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2018年8月15日

【藤井聡】終戦記念日に考える、「戦後レジームからの脱却」と「デフレ脱却」。

From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

今日は8月15日―――いわゆる「終戦記念日」です。

この頃になると、
メディア上では
第二次世界大戦や大東亜戦争を振り返り、
東京大空襲や大阪大空襲、
広島や長崎の原爆や、
東京裁判、靖国問題、 “従軍”慰安婦問題、
特攻隊、玉音放送、GHQによる日本占領・・・等
が取り上げられます。

「サヨク」系のメディア(主として新聞やテレビ)は、
二度と戦争の過ちを繰り返してはならない、
という「反省」を基調とした報道を繰り返し、

「ホシュ」系のメディア(主として雑誌)は、
民間日本人を大量虐殺したアメリカについては口をつぐみつつ、
先の大戦には大義があった、
“従軍”慰安婦や南京大虐殺といった
中国や韓国のプロパガンダに欺されてはならない、
という「嫌中、嫌韓」を基調とした報道を繰り返すのが、
ここ最近の流儀となっています。

しかし、この「サヨク」のイメージも
「ホシュ」のイメージも、
いわゆる「戦後レジーム」と呼ばれる構図に包含されており、
その意味において、両陣営の「いがみ合い」が続く限り、
「無間地獄」の様に
「戦後」と呼ばれる空間は延々と持続してしまいます。

そもそも戦後レジームとは、
「東京裁判」の「価値観」に基づいて、
あらゆる言論空間と仕組みを構築していく体制です。

東京裁判の価値観とは要するに、

(1)戦前日本は悪者で、
(2)中韓は日本の被害者で、
(3)アメリカは悪者日本をやっつけたヒーロー。

という物語を意味します。
そして、この3つの物語は、
次の「結論」を今日の日本に強要するものです。

(4)戦後日本はヒーローにはもう刃向かわない、お利口さん。

この(1)~(4)の「物語」こそが、
「戦後レジーム」の根幹にあるものであり、
これが国際社会においても、日本国内においても、
驚くべき程に実に幅広く共有されています。

日本の「歴史教科書」や「国民世論」
そして中韓やアメリカの世論が、
この「戦後レジームの物語」をベースに
構成されているのはもちろんのこと、

「新憲法」や「日米安保条約」、
さらには現代日本の「価値観外交」なる代物
(日米が共有して持つ自由と民主主義を重視する外交)も、
全て「戦後レジームの物語」をベースとしています。

そして、先に述べた「サヨク」の歴史観も、
「ホシュ」の歴史観も
この戦後レジームの物語をほぼ忠実に踏襲したものとなっています

もちろん「サヨク」は
「反米の気分」を醸し出すという意味で、
そして「ホシュ」は
嫌韓、嫌中の区分を醸し出し、
日本にも大義があったと息巻くという意味で、
それぞれ「戦後レジーム」に対して
若干の反発を示すものではありますが、
最終的な「結論」である

(4)戦後日本はヒーローにはもう刃向かわない、お利口さん

という点については実質上見事に一致しており、
(サヨクは国連に従い、
ホシュはアメリカに従うという相違はありますが、
実質上、国連=連合国=アメリカなのです)
基本的には「戦後レジーム」の物語を
是認していることには相違ありません。

したがって、サヨクとホシュがどれだけ表面上
いがみ合っても、戦後レジームからの脱却など
果たせる筈もない
のです。

・・・

ところで、我が国が
この「戦後レジーム」の中に居続けることは、
望ましいことなのかと言えば―――
言うまでも無く、その答えは「No」です。

なぜなら、
(4)戦後日本はヒーローにはもう刃向かわない、お利口さん
という結論は、外国の国益と日本の国益とが相反した時、
「日本よりも外国を重視する」という事を意味しているからです!

したがって、「戦後レジーム」の中に居続ける限り、
日本の国益が毀損し続けていくことは避けられない
のです。

実際、小泉首相以来、今日に至るまで
過激に進められてきたあらゆる「改革」や「民営化」は、
いずれも「戦後レジーム」の必然的帰結です。

郵政や農政の改革や、
IRの導入や水道民営化、種子法の改正、TPP等はいずれも、
「ヒーロー」に要請されたもの、
ないしは、要請されていると日本が勝手に
「忖度」したものばかりです。

いわばそれらはいずれも、
「海外のヒーロー達に『お利口さんですね』と褒められるため」
に断行された
ものばかりなのです。

さらには、集団的自衛権を巡る議論も、
憲法改正の議論もいずれも、
戦後レジームからの脱却を企図する
「自主独立」を高めるものというよりはむしろ、
「ヒーローからの出兵命令に従順に従いやすくする」という
戦後レジームを「強化」するものとして展開された、
というのが実態です。

・・・

そして、そんな風に
「海外のヒーロー達に褒められる」ことばかりを考えて
政治が展開されていけば、
結局、国内における
「政治を巡る公論」が荒廃していくことになります。

どんなに正論を述べても、
結局は「外国の顔色を窺う」ことが優先されるからです。

そして、「公論が荒廃」すれば、
結局は「力を持つ者」の影響力が極大化することになります。

これこそ、今日「財務省」が圧倒的な力を持ち、
デフレが脱却出来ない最大の根本的原因
なのです。

もし、「公論」の力が残っていれば、
世論と政治において不条理な緊縮路線は一発で覆され、
積極財政がいとも容易く断行され、
デフレなどは、とっくの昔に終わっていた筈なのです。

しかし、「外国の顔色を窺う戦後レジーム」が
圧倒的な力を誇る戦後日本では、
「公論」の力が失われ、言論が荒廃し、
最強官庁である財務省に対抗することが出来なくなり、
デフレが延々と続く状況となっているのです。

そして、デフレが続けば続くほど、
人々に余裕が無くなり、
公論の力がますます失われ、
財務省がますます強くなっていくと同時に、
「戦後レジームから脱却」する力も気力も
全て失われていく
こととなっているわけです。

―――嗚呼、哀れなり戦後日本―――。

この絶望的状況は、
「あの戦争とは一体何だったのか」
を十分に問い直していないところに、
全ての出発点があります。

「終戦記念日」である8月15日の今日―――
この機会に是非とも一人でも多くの国民に、
あの戦争とは一体何だったのか、
あの戦争を戦った先人達は何を守ろうとしたのか、
そしてその戦いの果てに我が国を覆い尽くすに至った
「戦後レジーム」とは一体何なのかを、
しっかりとお考え頂きたいと思います。

もしもそれができないのなら、
私たちはいつまでもいつまでも、
「戦後レジーム」という「無間地獄」の中を
さまよい続けることになる
のですから―――。

追伸:
「デフレ脱却」をはじめとした具体的な実践のためには、本記事のような思想的な考察が絶対に必要です。そんな角度からものごとを考えるためにも、是非とも、危機と対峙する保守思想誌『表現者クライテリオン』をご一読ください。
https://the-criterion.jp/
https://the-criterion.jp/subscription/

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【藤井聡】終戦記念日に考える、「戦後レジームからの脱却」と「デフレ脱却」。への5件のコメント

  1. 拓三 より

    藤井はん、安倍ロデム晋三がまた改憲言い出したらしいやん。
    表現者のメルマガで浜崎はんが書いてたけどマジでヤバくね ?

    加憲案とはつまり自衛隊を人質にし戦後レジームを完成させる踏み絵そのものやん。反対すれば自衛隊存続の否定、賛成すれば植民地完了…..どうするべw

    笑うしかないか。ガハハハハ。

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  2. たかゆき より

    負け犬の 遠吠え

    終戦の日でもない「終戦記念日」に
    不戦やら 平和への 遠吠えを聞くたびに
    気が滅入る。。

    さきの大戦
    開戦当時は 国際法上
    国際紛争解決の最終的手段として
    大日本帝国は戦争に訴える権利があったはず、、、

    当然の権利を行使して 何が悪いのか。。。

    敗戦後の体たらくを拝見するにつけ

    所詮 負け犬は
    死ぬまで 叩かれるの 鴨

    次は倍返し で やってやる!!なんて
    これっぽちも 念っていない
    負け犬根性の 塊で ございます ♪

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  3. 日本晴れ より

    >「郵政や農政の改革や、
    IRの導入や水道民営化、種子法の改正、TPP等はいずれも
    海外のヒーロー達に『お利口さんですね』と褒められるため」
    に断行されたものばかりなのです

    全くですね。それはホシュ側もサヨク側も共通してると思います。日本が破綻するとか財政均衡論も結局はそういう感じから
    来てるのかもしれません。自民党もホシュではなく保守政党として日本を主語に製作してほしい物です。海外の顔色伺って政策決めないでほしいです自民党も官僚の人達も。

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  4. ぬこ より

    そうご高説賜る、藤井大老や三橋大老でさえ、

    ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーや、
    ロスチャイルド家やデルバンコやシェルバーン

    の事を批判しませんよね。

    彼等を恐れる公人も井の中の蛙の引きこもり型、戦後れじゅ~む。
    そしてまた、貝になる(笑)

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  5. 日本晴れ より

    藤井先生のこの問いかけは凄い分かります
    何故なら今の日本って政治家も、メディアも、日本人も
    海外からどう思われてるか、国連とか海外のメディアはこう言ってるというのを異常に気にしすぎじゃないかと思います
    諸外国から嫌われない日本、どの国からも好かれたいと思う気持ち。でもそれは度が過ぎると海外の言いなり奴隷国家でしかなく
    日本の国益より利益より海外の利益を優先するっていう風になるんじゃないかなと思ってます。

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