政治

2016年2月4日

【三橋貴明】TPPという主権喪失(前編)

FROM 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

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【耳寄り情報】

「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

『三橋さんは過激な発言をする人だと思っていましたが、、、、、』
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

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2月20日(土)の三橋経済塾第五期第二回講義のお申し込み受付が開始となりました。http://members5.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1412
第二回のゲスト講師は、評論家の中野剛志先生です。
講義出席には、事前に三橋経済塾入塾が必要です。入塾の受付はこちら から。

一般参加可能な講演会のお知らせです。

2月6日(土) 14時開演(13時半開場)
【経世済民のため『亡国の新帝国主義(グローバリズム)』を解体する!セミナー 講師:三橋貴明】
http://hikarulandpark.jp/shopdetail/000000000684/

本日、ニュージーランドでTPP署名式が行われます。TPPについて「主権侵害である」という認識のもと、反対の論陣を張ってきた者として、斬鬼の念に堪えません。

特に、「関税自主権」を取り戻すために、国家を上げ取り組み、二度の戦争を戦い抜いた我が国の先人に対し、恥ずかしく、情けない気持ちでいっぱいです。

TPPは「関税自主権」のみならず、医療、金融、公共調達などのサービス分野に加え、「投資」の自由化までをも含む幅広い「主権喪失」になります。TPPの批准を防ぐ努力をすると同時に、このまま国会で批准されるとしても、各種の法律で歯止めをかける必要があります。

そのための材料は国会議員に直接、提供し続けていますが、本日のエントリーでは最も分かりやすい「関税」について取り上げます。

TPP暫定合意によると、関税の撤廃については以下の通り協定が締結されることになります。

「いずれの締約国も、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならない。
各締約国は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、原産品について、附属書二−D(関税に係る約束)の自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する。」

まさに、関税自主権の喪失以外の何ものでもありません。

ちなみに、附属書二−Aは輸出入の「内国民待遇並びに輸入及び輸出の制限」なのですが、そこに日本の「措置」はありません。カナダやアメリカ、ベトナム、メキシコなどは、様々な「措置」で例外を残しているのですが、日本の場合は全面的に内国民待遇というわけです。(内国民待遇とは外国の企業・投資家を自国の企業・投資家と同等「以上」に優遇することを言います)

附属書二−D(ちなみに、980ページあります)には、農業関連の関税について細かい「表」があり、コメなどについては関税が維持されています。コメはアメリカとオーストラリア向けに無関税の輸入枠(7.8万トン)を設置し、現行関税は維持。牛肉は、38.5%の関税を段階的に9%にまで引き下げ、などになります。

とはいえ、関税が維持された重要五品目についても、最終的には「例外なき関税撤廃」ということになりそうです。

『全農産品で関税撤廃の恐れ TPP協定案を弁護士ら分析
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020202000136.html

交渉参加国による署名式を四日に控える環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、国を相手に違憲訴訟中の弁護士らが協定案の英文を分析し、すべての農産品の関税が長期的に撤廃される恐れがあるとの結果をまとめた。
他の経済協定にある関税撤廃の除外規定が、聖域と位置付けたコメなどの「重要五項目」も含め、ないことを指摘。聖域確保に関する条文上の担保がなく、将来的に「関税撤廃に進んでいく」と懸念している。

分析したのは「TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会」の幹事長を務める弁護士の山田正彦元農相、内田聖子・アジア太平洋資料センター事務局長、東山寛北海道大准教授ら十人余りのチーム。

協定案の本文では農産品の関税に関し、参加国に別段の定めがある場合を除き「自国の表に従って、漸進的に関税を撤廃する」(第二・四条の二項)と明記している。日豪の経済連携協定(EPA)など他の経済協定では、同様の条文で「撤廃または引き下げ」と表現する。TPPは規定上は引き下げの選択肢を除いている。

それでも関税が維持された日本のコメや牛肉などの重要五項目の扱いは、付属文書の記載が根拠になっている。

だが付属文書でも、TPPと日豪EPAなどの経済協定には違いがある。日豪EPAなどには「除外規定」が設けられ、コメは関税撤廃の対象外。TPPには除外規定はなく、逆に発効七年後に米、豪などの求めがあれば、日本のすべての関税に関し再協議する規定がある。(後略)』

東京新聞の記事にもある通り、日豪EPAが、
「締約国は、別段の定めがある場合を除くほか、自国の表に従って関税を撤廃し、または引き下げる」
と、「または引き下げる」という文言が入っているのに対し、TPPは、
「締約国は、別段の定めがある場合を除くほか、漸進的に関税を撤廃する。」
となっています。

また、関税撤廃の除外規定は、日豪EPAにはあるのですが、TPPにはありませんでした。 

しかも、再協議に対する考え方が、日豪EPAは、
「合意を先送りした品目」
が対象であるのに対し、TPPは七年後に、
「一度合意したものを含め全般について再協議」
と、なっています。

要するに、一度「関税を残す」と判断された農産・畜産品についても、七年後に再協議し、「関税を撤廃する」を目指すという話です。しかも、この「七年後の再協議」が義務付けられたのは、我が国だけなのです。

コメや牛肉などの関税は、「七年間の猶予」で残された、という話である可能性が濃厚です。何しろ、そもそもTPPは「例外なき関税撤廃」であり、条文でも「漸進的に関税を撤廃する」になっているわけでございます。ちなみに日本の農産物関税について「別段の定め」がないか、探してみたのですが、特にありませんでした。

安倍総理は、TPP暫定合意を受け、聖域五品目の関税維持など自民党の公約に関し、
「約束はしっかり守ることができた」
などと語っていましたが、現実には「関税撤廃時期の先延ばし」をしたに過ぎないのです。

結局、TPPにより日本は再び関税自主権を喪失し、同時に「関税撤廃」を強いられた。という話になるわけでございます。

ーーー発行者よりーーー

「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

『三橋さんは過激な発言をする人だと思っていましたが…』
 By 服部

“私は今年退職をして、世間から離れて行く様に感じていました。
そんな時、月刊三橋をインターネットで見つけ、三橋先生の
ご意見を聞くようになり、世の流れに戻る感じがしました。

月刊三橋を聞き始めて3か月になります。
最初は過激な発言をする人だなあと思って聞いていましたが、
今回の国債破綻しない24の理由を聞いて、
今まで何回も聞いていた内容が、私のように頭の悪い者でも
やっと理解出来るようになりました。有り難うございます。

これからの日本の為にも益々頑張って頂きたいと思います。”

服部さんが、国の借金問題について
理解できた秘密とは・・・▼▼
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

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【三橋貴明】TPPという主権喪失(前編)への3件のコメント

  1. たけちゃん より

    三橋先生 またぞろマスゴミはSMAPベッキーに続き清原で大騒ぎ、TPP 等何処吹く風です。そんなに清原で騒ぎたいなら清原ASKAの接点、阿片窟女衒のパソナの仁風林の特集を毎日やって貰いたいです。竹中南部や創価が追い詰められるのを見たいものです どうせ闇に葬られるでしょうが、、、、、

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  2. ゆたかy より

    TPPについて多くのネガティヴを巷で見かけます。私は生鮮野菜物を輸入販売している会社を営んでいますが、季節関税を除くアイテムはもともと3%以下でほとんど関税の影響はなく為替にのみ影響されています。どうも皆さんは世界の中の日本産の競争力をわかっていらっしゃらないと思います。食品に限って言えば当然海外品は関税撤廃により安価に輸入できるでしょう。安く日本国民が食べれることは良い事です。あと、例えばここ最近のドル円相場。80円が120円になったということは海外から見たら『日本33%オフ。大バーゲンセール!』です。もう島国の閉鎖的な考え方は止めませんか?当然ですが、海外で日本産を高く売れば済む話です。いくらで売るかは英語力と営業力です。今は為替も後押ししています。こと食糧に関して言えば、反対を表明されている方々は残念ながら日本国内で販売することにしか眼がいっていないノウハウの無い方々なのではないでしょうか?実際に日本産の輸出をされている方からのコメントがあれば参考にさせていただきたいのでお願いします。

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  3. robin より

    国際経済統合、個人の自由を優先するなら国家の自立は犠牲となるというトリレンマを思い出す。リカードの比較優位論が前提にあるのだろうが自由化は平時のみ通じる論理であって災害犯罪などの有事は想定外では。一度致命的な衝撃が起こるだけで崩壊する社会で誰が長期的な投資を行えるのか。言語文化慣習等を共有する国民同士だからこそ相互に信頼可能となり「全体の利益が自分の利益となる」や「情けは人の為ならず」という実践的道徳が有効になるのだと思うのだが。国家無き個人が市場原理主義の単一イデオロギー下で行うのは生き馬の目を抜く「足の引っ張り合い」であって長期的には国は衰退するのではないか。日本の与党も野党も自由化以外の選択肢を持ってないのか。自由に対抗して平等や安全、相互扶助で反対したり短期に対する長期的な展望を議論することすら無駄非効率だということか。雇用や生活環境の安定や安心して暮らせるような持続可能な社会の維持に努めるのが政府の役割だと思うのだが。朝三暮四の話みたいに1万円の丈夫なモノが3000円で買えるようになっても5倍の確率で壊れるでは生活は豊かになったと言えるのか。求めるのは豊かさではなくギャンブル的刹那的な多幸感なのか。お金による即時交換可能な習慣に慣れ過ぎたせいで目先のことしか考えらえられなくなったのか?世代を超えた意識を共有可能にするための仕組みが必要ではないか。

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