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2013年5月21日

【藤井聡】そりゃ怒るわなぁ…

From 藤井聡

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ある、外国に出張し、路上でタクシーを拾い、仕事先まで移動しようとした時の事です。

決して裕福とは言えない風貌のドライバーさんが、ニヤニヤしながら、後部座席の筆者に、ある「風俗店」のカードを見せながら、その店を勧めて参りました。

客を紹介すればバックマージンが得られるという様な話なのだろうと思いつつ、「屈辱感」と、「憤り」を感じながら、当方は最初は、穏やかに断っていたのですが、それでも、執拗に勧めてきます。

徐々に強めに「止めてください」とお願いしたのですが、それでも執拗に勧めてこられたので、
「もういい加減にしてください!!!」
と大変強い調子で申し上げたところ、彼はようやく、話を止めました。

直ぐにクルマを降りたいくらいでしたが、高速道路であったため、それもかなわず、致し方なく、目的地で、クルマを降りました。

その間、とてつもない屈辱感と憤りを感じていたのを、そして、クルマを降りた後も、しばらくの間、その怒りは収まらなかったことを、よく覚えています。

なぜ、当方がそこまで憤りを感じたか。。。。ご理解頂けるでしょうか。。。?

この理由を理解することは、「外交」を考える上での極めて重要な意味を持つ事ですので、少々丁寧に解説差し上げたいと思います。

第一に、品格有る人物とは言い得ないようなそんなニヤニヤした人物に、「この人物は、こういった、外国人の風俗に興味を持つ様な奴だ」と当方が思われたことに対する、当方の屈辱感です。いわば、これは当方に知れ見れば「濡れ衣」であり、「えん罪」であります。

しかし当方がその「ニヤニヤ」笑う人物にどんな言葉で、どんな形で説明しても、理解されぬだろうということも筆者には十分に理解できるのであり、その無力感故に、当方の屈辱感と憤りは、さらに大きなものとなったのでした。

第二に、「そう思われたのには、実は、理由がある」ということを、筆者は理解しているのであり、それを理解しているが故に、筆者の屈辱感も、憤りもさらに増幅されたのです。

その「理由」というのは、その国では、多くの日本人男性が、そのドライバーが勧めた様な風俗店に大量に訪れている、というものです。実際、彼が乗せた、日本人のタクシー客の中の何人もが、そのドライバーの誘いを受けて、その店に行き、その国の婦女子に触れ続けているのでしょう。だからこそ、彼は、筆者に対して「ニヤニヤ」と、その店を勧め続けたのでしょう。

そうした構図は、彼のニヤニヤ顔をみた途端に全て、見透かせた次第です。だからこそ、同じ日本人男子として、その外国の人物に、「日本人全体」を侮辱されたと感じた次第です。

しかし、「日本人全体」という視点で考えれば、(如何に、筆者個人がそれに当てはまらぬ者であったとしても)、この侮辱は一面において「図星」なのであり、同じ日本人として認めざるを得ないものなのです。

しかしながら、日本人の中にはそうした侮辱されるべき人々もいる一方で、決して、海外で安い金銭で海外の婦女子を買いあさるような事を決してしない人々もいるのです。そして「本来の誇り高き日本人」なるものは、前者ではなく後者なのだ、というのが、筆者の認識です。

したがって、その「ニヤニヤ」したタクシードライバーは、そうした、日本人としての「誇り」を著しく傷つけるものでもあるのです。

しかしながら、先の第一の論点の折にも触れたように、当方がどれだけ説明しようとも、その人物にはその様なことは決して理解されぬであろうと考えれば、その無力感故に、当方の屈辱感と憤りは、さらに大きなものとなったのです。

。。。。つまり、そのニヤニヤした、決して品のある人物とは言えぬドライバーから、筆者は、筆者個人の誇りを傷つけられると同時に、日本人としての誇りもまた傷つけられたのであります。しかも、後者の日本人の誇りについては、一面において半ば「図星」の側面があり、だからこそ、より一層、こちら側(日本人男性全体)がその「誇り」を保たねばならぬと、もとより考えていた所についてさながら、その様な努力など無駄なものだと、「ニヤニヤ」と言われてしまった。。。。という格好になっているわけです。

こうした理由から、筆者は、筆者個人の、そして日本人としての誇りを傷つけられ、激しい屈辱感と、烈火の如くの憤りが去来したのでした。。。。。

こうした経験を持つ筆者からすれば、昨今起こりましたあるニュースについて、ある国の方々が烈火の如く憤っておられる理由は、手に取るように理解できました。(#おそらく、その憤りの理由を論理的に解説すれば、上記の第一と第二の理由は_確実に「含まれて」いるものと思われます。無論そのニュースについては、これら以外の重要な理由もあろうと思いますが)

しかし、以上の説明を何度読んでも理解できない方は。。。。。その国の方々の憤りを理解することは、おそらくはできないのではないかと思います。

いずれにしても。。。。外国の方とつきあうには、「こうした屈辱感を先方に喚起させることがあり得るのだ」という事を十二分に理解しておくことが不可欠なのです。そうでなければ、良好な外交的関係を取り結ぶことなど、絶対に不可能なのです(例えば、私にそんな強烈な屈辱感と超絶な憤りを味合わせた、そんなニヤニヤしたドライバーと社交関係を取り結ぶなぞということは、私には不可能でしょう)。

逆に言うなら、それができぬ人間(例えば、先のニヤニヤしたドライバーの様なメンタリティを持った日本人)は、如何なるレベルの外交においても、関与してはならないのです。

そしてもしもそんな人物が関与することを許容している国があるとするなら。。。。。その国は、諸外国から「野蛮国」の誹りを受けたとしても、それを否定する資格など、その国の国民は全く持ち合わせてはいないと言わざるを得ないのです。

PS
本日の様な議論にご関心の方は、下記のFaceBookのコメントなどもご参照ください。
http://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII

PPS
「月刊三橋」5月号は国土強靭化と公共事業のある大問題について。
過去の構造改革が日本に深刻な影響を与えています。大問題です。

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【藤井聡】そりゃ怒るわなぁ…への10件のコメント

  1. フラット より

    藤井氏は米軍司令官に対する橋下氏の「風俗活用」発言のことを別の出来事に置き換えて書いていると思われるが、前提が全く違う。橋下氏は性犯罪抑止力を訴え米軍に「風俗活用」発言をしたのである。藤井氏の出来事を使って正しく置き換えて例えるなら、その国で日本人男性による現地女性に対するレイプ事件が多発しており、それを抑止する狙いでタクシードライバーが藤井氏に風俗を勧めた、ということになる。これに対し藤井氏は烈火の如く怒れるだろうか。それから「濡れ衣」や「えん罪」の使い方がおかしい。藤井氏が受けたのは「こいつスケベそうだなぁ」という「偏見」にすぎない。

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  2. 海外助教 より

    学生時代、サンディエゴでの学会のついでに観光でメキシコのテファナに行きました。入国手続きは非常に簡単で、駅の改札をくぐるような気軽さで国境を越えられたのですが、そこで見た”You are the face of our nation.”というポスターは心に残っています。海外で働く現在、「私は日本の顔である」という意識を常にもち、「日本からの先生」という目で見る学生たちや同僚、上司を失望させないように頑張っています。今回の件で、発言者の・日本と他国で「売春」の意味・法律の違いを考慮しない国際感覚の無さ・公人としての会話でデリケートな問題をあけすけに語る品位の低さ・相手を侮辱したことに気が付かない、共感性の低さ・一部で「ガス抜き」として黙認されている行為をヤブヘビにするKYさ・基地問題と慰安婦問題の二正面作戦に陥る戦術的未熟さ等々はすでに多くの人が指摘されていることですが、私としては「でも、現実にそうだよね」「建前よりも本音で語ったことを評価するべき」という声が気になりました。今回の件は「リーダーに何を求めるのか」という有権者の意識の試金石であったように思います。「そうはいっても、若い兵士の性欲は〜」を現実を見ていると評価するなら、「そうはいっても、アメリカが〜」とか「そうはいっても、経済が〜」とかの「現実主義」も評価するのでしょうか?理想だけでもいけませんが、「かくあるべき」という理念のない、場当たり的な意見を「現実を良く知っている」と見誤ることがないように注意したいものです。そんなリーダーを選んでしまったら、その場その場を取り繕うだけの、魑魅魍魎が跋扈する卑しい社会になることは間違いないのですから。

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  3. 靖国で会おう より

    歴史の問題では、日本を守る為に戦ったご先祖様の尊厳や誇りを傷つけらているにも関わらず、その濡れ衣を晴らしてあげる事ができていない(泣)その結果、現代に生きる我々は日本人として大切な誇りや気概を失ってしまっているのではないだろうか。私は外国との摩擦を生じさせる事なく、歴史問題に向き合って先祖の濡れ衣を晴らし、誇りを取り戻すのは不可能だと思っています。全てとは言いませんが、捏造された情報について「それは捏造」と言ってしまえば事実がどうであれ、相手が自己防衛しないはずが無いですから。某市長の発言について、問題にならないはずは無いでしょう。本人も痛手を負う事を認識した上で行った事のように思われました。私自身はそのように汲み取って、非難するのではなく擁護する方へ回りたいと考えております。それが上策かどうかは判断に苦しみますが、私自身は軋轢を恐れてご先祖様の尊厳を傷つけられ続け、日本人の気概を失うより、誇りを取り戻す外交を求めています。

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  4. はっちゃん より

    なんの話かと思えば・・この見方めちゃめちゃ当たってるじゃないですか。この話、是非どこかの大阪市長に聞かせてやりたいです。僕みたいな凡人なら一言も反論できないはずですが、まあ、彼はある意味凡人ではないんでいつものように相手を悪者に見せる「交渉テクニック」が登場するかもしれないんで注意深い観察が必要です。「野蛮国のそしりを否定する資格がない」・・ホント当たってて僕自身痛いです。僕は大阪市民の一人ですので余計に言い訳したくなります。僕は京都のとある大学OBでして、毎年末恩師のところへ挨拶に行くわけですが、大阪市長選直後の年末など恩師から「そういえば今度市長変わるんだね」と言われた時にホント「一緒にしないでもらいたい」「恥ずかしい」と思いました。今回の出来事も違和感通り越してどこから突っ込んでいいのか分からいぐらいわけがわからなくなってましたが、藤井先生に核心部分を明快に整理していただいてすっきりしました。ありがとうございます。問題は彼が近々目立たなくなってもまた似たような人が登場するかもしれないことです。いつも本読ませていただいてます。次の本も大変楽しみにしています。よろしくお願いします。

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  5. arakawa より

    中韓には賠償前提で彼らに本質的に媚びており、さらに米国にも媚びまくる発言しかしない橋下氏があのような発言をした。それが、「にやにやしながら。。。」云々という話につながるというなら、それは確かにそうかもしれないとは思いますね。ただ、それでも韓国はさほど怒ってないような気がします。むしろ米国が東京裁判まで否定し始めるんじゃないか?という潜在的な恐怖を持っているような気がしますね。あと、橋下氏が国会議員でなおかつ閣僚だったら問題かなとは思いますね。ただ、指摘すべきことを指摘できなくなり、どんどん嘘が既成事実化して日本の手足を縛っている現状には悲しみを覚えます。。。

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  6. arakawa より

    韓国の反応は以外に怒ってないという印象でした。どうも、海外に娼婦として出稼ぎに行く自国の女性達を恥ずかしいと思っているようです。その点に関しては藤井さんの意見が当たっていると思うのですが、その後の思考パターンがちょっと違うようです。むしろ怒るに怒れない「言ってることは正しいよなぁ」という反応に見えました。ただ、もっと気になったのはそれでも日本のほうが酷いに決まっている、売春婦も多いに違いないというような決め付けを彼らがしていることでした。意図的に彼らを必要以上に貶めるのは間違いだと思いますが、言うべきことは言わないとまずいと思います。結局、今まで曖昧にしてきたつけがまわってきて、橋下氏くらいしかああいったことを言えない状況になっている、それこそが問題だと思います。関係ないですが、西村さんも「売春婦」といわずに「風俗業の方」といえばよかったかなと思います。無許可営業、不法就労の人たちを限定して言ったのかもしれませんが。。。。保守系の人は、自らが高潔なせいか、その手の人に厳しいです。。。風俗業の女性にも、利用する男性にも。。。

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  7. 名前はまだ無い より

    今回の記事には私は賛同できないです。まずむしろ日本の方が異常な犯罪国家であるように追及されているのであって、日本だけがおかしいように言われるのは納得できないという橋下氏の発言は基本的には(おかしな部分も多々有るのですが)理解できます。「日本は異常な恥知らずの国家だ」と言ってきたのであれば反撃するのは間違っていないと思います。私ははじめに「お前らはこんなことが好きなんだろう?」とニヤニヤしながら言ってきたのは韓国とアメリカの方だと思います。はっきりと言いますがアメリカに言われた数だけ後退する安倍さんのやり方では何一つ戦後レジームは揺るぎもしません。

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  8. Icchi より

    藤井さんが感じておられたニヤニヤに対する屈辱感は僕も昔合気道の道場稽古で受けた事が有ります。 僕の場合は、他の人より稽古に励むことが可笑しかったようです。 あまりしつこいので問い質したところ「お前なんか誰も求めてない」だそうです。 つまり師範を求めるのであって私では無いとの事でした。 あの時は本当にガッカリしましたよ。 藤井さん応援しています。

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  9. mari より

    なにか、先生が例えられているお話と、今回、話題になっている事とでは随分、隔たりがあるように個人的に思います。私は、あまり出来のいい人間ではないので、もうしばらく今回の件について深く考えてみようと思います。今と昔の事情の違い、売春が職業として認められている国とそうでない国、様々なことを考慮しないといけない難しい問題だと思います。ただ、慰安婦問題について考えるたびに日本人女性の人権については、ほとんど日が当たらないのだなあと少し、脱力感に襲われます。

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  10. nanashi より

    藤井さんは慰安婦制度に対しても烈火のごとく怒るのでしょうか。私は大方の日本人男性のメンタリティーの根っこにあるものは弥次喜多根性ではないかと思います。今夜あの下女をぶっちめべい。

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