From 平松禎史(アニメーター/演出家)
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2016年2月、日本銀行は史上初の「マイナス金利」を導入した。
今回、日銀が導入したマイナス金利とは、市中銀行が持っている日銀当座預金の一部の金利をマイナスにするというものだ。これまで年利0.1%の金利がついていた日銀当座預金だったが、逆に年0.1%の金利を支払う(手数料を取られる)ことになる。
当然、銀行の収益を圧迫する要因となるのだが、その狙いはどこにあるのか。また、狙いどおりに事が運ぶのか。
三橋貴明は「家計と銀行の負担が増え、国債の金利が今以上に下がるだけ」と断じる。また、「円高はいっそう進むだろう」と予測する。
その根拠は? 今後への影響は?
そもそも「マイナス金利」政策を正当化する理論自体に問題があり、その奥にはお決まりのいわゆる「国の借金問題」があるという。
マイナス金利の解説からその影響、導入の背景、さらには経済成長の問題、そしてアメリカ大統領選挙にまでつながっていく一連のストーリーを、三橋貴明が詳述する。
『月刊三橋』最新号
「マイナス金利の嘘〜マスコミが報じない緊縮財政という本当の大問題」
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◯オープニング
固定観念と言ってしまうと大げさですが、ちょっとした考えに引っ張られて考えがとどまってしまい、先に進まなくなることがあります。
ボクにも仕事上そういう経験がたくさんありますが、一度「罠」にかかってしまうとなかなか抜け出せないものなんですよね。
第廿二話『発想の転換』
◯Aパート
よく行く居酒屋の店長が、ネットで知らない人のとある悩みを読んでモヤモヤしてしまった話を聞きました。
なんでも、音楽の勉強をしている人が「全音符」の意味を理解しかねているんだとか。
店長は音楽もやっていたので「なんでわかんないんだ!?(楽譜のメカニズムを一通り述べた後)しかし、そんな理屈よりフィーリングなんだよ!」と言いたかったけどネットの知らない人に突っ込むのも大人げないので堪えたものの、ずっとモヤモヤしてたんだと。
…(^_^)
ボクも一応音楽やってたので、理解しかねている理由もなんとなくわかりました。全音符は「四分音符四つ分」ではなく、拍子によって変わるのです。四分の四拍子なら四分音符で四拍分、四分の三拍子なら四分音符で三拍分、八分の一二拍子なら八分音符で十二拍分・・・小節分が全音符なわけですよね。全休符も同じです。
拍子を考え入れずに「音符いくつ分?」と考えてしまうと「なんで拍子によって長さが変わるんだ??」となってしまうのでしょう。
発想の転換をすれば、おそらく「な〜〜んだ」と理解できるんだと思います。
絵描きも似たような「罠」にかかってしまうことがあります。
たとえばレイアウト(アニメの画面設計)の「パース」です。
「アイレベル、消失点を設定してパース線を引っ張って描けば正しい空間が描けるはず」
しかし、これだけで正しい空間は描けませんし、絵として気持ち良い空間が描けるわけではありません。
パースに固執すると、「ものの見え方」を発見できなくなってしまいます。
また、正確な空間を描くことが目的化してしまい、その空間で動かしたい人間や動物、メカニックなどがパースに縛られて窮屈になりがちです。
居酒屋店長が言うように、最終的には「フィーリングだよ!」てな話なんですが、そこに至るめんどうな理屈や、もっとめんどうな『理屈で表せない「何か」』が重要になってきます。
そこを理解して「良い絵」を描くには様々な意見があると思いますが…ボクの場合はひとこと
「現実を観察せよ」 …です。
◯中CM
政治経済にも似たような「罠」がありますね。
緊縮財政・構造改革・グローバル化…これらを良いものとして20年近く日本の政治は進められてきましたが、バブル崩壊をきっかけにデフレ不況になり、リーマンショック、東日本大震災などの打撃によって状況は悪化。良いものとしてきた政策を、現実を見て発想を転換しないまま続けたために経済縮小が今も続いています。
現実を観察すれば方法を目的化するような過ちに気付けたのでは? と思うのですが、一度「正しいはず」と内外に宣言してしまったことを転換することは難しいのでしょう。
しかし、政治経済は国民の命がかかっているのですから、政治家や官僚、政治家にアドヴァイスしている学者は、メンツなどかなぐり捨てる責任があるのではないか?…と思うところ。
最近はスティグリッツ氏やクルーグマン氏が消費税増税をすべきでない、財政出動せよ、と述べていて、「外圧」で雲行きが変わっているようです。
しかし、自ら主体的に、現実を見て転換できなければ、またいつか状況が悪くなった時、外圧に頼らざるを得なくなります。
情けない話じゃないですか。
◯Bパート
「現実を観察せよ」
というのは、絵の場合、写実的に描け(写実性が正しい)という意味ではありません。
デフォルメされた世界観や、架空の世界であっても、普段私達が見ている現実世界とのつながりがあるはずなのです。
つながりがあるからこそ、架空の世界であっても生活感を感じたり、そこに生きている人物に感情移入しやすくなります。
まったくのファンタジー世界だから現実など無視して良い…わけではないのです。
つまり、現実の世界、現実のものの見え方、触って感触を確かめられるものや、風や温度や湿度や光の見え方などなどを掴んだ上で「解釈して」絵の世界に落としこむ、ということなんですね。
アイレベルや消失点、パース線は描画するための手段、鉛筆や消しゴムと変わりません。
CGならツールやプラグインのひとつにすぎないわけですから、そこ(だけ)に固執して目的化すると、「罠」にかかったように先に進めなくなってしまうのですね。
一度はまってしまった「罠」から抜けるにはどうしたら良いんでしょう?
ボクの場合は失敗を失敗と認めて何が悪かったのか分析できるようになって、先輩や同世代の良い仕事の凄さをそれまで以上に発見しやすくなったのがきっかけでした。
うまく行ってないこともそれまでより早く正確につかめるようになって、深みにはまる前に「Run for cover(確実な地点に戻ってやり直す)」(ヒッチコック)がしやすくなったと思っています。
とはいえ、いまだに失敗します。
自分は常に失敗する可能性がある、と認識することも、仕事の経験だけでなく、政治経済(周辺の言論状況など)を観察することで学ぶことができていると思います。
どんなに学んでも学び足らないですけどね。
発想の転換も、ある時うまく行ったとしても、別な時には同じ転換方法が通用しなかったりします。
その時には現実で起こっていることを見直して、我が身を振り返ることが必要なのでしょう。
プレッシャーが高い状況ほど、難しいことですよね。
しかし、越えていかねばより良い仕事はできない、より良い未来は開かれません。
◯エンディング
2016年度、注目作品を二つご紹介。
一つは「ユーリ!!! YURI ON ICE」
http://animeanime.jp/article/2016/03/24/27603.html (アニメ!アニメ!)
http://yurionice.com/ (公式サイト)
アニメジャパン2016で27日にお目見えとなります。
https://www.anime-japan.jp/
もう一つは「クロムクロ」
http://kuromukuro.com/ (公式サイト)
こちらもアニメジャパンに出典しておりまして、新宿バルト9では第1話&第2話が先行上映されるそうです。
◯後CM
平松禎史の個人ブログです。
http://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/
↓↓発行者より↓↓
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2016年2月、日本銀行は史上初の「マイナス金利」を導入した。
今回、日銀が導入したマイナス金利とは、市中銀行が持っている日銀当座預金の一部の金利をマイナスにするというものだ。これまで年利0.1%の金利がついていた日銀当座預金だったが、逆に年0.1%の金利を支払う(手数料を取られる)ことになる。
当然、銀行の収益を圧迫する要因となるのだが、その狙いはどこにあるのか。また、狙いどおりに事が運ぶのか。
三橋貴明は「家計と銀行の負担が増え、国債の金利が今以上に下がるだけ」と断じる。また、「円高はいっそう進むだろう」と予測する。
その根拠は? 今後への影響は?
そもそも「マイナス金利」政策を正当化する理論自体に問題があり、その奥にはお決まりのいわゆる「国の借金問題」があるという。
マイナス金利の解説からその影響、導入の背景、さらには経済成長の問題、そしてアメリカ大統領選挙にまでつながっていく一連のストーリーを、三橋貴明が詳述する。
『月刊三橋』最新号
「マイナス金利の嘘〜マスコミが報じない緊縮財政という本当の大問題」
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