FROM 藤井聡@京都大学大学院教授、内閣官房参与
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少子高齢化に伴う生産年齢人口比率の低下。
深刻化する人手不足の中、鈍化する日本の成長。
しかし、この人手不足こそ次なる成長への鍵だった。
これから起ころうとしている第4次産業革命とは一体?
『月刊三橋』最新号
「第四次産業革命〜日本発の産業革命が世界をこう変える!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php
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そろそろ参議院選挙が近づいて参りましたが、やはり、
「新幹線整備を前に進めることができるか否か」
は、今回の選挙の重要争点です。
この一点は地方創生に関わるのみならず、東京一極集中緩和と国土強靭化、そして何より、
アベノミクスの成否の鍵を握るものでもあるからです。
ついては先週に引きつづき、今週もまた、近著『スーパー新幹線が日本を救う』
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E3%80%8D%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%86-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4166610775
の内容をいくつかご紹介しつつ、「新幹線」を、本当に実現していくために、一体何が必要なのか。。。。
についてお話したいと思います。
(1)新幹線は、最優良の「成長戦略」
新幹線は、その沿線の地域経済にディープインパクトをもたらします。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/02/16/fujii-183/
しかしそれにも関わらず、その整備水準は、情けないことに、昭和40年代に作られた計画路線のたった3割という低い水準。
http://trafficnews.jp/post/36474/20141113_shinkansen1/
それは偏に、これまで「国費」が投入されなかったことが最大の原因。国費が投入された高速道路は、同時期に作られた計画路線の「130%」が整備されていることと好対照です。
。。。。ということは、やはり現代においては、「同じ1兆円を投入するなら、道路よりも新幹線に投入する方が、より高い効果が得られる」ことは明白です。
しかも、新幹線は「ビジネス」としても利益を上げることができます。このことはつまり、整備にあたって税金や建設国債の投入量を、他のインフラよりもさらに低く抑えることが可能だ、という事を意味します。つまり、新幹線整備は、他のインフラよりも財政負担も軽いのです。
「わずかなカネを入れるだけで最大限の効果を得る事ができるインフラ、にも関わらずほとんど作られておらず、全国各地に優良路線がまだまだ未整備のママ残されている」――これに投資しない国家は、相当に愚かな国家であると、筆者は真剣に考えます。
(2)30兆円の財投を使った「地方再生」回廊
ただし、過日の6月1日の総理会見では、総理は、リニア新幹線や整備新幹線を「地方創生回廊」として、整備していくと宣言されました。
それに呼応するように、総理が総裁を務めている自民党が
「ゼロ金利を活用し、5年で事業規模30兆円の財政投融資を進める」
ということを選挙公約に掲げました。
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/805557119545233
(3)「地方再生」回廊の“目玉”:ゼロ債による「リニア大阪接続の8年前倒し」
そして、その具体的な目玉プロジェクトとして、リニア新幹線の大阪接続の「8年間前倒し」が決定されました。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=804723562961922&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=3
これは、政府がJR東海に3兆円を超低金利(0.3%程度)で政府が貸し出すことを通して、JR東海の金利負担を「2兆円規模」で縮減することが可能となるからです(!)。
8年前倒しとなれば、リニア大阪接続は2037年。これは2027年の名古屋接続から10年後となります。
「同時開業」まではまだまだ検討と議論が必要ですが、これは大阪、そして日本にとって極めて重要な第一歩となりました。関係各位のご尽力に改めて深謝の意を表したいと思います。
(4)10年以内の「函館−札幌接続」「北陸−大阪接続」を!
「地方創生回廊」の次なるステップは、現在の工事区間をいち早く終わらせること。
今のところ、北海道新幹線は今から15年後の札幌接続は2030年頃、北陸新幹線の大阪接続に至っては、「時期未定」となっています。
しかし、さらなる議論を重ねれば、これらを「10年以内」に完成させることも決して不可能ではありません。
その全ての鍵は、現在、政府の一般会計から新幹線整備のために拠出されている予算水準にあります。
現在、その水準は755億円。
そう聞けば大きい金額とお感じの方もおられると思いますが、中央政府のインフラ政策費(公共事業関係費)に占める割合は、
「たった1%強」
という超低水準。
この水準を例えば、2000億円や3000億円にすることができれば、10年以内に現在の工事を終わらせることは全くもって可能となります。
建設能力がネックとなる――という議論もしばしば指摘されますが、新幹線整備は、長期プロジェクト。したがって、それだけの長期投資を政府が示すことができれば、建設業界の能力は数年のうちに今よりも大きく増強されていくことは間違いありません。
では、その財源はどこから持って来ればよいのかと言えば――いうまでもなく、長期的には、
「アベノミクスの成果」
を活用することが「基本」となります。
つまり、アベノミクスが成功し、今から4−5年の間に600兆円経済が実現すれば、税収は今よりも10〜20兆円規模でさらに増えていることは間違いありません。その一部を新幹線に回せばそれで事足りるのです。
(決して、他のインフラ整備費用や、他の教育・防衛等の費用を「削って」新幹線整備費用を捻出する必要などないのです)
そして、これらの整備が終われば、大分や関空新幹線、高松新幹線、山形新幹線や長崎新幹線全線のフル規格整備、長岡−上越間接続。。。。等の「全国各地の優良区間」を一気に整備していけば、わが国は飛躍的に発展を遂げていくことになるでしょう。
(5)「デフレ完全脱却」までの間は、建設国債を基本に
――ただし、デフレ完全脱却までには、「アベノミクスの成果」は十分ありません。
ならばどうすればよいのかと言えば――「デフレ完全脱却」のために必要不可欠な「三年間の10兆円規模の財政拡大」の支出項目に、新幹線整備を据えることが得策です。
つまり、デフレ完全脱却までの間は、「建設国債」を基本として資金を調達し、早期整備を進めると同時に、内需の拡大を果たしていくのです。
そして、デフレが完全脱却すれば、「アベノミクスの成果」を整備費用に充当していく、という次第です。
筆者はこのプロセスが最も合理的かつ円滑な、
「デフレ脱却+地方創生+国土強靭化」プロジェクト
であると考えます。
なお、いずれの新幹線路線でも「利益」が得られますから、その分を見通して「財投債」を発行し、貸出していけば、より早く、円滑に整備が進められることなります。
その意味において、自民党が公約に掲げた「30兆円」は、必ずしも新幹線整備の「基本となる資金」ではなく、「整備を円滑にするための資金援助」とみなすことが肝要であると筆者は考えます。
・・・・
以上、いかがでしょうか?
以上に述べたプロセスは、全くもって不可能なものではありません。
各都道府県やJR東海をはじめとしたJR各社、建設業界、さらには国交省、そして財務省――全ての関係者が、内閣が打ち出す長期ビジョンの下で互いに議論を重ね「協力」していけば、誰もが何一つ「損」することなく、利益を享受し、互いに繁栄を得ることができるのです。
今、20年にも及ぶデフレに苛まれ、世界経済の中で日本経済が凋落し続けている中で、それぞれの主体がいがみ合い、限られた「パイ」を奪い合っていては、日本はますます疲弊していく他ありません。
これだけ日本経済が疲弊している今だからこそ、それぞれの組織が持つ力を重ね合い、協力し合い「パイ」そのものを拡大し、皆で利益を分け合うことが求められているのです。
そして言うまでも無く、その拡大した「パイ」によって最大の利益を被る主体は、豊かな国土に住まうことができる、我々、日本国民に他なりません。
そういう未来をつかみ取るために、それぞれの主体が、同じ日本国民として、
「協力」
しあう道が開かれていくように――これからも一つ一つ考え続けていきたいと思います。
PS この新幹線の協力問題――をさらに考えてみたい方は、是非、下記をご一読ください。
https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E3%80%8D%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%86-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4166610775
ーーー発行者よりーーー
【PR】
少子高齢化に伴う生産年齢人口比率の低下。
深刻化する人手不足の中、鈍化する日本の成長。
しかし、この人手不足こそ次なる成長への鍵だった。
これから起ころうとしている第4次産業革命とは一体?
『月刊三橋』最新号
「第四次産業革命〜日本発の産業革命が世界をこう変える!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php
【藤井聡】「新幹線ネットワーク」を、本当に実現させる方法。への3件のコメント
2016年6月15日 11:01 PM
ふむふむ……ん〜ん、なるほどな。前進、前進。よかよか。それにしても、日本の内戦状態とも言える「改革が〜」「既得権益が〜」のテロリスト共はいつになったら沈静化するんやろな。マクロ経済わかってても国土学、地政学、心理学、などを含めた総合的なマクロ日本学を考えておられる藤井はん、ご苦労とは思いますが頑張ってください。わたくし最近、『ベビーメタル』にハマっております。私同様アイドルに全く興味のない世界の野郎どもが次々にハマっていくのです。頭で考えればメタルではありません。(私にとってメタルと言えばラウドネスであります。懐かしい〜)しかし動画を見ていると『妙』な気持ちに陥るのです。「日本文化を世界が認めている」と言うレベルの話ではありません。人類が持つ奥底の本能というか何というか…..。もうご存知かもしれませんが保守に疲れた方は是非オススメします。
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2016年6月16日 5:25 AM
藤井先生の過去からの言動と現在の言動まことにブレがなく一貫しており敬服致します。これとは逆に一貫して緊縮財政やプライマリーバランスをいい募る財務省お抱えバカ学者と経済評論家等の日本貧乏派が今だに財政諮問会議のメンバーに名を連ねて居るのおみても立ちはだかる壁はまだまだ有りますね。藤井先生が数々のデータを出して説明しても、都合の良いデータばっかりとかいう輩ももいます。前テレビで辛坊某は藤井先生の事を国交省の御用学者と言ってたが、まことに無礼な奴である。公共電波を使っての根拠の無い誹謗中傷には電波芸者でも言っていい事と悪いことの区別がつかないようです。このように敵の多い中今後も飽きる事なく国土強靭化のご意見を堂々と主張してください。
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2016年6月17日 3:40 PM
>今から4−5年の間に600兆円経済が実現すれば 超人大陸で強靭化を中野さん等と訴え、既に6年が過ぎてしまいました。なかなか長いですね。身体も衰えますよね・・・・・お疲れさまでした。って、おわりではないでしょうけど。と言うかまだまだでしょうけど。規制緩和に集合している輩もまだまだ蠢いているのでしょうから。インフラの重要性についてはもう蓮舫議員みたく?、待たされるわけにはいきません!(ちなみに私が走るところの高速にはアジアンハイウェイの看板が有ります。幾らなんでもジャパンハイウェイでいいと思うのですが) 昨今の舛添氏の穴埋めを橋下氏で・・・・などと言う議員、メディアを爆・ぶっ飛ばしてください。 貧弱ヘタレ身体の読者なのに失礼しました。
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