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2014年10月20日

【三橋貴明】ドイツ経済の落日

FROM 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
●ドイツ経済の落日
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11938318535.html

●ドイツの狂気
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11939717454.html

資本主義とは、特に「銀行」が存在する資本主義は、誰かが家計が貯めこんだ預金を借り入れ、GDP(所得)となるように使ってくれなければ、経済規模はひたすら縮小していきます。経済主体の全てが同時に貯蓄を増やし続けることは、不可能なのです。

というわけで、理想的な資本主義の下では、
◆家計:資金余剰(貯蓄増加)
◆民間企業:資金不足(負債増加)
◆政府:収支均衡(貯蓄も負債も増えない)
という関係が成立するべきと「考えられて」います。いわゆる財政均衡ですが、例えば日本のバブル期は上記のバランスが成立していたと、リチャード・クー氏が著作に書いていらっしゃいました。

現在の日本では、上記のバランスは全く成立していません。理由は、メルマガ「週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜 Vol282」で書きましたので、省略しますが、実は経済主体には政府、家計、企業の他に、もう一つあるということを付け加えておきたいと思います。

すなわち、「外国」です。日本銀行の資金循環統計では「海外」と表現されています。
論理的に、家計、民間企業、政府の全てが「資金余剰」状態になることは可能なのです。すなわち、その分の「資金不足」を、外国が引き受けてくれるならば。
外国が資金不足を引き受けるとは、要するに経常収支を赤字化してくれればいいという話です。

さて、ドイツ。

ドイツでは、現在、長期金利が0.8%台と異様に低迷しています(それでも日本よりは高いのですが)。すなわち、民間企業がお金を借りようとしていないのです。

現在のドイツも、日本同様に「家計」と共に「民間企業」もまた、資金余剰となっています。すなわち、デフレです。

それにも関わらず、ドイツのショイブレ財務大臣は、同国が2015年に「財政均衡」を達成すると宣言しました。つまり、政府までもが資金余剰状態(あるいは収支均衡)になるという話です。

そうなると、誰かがドイツの「家計」「民間企業」「政府」の資金余剰分、資金不足を引き受けてくれなければなりません。誰でしょうか。もちろん、外国でした。という話なのでございます。

なぜ「外国でした」と、過去形で書くかと言えば、すでにユーロ高や世界的な需要の低迷により、ドイツが一方的に貿易黒字や経常収支黒字を拡大できる時代は終わりを迎えつつあるためです。ドイツの8月の輸出(季節調整済み)は、前月比5.8%減と2009年1月以来の大幅な落ち込みとなりました。

すなわち、リーマンショック以来の輸出減少というわけです。

結局のところ、外国に依存して国内の三経済主体を全て「資金余剰」にするなどというやり方は、少なくとも中長期的には成立しないのです。などと考えていたら、早々と「終焉」の時期がやってきたわけでございます。
ドイツにしても、日本同様に不足している国内需要を「政府」により創出する必要があります。それにも関わらず、メルケル政権は「財政均衡」を達成するために、緊縮財政路線を改めようとはしません。

まさに「狂気」以外に表現のしようがないと考えるわけでございます。まあ、それを言ったら、日本の消費税増税派も同じなのですが。

PS
ドイツとEUの闇とは? 日本人が知らないカラクリを解説中
https://www.youtube.com/watch?v=DID9wg3PIVo

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【三橋貴明】ドイツ経済の落日への3件のコメント

  1. 匿各希望 より

    自分の考えと異なる考えを狂気と表現すること自体に狂気を感じました(笑)IS(イスラム国)なんかもこのクチですよね(笑)

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  2. たかゆき より

    uroboros♪己の尻尾を喰わえ込む蛇完全を象徴する姿のようですが、、、己の身体を消化し国家の体力を消耗させる財政均衡主義の象徴に見えます。蛇は男性の象徴とか、、女性(陰)のメルケルさんが男性(陽)のシンボルを崇拝なさるのは陰陽合一の吉兆新しい「世界」が誕生する前触れなのかもしれませんね。。。

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  3. ぬこ より

    ドイツの経常収支黒字と非ドイツEU加盟国の経常収支赤字の関係は、米国と日本のそれと似ているのでせうか?またぞろ、アメリカ辺りが、妙な理屈をつけて日本叩きをしてきそうですが、今となっては輸出をする様な大企業の資本構成は随分(3割位どしたっけ?)と外国人(主に青い目とわし鼻)が多いんですから、むしろ日本の富を吸い上げているのは誰よと?…日本企業が栄えても、その中身(株主構成や労働者の勤労形態等々)を観ないと、いけないのかと….派遣で様々な現場に行きますが(それこそ輸出関連企業の事務にも複数行きました)、派遣労働者がメインで回している部署もざらにあります。企業栄えて国滅ぶ事を米国左翼はCorporatismと言って皮肉ってますが、日本も、絶望の度合いはそう変わらないのかと思います。国を超えた所に問題があるのに、それを今までの国家の枠組みで観ようとして、要らぬ軋轢を産んでしまうと言うのも悲しい事どすね。そんな中、米国さまは日本に内需を増やす様に進言されているみたいですが、それすらも、誰が一体儲かるのでしょうか?今後内需が増えて日本国は豊になっても、第三の矢的なものに強烈に反対していかないと、個人個人の生活は恐ろしい事になりそうです。

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