・・」と、
平場のコミュニケーションを活発化させることだと思うのです。

関連記事

日本経済

【三橋貴明】その後

日本経済

【藤井聡】デフレの原因ここにあり 〜福田氏「醜聞」騒動が示す財務省の虚偽隠蔽体質〜

日本経済

【藤井聡】終戦記念日に考える、「戦後レジームからの脱却」と「デフレ脱却」。

日本経済

【三橋貴明】デフレとの戦い

日本経済

【三橋貴明】次なる「目くらまし」は・・・?

【三橋貴明】マネタリーファイナンスへの3件のコメント

  1. たかゆき より

    1-1=0

    国のシャッキンなど消えてなくなる。。

    こんなに簡単な問題を理解できない方々には
    総理大臣がその旨を言明すれば よいだけ、、

    それをなさらないのは 何故?

    1:無知
    2:悪意
    3:1と2の両方

    日本人として この世に生を受けたことを
    後悔させてやると お思いなのでせうか

    いずれにしろ
    害を被る小生は たまったものでは ございません。。。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 麦粒 より

    どう生きるかは個人の自由だけどね。不思議な選択だな。この界隈ではそうでもないのかな。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(前編)

  3. 3

    3

    【小浜逸郎】泊原発を再稼働すべき理由

  4. 4

    4

    【藤井聡】度重なる自然災害。消費「増」税は、極めて難しくなっ...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)

  6. 6

    6

    【三橋貴明】国土強靭化・防災省の「予算」

  7. 7

    7

    【三橋貴明】賃金統計に関する安倍政権の嘘

  8. 8

    8

    【竹村公太郎】地球気候変動の歴史

  9. 9

    9

    【藤井聡】「消費増税」を凍結せよ。

  10. 10

    10

    【上島嘉郎】「常識」の回復

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「高潮」の恐怖―――強靱化を「急がない」政治家・公...

  2. 2

    2

    【藤井聡】「消費増税」を凍結せよ。

  3. 3

    3

    【藤井聡】度重なる自然災害。消費「増」税は、極めて難しくなっ...

  4. 4

    4

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦めれば、...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】安藤裕衆議院議員との対談

MORE

最新記事

  1. 政治

    【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第...

  2. メディア

    未分類

    【上島嘉郎】「常識」の回復

  3. 日本経済

    【小浜逸郎】泊原発を再稼働すべき理由

  4. 政治

    【藤井聡】消費税は、「10%はもうしようがない」と諦め...

  5. 政治

    【三橋貴明】国土強靭化・防災省の「予算」

  6. 日本経済

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(後編)

  7. 日本経済

    【三橋貴明】ストローマン・プロパガンダ(前編)

  8. 日本経済

    【竹村公太郎】地球気候変動の歴史

  9. 日本経済

    【三橋貴明】賃金統計に関する安倍政権の嘘

  10. 日本経済

    【三橋貴明】日本国は残酷な国

MORE

タグクラウド