日本経済

2017年11月4日

【三橋貴明】移民国家「日本」への道(後編)

From 三橋貴明@ブログ

本日(11/3)はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

先日、厚生労働省の方々が(なぜか)わたくしのところに
「ご説明」にお越しになられて、色々と話したわけですが、
「総実労働時間」
といったマニアックな話ができて、大変楽しゅうございました。

現在の日本では、就業者数や求人数は増えているのですが、
なぜか総実労働時間は増えていません。

実際には「なぜか」も何も、
単にフルタイムの団塊の世代が退職し、
高齢者をパートタイム・アルバイトで雇う、
あるいは女性をパートタイム・アルバイトで雇う形で
就業者数が増えているだけなのですが。

何しろ、労働者の「主力」たる生産年齢人口の男性の
就業者数は、驚くべきことに減っています。

実質賃金が下落するのも、無理もありません。

短時間労働が増えた場合、
当たり前ですが名目賃金が下がり、実質賃金も低迷します。

この手の「情報」は、各省庁から発表されるデータを
突っ込んでみれば誰にでも分かるのですが、なぜか誰もやりません。

もっとも、当たり前ですが厚生労働省の官僚は、
実質賃金や総実労働時間といったデータを熟知しており
(自分たちで公表している以上、当たり前ですが)、
この手のマニアックな話ができて大変楽しかったです。

何しろ、日本の言論界はデータをきちんと見るという習慣がないため、
「アベノミクスで就業者数が増えている!」
といった、ナイーブ(幼稚、という意味)な論評しかしないのです。

現実のアベノミクスは、金融緩和以外はやっていません。

金融緩和した結果、「医療・福祉」の雇用が激増したという、
その政策「波及経路」について、いい加減誰か説明してくださいませ。

それはともかく、厚生労働省の官僚さんと
「ご説明」云々の話題になった際に、
「三橋さんのところにも、財務省のご説明が来るでしょう」
などと言われたのですが、来るわけないじゃん!

こんな本「財務省が日本を滅ぼす 」を
出している人間のところに!
http://amzn.asia/b6saqmJ

さて、法務省は、これまでの難民に対する、
「申請6か月後から一律に日本での就労を許可する」
という、極めて問題がある制度を改め、
就労を大幅に制限する方針を固めたとの報道が流れています。

『難民「偽装申請」防止へ新対策、就労を大幅制限
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171031-OYT1T50006.html

就労目的の「偽装申請」が横行する日本の難民認定制度について、
法務省は、申請6か月後から一律に日本での就労を許可する
現在の運用を撤廃し、就労を大幅に制限する新たな
運用を始める方針を決めた。

早ければ11月中にも実施する。

年間1万人を超す申請者の大半が就労できなくなるとみられ、
急増する申請数の大幅な抑制が期待される。

同省関係者によると、審査には平均
約10か月かかっていたことから、新たな運用では、
全ての難民申請者について申請2か月以内に「簡易審査」を行い、
四つのカテゴリーに分類。

「難民の可能性が高い申請者」については、6か月が経過しなくても、
速やかに就労を許可する。同省幹部は、ここに分類される申請者は、
全体の1%未満とみている。(後略)』

何しろ、図の通り、我が国の難民認定申請数は
増加の一途をたどってます。

その割に、難民認定者は30人に満たない。

要するに、日本で難民申請するほとんどが「偽装難民」なのです。

何しろ、
「借金から逃れるために難民申請する」
といった申請すら、真面目にチェックを
しなければならないのです。

偽装難民だろうが何だろうが、とにかく日本で
難民申請しさえすれば、六か月後から働ける
という異様な状況でした。

当たり前の話ですが、短期ビザで日本に入国し、
難民申請をすることで職を得ようとする偽装難民が、
増加の一途を辿っていました。

【図 日本の難民申請数と認定者数(人)】

http://mtdata.jp/data_57.html#namin

新たな制度では「難民の可能性が高い申請者」については、
六か月が経過しなくても、速やかに就労が許可されます
(全体の1%程度とのことです)。

代わりに、明らかに難民に該当しない者、
あるいは再申請者については、在留期限後に
入管に強制収容されることになります
(その後、本国に送還される)。

難民申請制度の規制強化は、
昨今の日本にしては珍しくまともな動きです。

難民認定制度が厳格化されると聞くと、
「外国から批判されるのでは?」
などとナイーブ(幼稚)な感想を抱く国民が
少なくないのが現代日本なのでしょうが、
それこそ「主権」の問題です。

日本国が難民を受け入れるのか、受け入れないのか。

あるいは、移民労働者についていかに考えるかは、
それこそ我々が主権に基づき、判断するべき事項なのです。

他国から、とやかく言われるべき問題ではありません。

しかも、日本は先進国の一員として、
難民を法に則って受け入れています。

日本で難民申請する外国人のほとんどが
「偽装難民」であることが、問題なのです。

真の意味の難民は、普通に日本に滞在できます。

今回の難民関連の規制強化で、偽装難民は激減すると思います。

ドイツもそうですが、結局は、
「○○国は、移民に甘々で、これこれの手続きをすれば、普通に働ける」
といった情報の蔓延が、移民拡大を引き起こすわけです。

実際、日本に偽装難民として滞在するための
「マニュアル」を教示するビジネスを展開していたネパール人が、
今年はじめに逮捕されました。

11月1日(日本時間)のNYのテロで実行犯として
逮捕されたウズベキスタン人は、移住希望者に抽選で
グリーンカード(アメリカの永住権)を付与する
「移民多様化ビザ抽選プログラム」を利用し、
米国に滞在していました。

アメリカのトランプ大統領は、
「多様化抽選プログラムを終了する手続きを開始する」
と、同プログラムを終了することを表明。

現在、アメリカは世界各国の応募者の中で、
抽選で5万人にグリーンカードを付与しています。

しかも、当選者の親族も永住権を得られるという「寛容」な制度です。

日本の難民申請制度にせよ、
アメリカの移民多様化ビザ抽選プログラムにせよ、
先進国の「寛容」(日本の場合は「適当」)な制度が、
各国に災厄をもたらしているというのが「現実」なのです。

日本では、技能実習生という「制度」が介護産業にも適用され、
さらにはコンビニ産業にも展開されることは確実です。

結局、各国の移民比率を決定しているのは
「制度」であることを認識した上で、別に外国人を
排斥しろなどと主張する気はありませんが、
「節度あるグローバリズム」の道を、
日本もアメリカも探らなければならない時期なのです。

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【三橋貴明】移民国家「日本」への道(後編)への1件のコメント

  1. ざるそば より

    >金融緩和した結果、「医療・福祉」の雇用が激増したという、
    その政策「波及経路」について、いい加減誰か説明してくださいませ。

    医療福祉の就業者数がアベノミクス開始前から一定のペースで増加していることから、2013年以降の就業者数の増加は医療福祉の就業者数の増加によるものではなく、医療福祉以外の就業者数が減少から増加に転じたことによるものであることがわかります。

    全体 医療福祉 医療福祉を除く全体
    2010 ▲ 16  33  ▲ 49
    2011 ▲ 5  22  ▲ 27
    2012 ▲ 13  30  ▲ 43
    2013 46  30   16
    2014 45  22   23
    2015 30  28    2
    2016 64  23    41
    出典 労働力調査

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