政治

2019年12月18日

【藤井聡】臆病者の国、日本は、世界から侮蔑されている。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

この度、表現者クライテリオンの最新刊を発刊いたしました。

最新号の特集は、

『引き籠もるアメリカ、すがり付く日本 
 ~安倍外交“真”総括』

https://www.amazon.co.jp/dp/B081WP9WMC/

今アメリカは、中東のみならず、
極東からも、「撤退」しつつあります。

中東については、イラクからの撤退に引き続いて、
シリアからも撤退をしました。

北朝鮮やアフガニスタンについても、
未だ決着を見てはいませんが、
アメリカは「撤退」する方針を明確に見据えながら
その交渉を進めています。

その背後には、トランプの「アメリカ・ファースト」があります。

「アメリカ人達から遠く離れた中東や極東の安定のために、
莫大な税金を使いながら米軍を展開し続ける意味なんて、
どこにもない。それよりも、
米国民にとってもっと直接役に立つところに
税金を使うべきだ!」

これが、アメリカ・ファーストの基本的な考え方です。

この考え方は、大統領選挙のことから、
トランプが明確に打ち出していたものでした。

そして、日本についてトランプは、

「日本を守ってやるためだけに、
日米安保を維持し続ける意味なんてない、
日本なんて、勝手に核武装でもなんでもして、
自分で自分を守れるようにすりゃいいじゃないか!

と主張していました。

いわばトランプは、
アメリカが世界から「引き籠る」方針を
明確に打ち出し、極東においても、
その方針は例外ではなかったわけです。

ただし、こうした「アメリカの引き籠もり」方針は、
何もトランプが急に言い出したわけではありません。

その前のオバマ大統領の頃から、
「アジアピボット戦略」等と言いながら、
(シェールガス革命の影響もあって)
中東から撤退する方針が打ち出されていました。

・・・と言いますかそれ以前に、
今回の特集号で、
青山学院大学の会田弘嗣先生
明らかにされていますが、
アメリカはその建国当初から、
「アメリカファースト」
の方針を打ち出し続けていたのであって、
20世紀後半の「パクスアメリカーナ」と呼ばれる、
覇権主義は極めて「例外的」な状況だったのです。

・・・

という事を考えると、

「いつまでもアメリカが日本を守ってくれる」

と考えているのは、能天気に過ぎるお花畑幻想なのです。

よく自称ホシュの連中は、
左翼陣営を「お花畑論だ!」と批判していますが、
彼等もまた、アメリカが守ってくれるって考えている時点で、
全く同じお花畑論なわけです。

サヨクは中ロが平和を愛する諸国民だという
勝手なお花畑幻想を信じ込んでいるように、
自称ホシュの連中は、
アメリカ様が日本を守ってくださる平和を愛する諸国民だという
勝手なお花畑幻想を抱いているに過ぎないわけです。

より詳しく言うなら・・・
本特集の巻頭での伊藤貫先生と当方との対談、

『臆病者の国、日本は、世界から侮蔑される。』


にてお話しされていますが

「アメリカは、日本を『守る』という状況は、
戦後一貫して、存在していなかった」

というのが、正解なのです!

何といっても、

アメリカの「核の傘」は、
実際には、全く存在していなかった、

からです!

伊藤先生が詳しくお話されていますが、
核戦略の基礎理論に基づけば、
「日本に中国や北朝鮮が核を打ち込んだ時、
アメリカは、報復核を撃つと言うことは絶対ない」
わけで、そんな事、アメリカのみならず、中国や北朝鮮も
知っているわけです。

だから、中国や北朝鮮は、

「日本に核を打ち込んでも報復されることなど無い」

と確信を持っているわけで、
したがって、いざとなれば、中国や北朝鮮は、
フリーハンドで日本に核攻撃できるわけです!

・・・そんなことは、核戦略理論を少しでも知っていれば、
誰でも分かることなのに、
日本では、外務省も防衛相も官邸も与党も野党も、
絶対そんなことをアメリカに対して言わないのです。

そんなことを口にすれば、
「アメリカ様に怒られるじゃないか・・・・」
と皆思っているからです。

そして・・・伊藤先生曰く、
アメリカ人の政府要人は、
日本の政府要人たちが決して自分に歯向かわない
「臆病者」であることを深く理解している・・・のだそうです。

だから、彼らは日本人に対して、
深い侮蔑の念を持っているとのこと。

そして、その侮蔑の念を抱きながら、
アメリカは日本に対して

「こいつ、臆病モノだから、
核の傘が無い、ってことを絶対口にできないんだよ。
だから、俺が
『核の傘で、アメリカは日本を守ってやってるんだ
だから、俺の言うように、構造を改革しろよ!』
って言えば、何でも言うこと聞くバカなんだよな、
HA HA HA HA!!」

と思っているとのこと。

で、実際に、歴代の自民党政権は、
アメリカに徹底的な売国行為を働き、
安倍内閣に至っては、
「構造改革徹底推進会合だ~~~!!」
なんて言って、
アメリカ様の言うとおりに日本を作り変える・・・どころか、
アメリカ様に言われて「ない」ことまで勝手に忖度して、
日本を作り変え、売り飛ばし続けているわけです。

どれだけ激しくいろんなものが「売国」されているかについては、
本特集の堤未果先生が詳しく書いておられます・・・。

・・・ホントに恥ずかしく、情けない話です・・・。

でも、それが真実なのです。

そして、そんな安倍外交、そして歴代自民党外交の
情けなき「真の姿」を知るところからしか、
日本の再生はあり得ません。

そんな「真の姿」にご関心の方は是非、
表現者クライテリオンの最新刊をお読みください。

https://www.amazon.co.jp/dp/B081WP9WMC/

追伸;
どれだけ日本人が「恥ずかしい国民」なのかを過不足なく(つまり、“過剰”も“不足”もなく)理解することは、日本再生にとって、最も大切だと思います。是非、ご一読ください。
「別に日本人が世界最低だって言いたいわけではありませんが、日本人の嫌なところを、スウェーデンでよくよく考えてみました。」
https://foomii.com/00178/2019121311000061621

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【藤井聡】臆病者の国、日本は、世界から侮蔑されている。への5件のコメント

  1. たかゆき より

    田中角栄 しかり

    中川昭一 しかり

    奴隷風情が 身の程知らずに

    主様にたいして

    楯突いたり

    刃向かったりなど したら、、、

    文字通りに 殺されますよ。。

    本当に それでも

    いいんですか??

    普通は

    「主様の 命ずるままに」って

    額ずきます よね ♪

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  2. 大和魂 より

    わたくしから、影響のあった一つ憶測を披露させて頂きます。それは、三島由紀夫に代わり政治家になった石原慎太郎についてです。彼は、自民党に嫌気をさして、地方からの政治を志し、取り組んでいましたが、不透明な国際社会の事情により、再度中央の政治に舞い戻っておりましたが、結局は中川一郎、昭一同様、米国の支配者により失脚させられたのです。この現実が理解出来なければ、我が国の再建もあり得ません。つまり核心はそこです。

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  3. 天鳥船 より

    第二次安倍政権が誕生してまだ間もない頃、このサイトの名前が新日本経済新聞だった頃ですが、「安倍政権と先の民主党政権の違いは、売り渡し先が米国か中国かの違いであり、どちらも売国奴という点においては本質的に同じである」といったコメントを書いた記憶があります。
    アメリカの大統領がアメリカファーストなのは当たり前でしょう。アメリカに限りません。どこの国であろうが、国のトップは国家の為、国益の為、国民の為に仕事をするものですから、自国ファーストが当然です。問題は、我が国に「日本ファースト」の政治家がいないことです。
    これも以前に書きましたが、日本に左翼はいません。今、日本で左翼といわれている連中は、正しくは左翼では無くただの反日です。フランス社会党が反仏活動をしたり、イギリスの労働党が反英活動をしたりすることはあり得ません。自国を破壊する工作員がイコール左翼・革新派になっているのは、日本独特の習慣です。同じく、日本には右翼もいません。安倍君や、ついこの間死んだ大勲位を見れば分かるとおり、この国で右派だの保守だのタカ派だのと言われている連中は、正しくはアメポチ(アメリカの犬(ポチ))です。
    国内においては、労働者の権利、国の産業や伝統・文化、そして国民生活の環境、基盤、制度をしっかり守り、国外においては国益や我が国の誇り、尊厳をしっかり守る、この当たり前のことができる政治家はいないのでしょうか(少なくとも私が知っている限り、一番これに近いのは、既に引退された平沼赳夫氏や西村真悟氏くらいです)。

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  4. 神奈川県skatou より

    欧米から日本は見下され、侮蔑されている。

    とても良い話を聞きました。もちろん、チャンスだからです。

    そもそも白人の有色人種蔑視には、恐怖が含まれていたはずです。
    自分たちより身体能力の高い黒人を獣以下にしたかった白人。
    自分たちより勤勉器用で民主主義な日本人に世界の覇権を奪われたくなかった白人。
    戦後軍備を奪い、日米安保で国家維持の自主性を奪って復讐を恐れたアメリカ人。

    愛情、憎悪、どちらも高い関心の現象ですが、侮蔑ならば、油断があります。隙があります。
    つまり敗戦の拘束を我らが(地下で粘り強く確実に)排除するチャンスであります。
    その未来は、われわれ世代にこそ、拓かれるのかもしれないですね。

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  5. かずぅ より

    先月号のKindle版が未だに出ていませんね。
    kindle版だけで毎号購読してる者としてはどうなってるんだ?といら立ちを覚えている次第。できれば発売日に電子書籍も出してほしいところ。紙雑誌は場所を取りすぎて捨てるのが惜しい。なので最近はもっぱら書籍はみな電書。よろしくお願いします。

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