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2015年2月5日

【三橋貴明】【文庫化】コレキヨの恋文

From 三橋貴明 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

中東の混乱、ISILの背景にある「ある問題」がわかる

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択から、
なぜ、明日の日本が見えるのか?

フルバージョンが聞けるのは、2/10まで。

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さかき漣が全面リニューアルした文庫版「コレキヨの恋文 (PHP文庫) 」が、PHP研究所から刊行になりました。今回、文庫版をお買い上げ頂いた皆様には、藤井聡先生にもご参加頂いたスペシャル鼎談動画のプレゼント・キャンペーンがあります。

http://rensakaki.jp/release/korekiyo.html

文庫版をご購入いただいた方は、是非とも上記ページから動画をダウンロードして下さい。

さて、昨日取り上げた、ピケティのシンポジウムで西村副大臣が、
「アベノミクスはトリクルダウンの試み」
と発言したことに「はあ・・・っ」となってしまったのは、そもそもピケティの「21世紀の資本」が、
「トリクルダウンは起きないんだよ」
ということを解説した本であるためです。

そもそも、トリクルダウンが起きるのであれば、「r>g」が継続するということはあり得ないのです。ピケティは、膨大なデータを用いて、
「r>gが続く場合、少なくとも格差を縮小するほどのトリクルダウンは起きない」
ことを実証したわけでございます。

ピケティ効果なのかどうかは分かりませんが、安倍総理が国会でいきなり「トリクルダウン否定」の答弁をしたので、驚きました。

『アベノミクス:首相「トリクルダウン、我々の政策と違う」
http://mainichi.jp/select/news/20150203k0000m010025000c.html
安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、「富めるものが富めば、富が滴り落ちる」とする「トリクルダウン理論」について、「我々が行っている政策とは違う」と強調した。アベノミクスは、企業収益の向上を通じた経済成長を目指しているが、民主党は「経済格差」に焦点を当てる戦術で、首相は企業優先との批判に予防線を張った形だ。
首相は経済界に賃上げを働きかけていることを強調。「上からたらたら垂らしていくのではなく、全体をしっかりと底上げしていくのが私たちの政策だ」と語った。(後略)』

総理は以前、
「株価が上がれば、消費が増える」
と、トリクルダウンの一種である「資産効果」を強調していましたが、宗旨替えしたという事なのでしょうか。分かりません。

ところで、ピケティのいう「r>g」ですが、例えばこれなども該当するわけでございます。

【日経平均(左軸、円)と実質賃金指数(右軸)の推移】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#NIKKEI

日経平均が上昇する反対側で、クロスする形で実質賃金が落ちていく。
このグラフを見て、
「日経平均が上昇すれば、消費や投資としてお金が滴り落ち(トリクルダウン)、国民経済全体が成長し、実質賃金も増えていく」
と解釈するのが、まさにトリクルダウンです。

実質賃金が増えるためには、「需要>供給能力」の関係が成立しなければなりません。すなわち、インフレギャップ状態です。

インフレギャップ状態になるためには、需要が増えなければなりません。需要とは「消費と投資」ですが、果たして日経平均の上昇は、実質賃金を引き上げるほどの需要を創出するのでしょうか。

分かりません。
そして、「分からない」というのが問題なのです。ピケティは1月31日、ブルームバーグ・ニュースと短時間のインタビューに応じ、
紙幣を印刷するだけでは十分ではないというのが一つの教訓だろう。紙幣を増刷すれば、株式市場や不動産市場ではバブルを起こすことができる。しかし、必ずしも消費者物価や経済成長は上昇しない」
と述べました。日本の現状を見る限り、「仰る通り」としか言いようがありません。

ならば、どうしたらいいのか。これまた、ピケティが正しいことを言っています。

『話題の仏学者ピケティ氏:金融緩和に頼らず財政で経済活性化を
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6JR1W6JTSEJ01.html
ベストセラーで話題のフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏は財政投入による景気刺激で経済を再活性化させるべきだと主張、金融緩和への依存を低下させるのが望ましいとの見解を示した。
同氏は2日、米経済専門局CNBCとのインタビューで「何でも中央銀行に解決してもらうわけにはいかない」と発言。「中央銀行と金融政策に多くを求め過ぎている。もっと財政政策を求めるべきだ」と述べた。(後略)』

ところが、現実の安倍政権は明確に「緊縮財政路線」に舵を切り、さらに農協改革をはじめとする様々な構造改革を推進しています。総理の国会での発言、
「上からたらたら垂らしていくのではなく、全体をしっかりと底上げしていくのが私たちの政策だ」
は、所詮は「規制緩和」によりトリクルアップを目指すという、デフレ下では実現しない構造改革路線に過ぎないのでしょう。

日本国民は、今日、「デフレ対策」について学び直す必要があります。というわけで、安倍政権が完全に「デフレ化路線」に舵を切ったこのタイミングで、本書「コレキヨの恋文 (PHP文庫) 」が文庫化されたことは意味があるのです。
政治家がダメダメである以上、日本国民が「デフレ対策」についてしっかり学ぶしかありません。

PS
「安倍政権は『正しいデフレ対策』に舵を切り直せ!」に、ご賛同下さる方は、
↓このリンクをクリックを!
http://rensakaki.jp/release/korekiyo.html

PPS
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【三橋貴明】【文庫化】コレキヨの恋文への2件のコメント

  1. 一筆 より

    ピケティ的主張で換言すれば、金融機関が非流動的に抱え込んでいた「資産」つまり政府債(国債)を、日銀が強制的に吸い上げ、金融機関はより流動性が高い(無利息な)日本円に交換させられるのだから、資産家であった金融機関は将来の富を奪われる結果となる。故に、現在の量的緩和は正しい。日銀のBS上で考慮してみた場合でも、過去の準備預金制度に於ける日銀貸出しは「負債」であるが、現在の公開市場操作に於ける政府債の買い上げは「資産」に計上されるため、これもまた正しい。現政権の量的金融緩和を揶揄するくらいならば、特別会計上の単式簿記で隠されている、累積された各省庁の固定化した「資産」の流動性を問うた方が、より健全なのではなかろうか。

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  2. 匿各希望 より

    三橋新聞でもおなじみの方が、世間を騒がせていますね。自分が「正しい」、相手が「間違えてる」という信仰があるのかないのか、こういった非常識な言動に気が付かないって怖いですね。「絶対につきあったらいけない」という人格を認めないような中傷ではなくて、学者なら学者らしく「彼はウマウマなのでシカシカです」のように理性的に対応してもらいたいものです。(以下、ロイターより引用)橋下氏、教授発言で見解要求へ2015年 02月 5日 維新の党の橋下徹最高顧問(大阪市長)は5日、内閣官房参与の藤井聡京都大大学院教授がインターネットの動画で橋下氏を中傷する発言をしたとして、党を通じて、京大の山極寿一学長に藤井氏の言動に関する見解を求めることを明らかにした。市役所で記者団に語った。 藤井氏は、橋下氏について「絶対につきあったらいけない」「ヘドロチック」などと述べている。 橋下氏は「国立大の教授が政治家を批判したり、論評したりすることは当然」とする一方で「市民に選ばれた代表(市長)に、学者があのような発言をするのはどうなのか」と非難。

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