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2012年8月6日

【三橋貴明】ユーロの正体

FROM 三橋貴明@新宿のオフィス

 

【今週のNewsピックアップ】

●もっと欧州に

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11317807161.html

●需要の牽引者が誰もいない世界で

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11318838577.html

 

現在の世界は、まさしく
「需要の牽引者が誰もいない世界」
になっています。

需要の牽引者とは、要するに
「誰が負債と投資」を増やすのか?
という話です。

07年までの世界同時好況期、
需要の牽引者は
アメリカの「家計」でした。

アメリカの家計はバブル崩壊まで、
毎年1兆ドルペースで負債を増やし、住宅に投資をし、
莫大なキャピタルゲインを背景に消費を増やしていました。

結果的に、世界経済は(日本も)
アメリカの家計の負債と投資、
さらに消費の増加に牽引され、
成長することが出来ました。

とはいえ、
アメリカのバブルは06年末頃には、
すでに崩壊過程に入っていました。

07年以降、
特にリーマンショック以降のアメリカの家計は、
毎四半期ごとに「着実に」負債を返済していっています。

「借金好き」で有名なアメリカの家計が
負債を返済していくなど、
数年前までは考えらえれませんでした。

借金返済とは、
消費でも投資でもありません。

アメリカのGDPの七割を占める個人消費が、
家計の負債返済により元気がないとなると、
代わりに「誰か」が
負債と投資を増やさなければなりません。

一応、アメリカ政府はFRBのバックアップの下で
負債や投資を増やしていました。

が、日本同様に「財政赤字」「国の借金」が問題視され、
アメリカ政府は財政拡大が
難しい状況に追い込まれつつあります。

予定通り、アメリカが財政赤字の削減を始めると、
当たり前の話として同国の経済は
デフレに突っ込む可能性が高いわけです。

そんなことは、アメリカの専門家たちも分かっており、
「財政の崖」を回避するように呼びかけています
(とはいえ、事は完全に政治問題なので、
今後の進展は不透明としか言いようがありません)。

さて、財政の崖が迫りくるアメリカですが、
これでも欧州よりははるかにマシな状況なのです。

何しろ、欧州ではイギリスが「バブル崩壊後の緊縮財政」により、
イングランド銀行の金融緩和という努力の甲斐もなく、
マイナス成長に突入しています。

さらに、ユーロ圏では
「ドイツ主導」の設計主義的な緊縮財政、
財政均衡の憲法化などが着々と進められており、
各国は経済不振に悩むどころか
「主権」を次第に奪われていっています。

何しろ、ドイツのブンデスバンク(ドイツ連邦銀行)の
バイトマン総裁が、

「独連銀はユーロシステムの中で最大かつ最重要の中銀であり、
同システム内で他の多くの中銀より強い発言権を持つ」

と発言したわけですから、
他のユーロ加盟国の国民は愕然としたことでしょう。

結局のところ、ユーロとは
「ドイツの、ドイツによる、ドイツのためのユーロ」
であることが、もはや誰の目にも明らかになってきたわけです。

何しろ、ドイツ側が自分たちの目論みを、
ほとんど隠そうとしていません
(この辺、ドイツはアメリカに似て、非常にオープンです)。

とはいえ、
フランスでは「反ドイツ的財政均衡」
「反緊縮財政」「反グローバル金融資本」的なオランド氏が
新大統領に就任しました。

王政、帝政、共和制と、国体は移り変わったものの、
常に「一国一主権」の国家を維持してきたフランスが、
ドイツの「ユーロ連邦になろう」という
提案に乗るとは思えません。

今後はユーロ圏内で、
「主権を賭けた」ドイツとフランスの鍔迫り合いが
激しくなっていくことでしょう。
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