アーカイブス

2015年3月16日

【三橋号外】五頭のクジラ

From 三橋貴明@ブログ http://keieikagakupub.com/38news/

——————————————————-

このVideoには一部の方にとって不愉快な内容が含まれています。
ご覧になる場合は自己責任でお願いします。

http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

——————————————————-

最近は有名になって参りましたが、安倍総理の執務室には「日経平均のチャート」が置かれています。総理が「日経平均至上主義」に陥っているという批判は、別に誹謗したいわけでも何でもなく、単なる事実なのです。

『「クジラ買い」の爆発力 公的マネー、需給に大変化
http://www.nikkei.com/markets/column/scramble.aspx?g=DGXLZO8426008011032015EN1000
前日の米株安を物ともせず、11日の日経平均株価は反発した。誰がつけたか、公的マネーを指す「クジラ」が影響力の大きさを見せつけた一日となった。(後略)』

クジラ買いとは何のことかと言えば、巨額の「買い」を入れてくる日本の公的機関などの機関投資家になります。具体的には、GPIF、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして「日本銀行」という五頭のクジラです。要するに、公的マネーが株式市場につぎ込まれ、現在の株高が演出されているという話でございます。

UBS証券によると、五頭ののクジラの買い余力は、以下の通りです。

・GPIF 7.1兆円
・共済 3.4兆円
・かんぽ生命 3.4兆円
・ゆうちょ銀行 10.3兆円
・日本銀行 3兆円

ちなみに、日本銀行の「株式購入」は、個別の株を買っているわけではありません。上場投資信託(ETF)を買っているのです。

さて、話は青木先生の講義に戻りますが、現在の日本銀行のインフレ目標及び金融政策は、
「インフレ率(コアCPI)が2%に達するまで、量的緩和を続ける」
と、硬直的なコミットメントに基づいている点が「危険」であると解説して下さいました。

その通りだと思います。わたくしは(青木先生も)量的緩和を「やめるべき」とは全く思っていません。逆に、現時点で量的緩和を終了すると、先日のスイス国立銀行のような有様になり、かえって危険だと思います。

とはいえ、硬直的なコミットメントに基づく量的緩和もまた「危険」なのです。理由は、現実に量的緩和を拡大しているにも関わらず、コアCPIは直近で対前年比0.2%上昇に過ぎず(間もなくマイナスに落ち込むでしょう)、おカネを「モノやサービスの購入=GDP」に導くルートが確立されない限り(つまりは、財政出動が十分な金額分、実施されない限り)、インフレ目標はいつまでたっても達成されないためです。

期待インフレ率により、現実のインフレ率を引き上げるという「岩田理論」は、実験失敗に終わりました。
このまま、金融政策偏重の政策を続ける場合、日本銀行はインフレ率が上昇しない中、ひたすら金融市場から国債を購入し、日本円を発行し続けなければならないことになります。やがては、近い将来に「銀行の国債が尽きる」日が視野に入ってきます。

ところが、何しろ「インフレ目標2%達成まで、量的緩和を継続する」というコミットメントがあるため、日本銀行は銀行から国債を買えなくなっても、金融市場からの債券購入と日本円発行(同じ話ですが)を継続しなければなりません。

というわけで、将来的に日本銀行が「コミットメント」により、
「ETFの買い取り額を増やしていく」
という状況に陥る可能性が濃厚なのです。何しろ、日本銀行の量的緩和は月に数兆円規模です。買入余力が数兆円といった話ではないのです。

結果的に、日経平均はひたすら上昇していく反対側で、国民の所得が一向に増えないという「日経平均と実質賃金の乖離」が拡大していくことになります。その先は、果たしてどうなるのでしょうか・・・・?

分かりません。

いずれにせよ、日本銀行は量的緩和について、コミットメント方式から、
「機動的な量的緩和」
に政策を変更するべきというのが青木先生のご主張で、わたくしも全面的に賛成いたします。
期待インフレ率により、現実のインフレ率を高めるという「実験」が失敗に終わった以上、量的緩和政策についても「より、柔軟なスタイル」に改めるべきなのです。

PS
「日本銀行は【機動的な量的緩和】に政策変更せよ」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

PPS
月刊三橋の最新号のテーマは、
「農協改革のカラクリ〜巨大利権をめく?るヒ?シ?ネス攻防戦なのか?」です。
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

PPPS
なぜ、「農協改革」を議論するメンバーに、農業の専門家がいないのか?
そんな疑問をお持ちの方には、お役に立つかもしれません。

関連記事

アーカイブス

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」第丗七話

アーカイブス

【渡邉哲也】本当に恐ろしい『顔のない独裁者』の世界

アーカイブス

【上島嘉郎】地獄への道は…

アーカイブス

【三橋貴明】インドの新幹線採用と1つの疑問

アーカイブス

【佐藤健志】FINE ON THE OUTSIDE(うわべだけは元気そうに)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【三橋貴明】所得の誤謬

  2. 2

    2

    【竹村公太郎】富士山のトリック

  3. 3

    3

    【三橋貴明】マネタリーファイナンス

  4. 4

    4

    【小浜逸郎】水道民営化を阻止せよ

  5. 5

    5

    【三橋貴明】緊縮財政と公共インフラ売却

  6. 6

    6

    【三橋貴明】変わる世界、変わらない日本

  7. 7

    7

    【島倉原】国民を不幸にするPFI法改正

  8. 8

    8

    【三橋貴明】国民経済の教育(後編)

  9. 9

    9

    【saya】初めましての告白

  10. 10

    10

    【藤井聡】クルマを捨ててこそ地方は甦る

MORE

累計ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実

  2. 2

    2

    【藤井聡】「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク...

  3. 3

    3

    【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

  4. 4

    4

    【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人間の屑たち

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】ビットコイン・バブル

  2. 日本経済

    【小浜逸郎】水道民営化を阻止せよ

  3. 日本経済

    【竹村公太郎】富士山のトリック

  4. 日本経済

    【三橋貴明】国民経済の教育(後編)

  5. 日本経済

    【三橋貴明】緊縮財政と公共インフラ売却

  6. アメリカ

    【三橋貴明】所得の誤謬

  7. 日本経済

    【三橋貴明】マネタリーファイナンス

  8. アメリカ

    【三橋貴明】変わる世界、変わらない日本

  9. 日本経済

    【島倉原】国民を不幸にするPFI法改正

  10. 日本経済

    【三橋貴明】輝ける日本国

MORE

タグクラウド