日本経済

2016年2月29日

【三橋貴明】デフレ脱却を阻む敵

From 三橋貴明

———————————————

<動画解説> TPPの真実・・・

TPPでメリットが出るのは30年後!?
https://youtu.be/-gFd_VUGCoM

嘘だらけのグローバリズム
https://.youtu.be/SwfXABHZMfY

———————————————

【今週のNewsピックアップ】
追いつめられる日本銀行と安倍政権
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12132193818.html
生贄のヤギ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12132563882.html

2016年1月のインフレ率が総務省から発表になりました。日銀のインフレ目標の定義であるコアCPI(生鮮食品を除く総合消費者物価指数)で0%。コアコアCPIでも0.7%に伸び率が落ち込んでしまいました(12月は0.8%)。

日本銀行が200兆円ものおカネ(日銀当座預金)を増やしたにも関わらず、なぜインフレ率がゼロなのか。別に、難しい話ではなく、インフレ率とはモノやサービスが購入されない限り、上昇しないためです。日本銀行が購入しているのは国債であり、モノでもサービスでもありません。黒田日銀総裁が語ったように、

「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではない」

のです。当たり前です。
岩田規久男日銀副総裁の「学説」は、インフレ目標とコミットメント、量的緩和(マネタリーベース拡大)により、期待インフレ率が上昇する。期待インフレ率が上昇すれば、フィッシャーの方程式、

実質金利=名目金利−期待インフレ率

により、「名目金利が下がらなくても」実質金利は下がる。結果、銀行からの貸し出しが増え、消費や投資が拡大し、デフレ脱却できる、というものでした。

問題は、

「マネタリーベースを拡大しても、期待インフレ率が全く上がらないというのか!」
「実質金利が下がっても、銀行からの貸し出しが一切増えないというのか!」

といった極論ではなく、インフレ目標と量的緩和により、国民経済の需要不足が解消するほどに「十分に」消費や投資が拡大するか、という話です。

さらに言えば、政府が消費税増税や財政支出の削減といった緊縮財政という「需要縮小策」を推進したとしても、インフレ目標と量的緩和により「十分に」消費や投資が拡大するか、になります。

日本銀行が(ロジックとしては)需要を拡大し、デフレギャップを埋める政策を推進する反対側で、政府が緊縮財政により需要を縮小させようとしているわけです。これで「デフレ脱却」できると思う方がおかしいのです。

というわけで、わたくしが岩田教授の立場にいたとしたら、13年10月1日に安倍政権が14年4月の消費増税を決定した瞬間に、

「政府が緊縮財政という需要削減に走っている以上、金融政策のみではデフレ脱却できない」

と宣言し、辞表を叩きつけたでしょう。

ところが、不思議なことに岩田教授は消費税増税に表立って異を唱えたことはありませんでした。それほどまでに、金融政策の効果を過大評価していたのか。あるいは、政権に絡めとられ、自らの学説に殉ずるよりも「権力」を選んだのか。

分かりません。分かりませんが、いずれにせよ一つ、明らかになったのは、岩田教授をはじめとする「いわゆるリフレ派理論」が、財務省が望む緊縮財政の背中を押してしまったという政治力学なのだと思います。

ーーー発行者よりーーー

<動画解説> TPPの真実・・・

TPPでメリットが出るのは30年後!?
https://youtu.be/-gFd_VUGCoM

嘘だらけのグローバリズム
https://.youtu.be/SwfXABHZMfY

関連記事

日本経済

【島倉原】マイナス金利政策の弊害

日本経済

【藤井聡】国民所得を80万円上げる経済政策(その2) 〜なぜ財出は「3年限定」なのか?〜

日本経済

【三橋貴明】あなたの常識を論破する経済学

日本経済

【三橋貴明】信濃毎日新聞による典型的なデマゴギーな社説

日本経済

【島倉原】積極財政のアピールを!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  2. 2

    2

    優れた民間人のほうが主流派経済学者などよりずっとマシ

  3. 3

    3

    【三橋貴明】MMTと令和の政策ピボット

  4. 4

    4

    【三橋貴明】令和の政策ピボット 賛同者数1万人突破

  5. 5

    5

    歴史コンテンツ「経世史論」

  6. 6

    6

    米中覇権戦争 残酷な未来透視図

  7. 7

    7

    【藤井聡】維新はW選で勝ったが「クアドラプル選」で負けた。 ...

  8. 8

    8

    【三橋貴明】秋篠宮殿下はなぜ「皇嗣殿下」なのか?

  9. 9

    9

    【藤井聡】「令和ピボット運動」とは何か? ~それぞれの立場で...

  10. 10

    10

    【三橋貴明】令和の政策ピボット(前編)

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「統計のウソ」に騙されるな ~「維新政治10年で大...

  2. 2

    2

    【藤井聡】維新はW選で勝ったが「クアドラプル選」で負けた。 ...

  3. 3

    3

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に...

  4. 4

    4

    【藤井聡】「令和ピボット運動」とは何か? ~それぞれの立場で...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】令和の政策ピボット 賛同者数1万人突破

MORE

最新記事

  1. 欧州

    米中覇権戦争 残酷な未来透視図

  2. 政治

    未分類

    歴史コンテンツ「経世史論」

  3. 政治

    日本経済

    優れた民間人のほうが主流派経済学者などよりずっとマシ

  4. 日本経済

    MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】MMTと令和の政策ピボット

  6. 政治

    日本経済

    【三橋貴明】令和の政策ピボット 賛同者数1万人突破

  7. 日本経済

    【施 光恒】情報技術と「引っ越さなくていい社会」

  8. 政治

    未分類

    【藤井聡】維新はW選で勝ったが「クアドラプル選」で負け...

  9. 日本経済

    【三橋貴明】令和の政策ピボット(後編)

  10. 日本経済

    未分類

    【三橋貴明】令和の政策ピボット(前編)

MORE

タグクラウド