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2014年6月23日

【三橋貴明】不思議な議論

From 三橋貴明

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法人税減税の「議論」において、「効果」ではなく「財源」ばかりが重視されている不思議について、何度か書いてきました。

しつこく繰り返しますが、法人税減税は「国民の損」の基に実施されます。法人税を減税した分、政府は別の「増税」か、もしくは政府支出削減により減税分を補てんしなければなりません。いずれにせよ、国民が「損」をすることになります。

国民の損に基づき、法人税を引き下げる以上、当然ながら「政策」により増えた企業の純利益を、
「国内の投資」
もしくは、
「国内の雇用」
のために使ってもらわなければなりません。

とはいえ、企業は法人税減税により増えた利益を、内部留保として蓄積しても、配当金を増やしても、外国に投資しても構いません。法人税減税の果実を何に使おうが、それは各企業の勝手であり、政府に指示されるいわれはないのです。
だからこそ、法人税を減税するならば、国内の設備投資や雇用拡大といった「条件」を付けるべきなのです。すなわち、設備投資減税や雇用減税です。

ところが、現実の安倍政権は法人税の実効税率を無条件で引き下げようとしています。
建前としては、法人税減税の「理由」として、以下の二つが挙げられています。
「法人税を引き下げることで、外国企業の投資を呼び込む」
「法人税を引き下げることで、国内企業の設備投資を増やす」
後者の場合、「ならば設備投資減税にすればいい」で話が終わります。

前者の場合、話は複雑やや複雑です。なぜならば、対内直接投資残高対GDP比が32.2%(2012年)と大きいアメリカは、日本よりも法人税が高いためです。

ちなみに、日本の対内直接投資残高対GDP比は3.5%(同)で、確かに低いです。とはいえ、対GDP比で日本の十倍の直接投資を外国から受け入れているアメリカのケースがある以上、
「日本は法人税が高いため、外国企業が投資しない」
という理屈は成り立たないのです。

といいますか、日本の対内直接投資残高対GDP比が低いのが問題だとして、理由は、
「長期のデフレで、企業が利益を上げにくい環境であるため」
が主因に決まっています。そもそも、利益を上げられない環境が続いている以上、法人税の高低は無関係なのです(もしくは「無関係に近い」)。

逆に言えば、法人税が高くても、多額の「利益」を上げることが可能な国ならば、企業は喜んで投資をするでしょう。

要するに、現在の法人税議論における「外国企業の投資を増やす」は、日本が「投資をすれば利益を上げられる」環境であることが前提になっているのです。
すなわち、投資利益率が高いという話ですが、現実は全然違います。国内企業すら「投資利益率が低い」という理由で、投資を増やさない(真っ当な判断だと思います)日本国に、法人税を引き下げた程度で外国企業の投資が増えるでしょうか(三橋は別に日本が対内直接投資を増やすべきだとは考えていませんが)。
利益が出せない以上、法人税が低かろうが高かろうが、企業にとってはどうでもいい話です。法人税とは「税引き前利益」から支払われるのです。

何と言いますか、結局のところ現在の政府の法人税議論は、
「日本は投資をすれば、利益を上げられる」
環境であることが前提になっているように思え、色々な意味で突っ込みどころ満載なのでございます。日本が投資をすれば利益を上げられる国ならば、これほど長期間、デフレに苦しむはずがないのです。

PS
中国がやばい本当の理由とは? 三橋貴明が解説中
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