日本経済

2025年11月10日

【三橋貴明】政府債務対GDP比率を引き上げたPB黒字化目標

【今週のNewsピックアップ】
こんな愚かしい経済政策を推進した政府が実在した件
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12943513370.html
日本成長戦略会議
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12943752605.html

三橋TV1089回で取り上げた、
「政府債務対GDP比率の引き下げを狙い、
PB黒字化目標を導入したら、
政府債務対GDP比率が上昇していった」
という問題は、
まさに現代の政治家全員に
知って欲しい話なので、
今後も繰り返し
(切り口換えて)
取り上げます。

政府債務対GDP比率は、
「政府債務残高÷名目GDP」で
決まります。
比率を引き下げるためには、
1.分子を小さくする
2.分母を大きくする
のいずれか(あるいは双方)が
必要ということになります。

ところで、
名目GDPとは、
◆名目GDP(支出面)
=民間最終消費支出
+政府最終消費支出
+民間住宅
+民間企業設備
+公的固定資本形成
+在庫変動
+純輸出
の統計です。

当たり前ですが、
足し算なので、
政府最終消費支出や
公的固定資本形成を
削減する、
あるいは
増税で
民間の消費や投資を
縮小させてしまうと、
名目GDPは小さくなります。
足し算でございますから。

PB黒字化目標は、
まさに政府支出削減と、
増税により収支を
黒字化しようという
悪夢の政策だったのです。

PB黒字化目標により、
名目GDPという分母が小さくなり、
2001年の目標導入以降、
政府債務対GDP比率は、
むしろ上昇していくことになりました。

結局、問題は何だったのか。
日本の名目GDP、
実質GDP、
そしてGDPデフレータの動きを
見れば分かる。

【日本の名目GDP
実質GDP
GDPデフレータの推移
(対前年比%)】

http://mtdata.jp/data_96.html#3GDP

恐ろしいことに、
デフレ下の日本では、
GDPデフレータは
マイナスが
「基調」な状況になっていました。
つまりは、物価が下がり続けた。

となれば、
実質GDPの成長率が
名目GDPの成長率を
上回る実名逆転状況が
終わらない。

実質GDPは、
名目GDPから
GDPデフレータの物価上昇分を
「控除」して計算されます。
つまりは、
常に名目GDP成長率が
実質GDP成長率よりも高いわけで、
実名逆転は異常事態です。

GDPデフレータの
ゼロ・マイナス基調は、
事実上、
2022年まで続いた。
97年と14年に
GDPデフレータが
プラス化していますが、
これは消費税増税によるものです。

要するに、
日本はデフレだったのですよ。
これが、問題だったのです。
実際、
2023年のデフレ脱却
(※但しサプライロス型インフレ)以降、
名目GDPが拡大を始め、
政府債務対GDP比率は、
勝手に下がっていっています。

そして、
この超長期デフレーションを
継続させた戦犯こそが、
PB黒字化目標なのです。
PB黒字化目標により、
民間、政府の支出(=名目GDP)が
高まらない。
結果、政府債務対GDP比率は上昇する。

すると、
政府債務対GDP比率の上昇を受け、
「PB黒字化が必要だ」となってしまい、
はや四半世紀。

落ち着いて考えてみれば、
誰にでも理解できる。

政府債務対GDP比率の分母の
名目GDPは足し算。
PB黒字化目標は、
引き算であるため、
名目GDPの成長を抑制する。
成長率に
蓋をかぶせておくようなものです。

すると、
政府債務対GDP比率は上昇する。
そして、
PB黒字化目標は、
政府債務対GDP比率を
「引き下げる」ことが
目的で導入された。

いい加減に
正さなければなりません。

Mitsuhashism【第九巻】
人口・移民・経済成長
https://keiseiron-kenkyujo.jp/mitsuhashism/
【第一章】移民受入で経済成長した国
【第二章】第二次欧州移民危機
【第三章】移民政策とユートピアニズムのカラクリ
【第四章】高度経済成長の再来

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【全要素生産性と経済成長】
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「全要素生産性と経済成長」
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維新の政策、
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債務残高対GDP比の意味は?
高いとどうなる?
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https://youtu.be/mggwwkWINMw

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10月18日(土)、
三橋経済塾第十四期第十回対面講義を
配信致しました
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2493
ゲスト講師は峯村健司先生でした。

11月以降の予定は以下の通り。
https://members14.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

 第十一回 11月15日 大場一央先生
(早稲田大学非常勤講師)

 第十二回 12月20日 堀茂樹先生
(慶應義塾大学名誉教授・仏文学者)

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【三橋貴明】政府債務対GDP比率を引き上げたPB黒字化目標への5件のコメント

  1. 利根川 より

     高市総理が”単年度の”プライマリーバランス黒字化目標は撤回するということで、かなり野党…というか、積極財政派を意識しているであろうことが窺えます。
     まあ、単年度でのPB黒字化目標の撤回ですので、複数年度ではどうなのかという話になるわけですが、財務省を本気で怒らせないで、かつ、財務省の手下とも思われないギリギリのラインを攻めたということなのだと思います。
     やはり、きちんと「議論」が行われるようにするためには自民党一強ではダメだったのだなとあらためて思いました。

    コバホーク
    「自民党の支持率はそれほど上がっていない。結局は政策で結果を出さないと意味がない」
    (11月1日 岐阜市内で講演より)

    高市さんの人気自体は非常に高いものの、自民党自体の支持率は、日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査では石破政権より低いということで、、、三橋さんが経済に関する知識を国民に浸透させてしまったので、小泉政権や民主党政権の時みたいにはいかなくなってきているようです、結構なことじゃないか(笑
     さて、財政制度等審議会(財務省の諮問機関)で片山財務大臣が

    片山財務大臣
    「『財政出動』と『財政健全化』の両立が必要だ」

    との見解を示したということです。”いつも通り”ですね。
     

    財務官僚
    「緊縮増税をしながらなんとか景気をよくする方法はないものか」

    なかったでしょ、そんなもの。もう30年やったんだからいい加減にしてもらいたい。見りゃわかるけど、国民はもう限界でしょ、負担を軽くしなきゃダメでしょ!

    財務官僚
    「1.5兆円減税するのであれば、その減税の財源が必要だ。1.5兆円増税しなければならない!」

    森永康平さん
    「それじゃ負担軽くならねえだろ、いい加減にしろ!」

    話がそれましたが、11月12日、読売新聞朝刊によると、財政制度等審議会の分科会で以下のような方針が示されたようです。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    介護保険サービス利用者の自己負担を巡り、現在、自己負担割合が1割のサービス利用者が全体の91.9%を占める中、現役世代の負担増加を抑制するため2割負担の対象者の拡大が必要との考えを示した
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~

    え~と、高市政権って積極財政なんですよね?現役世代とサービス利用者をいがみ合わせて財務省から敵対心をそらせる手法、これ、今までの政権と何が違うの?

    【解明】日本の年金制度は破綻しない…?老後不安を煽るメディアの誤解に切り込みます。(クレディ・アグリコル証券チーフエコノミスト 会田卓司)【ニュースの争点】

    経済成長なんてさぁ、内戦やってるのでもなけりゃどこの国も普通にできていることなんだから、そのくらいやりなよ。
     私が政治に求めていることなんて「最低限」のことなんですよ。すなわち、悪いことやっててもいいから「国民を豊かにしてくれ」(国民一人当たりの実質GDP(実質の生産量)を増やしてくれ)これしか求めてないの。
     この先、災害・戦争・パンデミック、色々なことが日本に起こると思うけど、その時に道具(生産能力)があれば何とかなる可能性があるわけ。だから、経済だ(生産能力だ)って言っているわけでね…
     で、生産能力を高めるためには作った物が売れないといけないけど、

    国民「金が無いので節約します」

    企業「物が売れないので設備投資できません」

    政府「財務官僚の出世のために緊縮増税します」

    ※財務官僚の仕事力 最強官庁の知られざる出世事情 (SB新書)参照

    節約ばっかで誰も金使わないのに生産能力高まるわけがないだろと…

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      1. 利根川 より

        ついでに、高市総理は自身と閣僚の報酬を削減する法案に取り組んでいるそうですが、、、

        身を切る改革とかそういうパフォーマンスは必要ありませんので

        というか、ちゃんと報酬貰ってちゃんと使え、消費を減らすようなことするから経済成長しないんだろ!
         それから、議員定数の削減、こんなことやったってたいして政府支出は減りませんよ。ただただ、国民の声が政治に届きにくくなるだけです。
         高市さんのやってることって構造改革主義者(緊縮・増税派)が今までやってきたパフォーマンスそのままなんですよね。その中に無理やり積極財政っぽい言動も放り込んでみましたみたいなチグハグさを感じるというかなんというか…ほんとに積極財政派なのか疑わしい。

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  2. 利根川 より

     はい、安藤裕参議院議員が国会で質疑に立ったということでね…片山財務大臣から結構重要な答弁を引き出しているので、いまだに「消費税の免税事業者は益税をむさぼってる!」とわめいている情強(笑)の皆さんはしっかり情報を仕入れてくださいな(苦笑い

    【国会中継】「閣僚給与・食料品の消費税ゼロについて」参議院議員 安藤裕 国会質疑 令和7年11月14日 参政党

    以下、書き起こし
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    安藤議員「次に消費税について伺います」

    安藤議員「基本的には財務大臣にお伺いしますけども、所々、総理にも見解をうかがいますのでよろしくお願いします」

    安藤議員「まず、財務大臣にお伺いしますが、消費税の納税義務者についてお聞かせください」

    片山大臣「消費税法上、納税義務者は事業者と規定されておりますが、消費税は大変な議論の上、難産でできた」

    片山大臣「1988年の税制改革法においては直間比率の是正を正していくという議論の中で出てきた税金であるだけに、事業者が消費税分を円滑かつ適正に転嫁するものとすると書いてある」

    片山大臣「事業者が納税義務者なんですけども、価格への転嫁を通じて最終的には消費者が負担することを”予定”しているということをずっと説明してまいりました」

    安藤議員「はい、ありがとうございます。重ねて伺います。”法律上は”消費者は納税義務者ではないですね?」

    片山大臣「今申し上げた通り、事業者が法律上の納税義務者となっておりますが、立法時の性格付けという意味で、税制改革法上の”転嫁”の話をしました。ですので、納税義務者は事業者です」

    安藤議員「しつこいようで申し訳ないんですけども、国民の中では消費税は消費者が納税しなくてはならないと思っている方が多いと思うんですけども」

    安藤議員「あらためて、消費者が消費税を納めるものではないということを明言していただけませんか?」

    片山大臣「最終的な経済的な負担か転嫁によってどうなるかという議論と、誰が経済取引の中で申告して納税できるかと言う議論は別のことなので、その意味では税法上の納税義務者ははっきりと事業者であります」

    安藤議員「はい、ありがとうございました。それでは次に伺いますが、消費税の制度上、小規模事業者に対する免税、簡易課税制度、インボイス特例等、色々な制度がありますけども」

    安藤議員「これらの制度があるために『消費者から受け取った消費税を税務署に収めずに自分の利益にしている』いわゆる『益税』というものは制度上存在しているのでしょうか?」

    片山大臣「益税は存在するかと言うことですが、その一義的な定義が、たとえば免税事業者が仕入れ時に支払った消費税額を超えて、いわゆる本体価格に消費税相当額を上乗せした対価を販売時に受け取れば、その超えた分はいわゆる益税の問題、というのはございます」

    安藤議員「あの、私が聞きたいのはですね、消費者が消費税として払っているものの内、ちゃんと税務署に払われていないモノがいわゆる『益税』と世の中で言われているのですが」

    安藤議員「先ほどの、問いと被りますけども、消費者が、法律上ですよ、(消費税を)負担するものではないとするならば、消費者が支払った消費税が税務署に支払われずに益税になっているということはない、ということでよろしいですね?」

    片山大臣「消費者がご負担しているものの差があるということだったんだと思うんですけども、いろんな議論で益税がどれくらいかるのかということもですね、免税事業者がある制度ですから免税所業者についてご承知のように、我が国の制度では全容を把握できていないものですから」

    片山大臣「繰り返し先ほどもおっしゃっているように、その差はありますから益税的なものはあるので、そうすると、全部ではないということになるかと思います」

    安藤議員「あの、ちょっとよくわからないのですが、消費者が…、法律の話ですよ、法律の話をしてます。消費者が法律上、消費者が負担している消費税と言うものが税務署に収められなくて益税になる事象はあるのかという質問です」

    片山大臣「あの~、そういう切り口からの質問でございますと、消費者が消費税法上の納税義務者とは書いていないから、法律上、そういうこと(益税)にはならないということでございます」

    安藤議員「はい、ありがとうございます。法律上、益税は”ない”ということですね」

    安藤議員「パネルを出してください」

    安藤議員「益税があると世間一般ではよく言われるんですけども、国民はですね、多くがこういうイメージで消費税をとらえているということです」

    安藤議員「つまり、適正な経費・原価に、適正な利潤・利益が乗せられて、まず、適正な売価が設定されて、」

    安藤議員「そこに更に消費税8%か10%が上乗せされて適正な販売価格が設定される、これで全ての取引が行われているとほとんどの皆さんがこう思ってるんじゃないか」

    安藤議員「消費税の設計はこういう『設定』で設計されていると思いますが、いかがですか?」

    片山大臣「あの~、この委員会においてインボイスがなぜ出てきたのかというお話もお答えさせていただいているので、多分この議論を突き詰めていくとそこに行きつくと思うんですが」

    片山大臣「わたくしが今、国税の制度法律の所管の大臣でございますので、事業者の値決めついてのイメージについて、確定的にここでお答えするのは非常に辛いというか、なかなかできないんですが」

    片山大臣「一般論として事業者が消費税を支払った上で所要の利益を確保しようと思ったら、今お示しかあったような形での考え方も当然、リーズナブルなものもあって税込みの販売価格が決まるのかなと言うのは分かります」

    安藤議員「はい、ありがとうございます。ほとんど、ここにおられる国会議員の皆さんもこのイメージで消費税についてとらえていると思いますが」

    安藤議員「これが成り立ってたら日本国内に赤字企業は存在しませんね」(適正な利益をのせて販売してるのだから赤字にならない)

    安藤議員「低賃金労働者もいません」(適正な値段で雇われているはずだから)

    安藤議員「買いたたきもありません」(適正な値段で取引されているはずだから)

    安藤議員「そのような夢のような社会です」

    安藤議員「ちゃんと利益がとれて、そこに更に消費税分が10%上乗せされているならば消費税と言うのは全く問題のない税金です」

    安藤議員「だけど、日本国内には赤字企業がいっぱいあって、低賃金労働者がいて、買いたたきもいっぱいあるわけです」

    安藤議員「これは(消費税設計時に想定されていた価格転嫁という設定は)あくまでイメージであって幻想です。現実ではありません」

    安藤議員「だけど、多くの皆さんは、このイメージで(全ての取引は価格転嫁が適正に行われた上で成立している)消費税について語っています」

    安藤議員「だから、まともな消費税の減税についての議論にならないんですね。いかがですか、片山財務大臣」

    片山大臣「委員のご指摘の点、よくわかるんですよ」

    片山大臣「この税金は間接税しか広くご負担いただける、そういう徴収の制度しかないっていうヨーロッパのフランスで、戦後経済が非常にきつくなった時にできた」

    片山大臣「それをヨーロッパ中がほぼ皆使ったというものですから、元々、所得税についての源泉徴収など全くない、皆が広く負担するものは間接税しか無理だと思ってますから」

    片山大臣「仕送り前段階控除制度が無くて、前段階控除制度を入れて皆が払うものにしようということで納得してできたものを、1985年に自民党税調がフランスに調査に行って」

    片山大臣「立法者に通訳してたのが私なんですけど、ってことで出来上がった」

    片山大臣「で、一回失敗してやっと入ったというものなんですけど」

    片山大臣「それと、ず~と、いろんなギャップをなんとか調整しようとして出てきてるんですが」

    片山大臣「あちらの国では間接税は元々、毎月毎月払うんだよねっていうのがあるので、日本と違って毎月納税とかにヶ月納税にしているところが多いんですよ」

    片山大臣「何を言いたいのかっていうと、日本の場合は第二法人税的なものとしてとってきたものですから、年度の最後の調整の所でとってるんで」

    片山大臣「何が起きるかっていうと、キャッシュフローを使ってしまうということが起きるんですよ」

    片山大臣「私は税務署長をやっていましたから分かるんですけども」

    片山大臣「それが、なんとかそうじゃなくて、毎月毎月、こういう適正と思われる値決めが行われて納税が出来れば」

    片山大臣「『消費税が払えない』ということで、資金繰りで倒産する人はいないはずなんですけども、実際に居るので」

    片山大臣「非常に多くの税理士を抱える団体の方から『きついかもしれないけど、毎月納税にして、その代わり取引先は毎月納税なんだよと言うのを理解して、少しでもこういう形に近付けなきゃ』という意見さえ今回の税制改革では出てきているので」

    片山大臣「おっしゃっていることはよくわかりますが、実際にはそうはなっていないので、こういうことになっていると承知してございます」

    安藤議員「はい、あの~、今のご説明だと、結局、この値決め(全ての取引は適正な経費・原価に、適正な利潤・利益が乗せられて、適正な売価が設定されている)が出来ている前提で色々考えようというイメージになっていると思うんです」

    安藤議員「そもそも、皆、給料上がってないから値上げなんてできないんです」

    安藤議員「ですから、赤字企業であったり、利益が薄い所は、当然、消費税分なんか上乗せできてません」

    安藤議員「消費税と言うのは『売上税』です」

    安藤議員「売り上げに課税している税金です。売り上げの10%を持ってこいと言うのが原則であって」

    安藤議員「インボイスのある経費だけ差し引いて、残りを納税しろと言う仕組みになっています。これ間違いないですよね」

    片山大臣「おおまかに、そういう納税の仕組みでございます」

    安藤議員「と言うことはですね、売り上げから全ての経費が差し引けない、経費の一部しか差し引けないから、赤字でも課税されるんですよ」

    安藤議員「こんな税金あり得ないんですよ」

    安藤議員「納税できる能力が無い、応能負担の原則でなくてはならないのに、赤字企業にも課税しているのが消費税です」

    安藤議員「だから、廃止なんですよ」

    安藤議員「先ほど賃上げの話をしてますけど、賃上げする原資を持っていく前に消費税を納税しろって言われているんです」

    安藤議員「だから賃上げできないんですよ」

    安藤議員「消費税っていうのは賃上げ妨害税です」

    安藤議員「これを是非、認識をしていただきたい。総理、いかがですか?」

    高市総理「賃上げ対策としては、この委員会でも述べてまいりました。別途の政策で取り組んでまいります」

    高市総理「先ほど片山大臣が答弁した内容は決して間違っているものではなく、私自身がそういう要望を受けている議員連盟の会長を務めてます」

    高市総理「(消費税の)納税事業者である事業者がですね、毎月納税をする義務が無いレベルの事業者であってもですね、これ、毎月納税に変えるべきなんじゃないかと」

    高市総理「ま、こういう要望がきてるんですね」

    高市総理「何でかって言ったら、毎月納税だったら、その度にですね、フローも含めてみますよね」

    高市総理「だけれども、(年度末納税だと)まとめて払おうとしても使っちゃって払えなくなってしまう」

    高市総理「そうなるとですね、公共調達なんかも入れなくなりますよね。それで倒産に至ってしまう」

    高市総理「そういう状況も起きてると」

    高市総理「先ほどの財務大臣の答弁と言うのはそういうケースを紹介したものであろうかと思います」

    安藤議員「はい、ありがとうございます」

    安藤議員「あの~、残念ながらこのイメージ(机上の空論:全ての取引は適正な経費・原価に、適正な利潤・利益が乗せられて、適正な売価が設定されている)から抜け出せていないと思いますし」

    安藤議員「こんなに値上げが出来ていない(価格転嫁できていない)事業者がいっぱいあることは、是非ご理解いただきたいと思います」

    安藤議員「次に、食料品の消費税0についても伺いたいと思いますが」

    安藤議員「食料品の消費税を0にすると全ての食料品の価格はきれいに8%下がるんでしょうか」

    片山大臣「あの~、全てきれいに下がるかどうかというのは価格への反映がどのくらい出来ているのかとか、そういうことになるんで」

    片山大臣「(消費税の商品価格への価格転嫁が)できていれば税率引き下げ分が価格に反映されることがあるんですが」

    片山大臣「これ、率直に言って、簡単に税率を引き下げた国があるねと言ってドイツとかイギリスの話を聞かれるんですけども」

    片山大臣「それらの国で食料品(の消費税が下がって)これら(食料品価格)も下がったかと言うと総額表示だけやってる国が多いので」

    片山大臣「一連の商取引の中で全部抱いてしまって、あまり値段は変わっていないということがありました」

    片山大臣「だから、認識としてはそうあるのかなと思いますが、実体経済については我々も何も分かってないわけでもないので、そのようになるかは確たることは申し上げないですけども」

    片山大臣「あの、そういう整理はあると思います」

    安藤議員「はい、ありがとうございます」

    安藤議員「それでは、食料品の消費税を0にすると、飲食店は『仕入税額控除』が取れなくなるので、間違いなく増税になる、この認識でよろしいですか?」

    片山大臣「あの~、消費者等が支払った消費税相当分の納付は各段階の事業者が分担して行う、今の仕組みはそういう仕組みでございますが」

    片山大臣「飲食店が売り上げ時に受け取った消費税相当分については飲食店自信と、色々仕入れ先が分担して納税していることになるわけですが」

    片山大臣「食料品の仕入れ先、食料品を売ってくれている仕入れ先については消費税相当分が上乗せして支払わなくなるので、控除もできなくなるということですから」

    片山大臣「消費税の食料品の消費税率が8%であり、食料品の仕入れ先と分担して納税していた時と比べて自ら納税する金額が増えるということになりますから」

    片山大臣「委員がおっしゃったように、そうなる(増税になる)と思いますが、これは、飲食店さんが食料品の仕入れ先の消費税相当分を支払うのか、自ら納税するのかの違いに過ぎないというのが、この制度の本来の建前上の整理なんで」

    片山大臣「税率引き上げ等によって増税したわけではないけど、おっしゃったようなことになる(事実上の増税になる)可能性はあるということでございます」

    安藤議員「あの、ちょっと、答弁が長すぎてよくわからないんですが、あの、飲食店の税負担は増えるのか増えないのか、そこだけお願いします」

    片山大臣「あの、今、(答弁書の)中段までの申し上げましたように控除できない分が出てくるわけですから、その分だけ(飲食店の税負担は)増えうるというか、増える可能性が高いですね」

    片山大臣「食料品の仕入れが当然あるでしょうから」

    片山大臣「そういう意味です」

    安藤議員「はい、ありがとうございます」

    安藤議員「食料品の消費税を0にしても食料品の価格は税率道理下がらなかった場合には飲食店には増税のダメージが発生するので経営は悪化するという理解でよろしいですか?」

    片山大臣「まあ、その~…、今現在、食料品(消費税)0につきまして経済的な分析までしておりませんから委員がおっしゃったような現象だけなのか」

    片山大臣「色々な副次効果があって、たとえば、売り上げ全体が増えるとか、環境が消費にとって良くなるとか、そういうものは全く見込めませんから」

    片山大臣「そこだけ計算すればそういうこと(飲食店の税負担増加)もありうるとは思います」

    安藤議員「はい、ありがとうございます」

    安藤議員「今日は、消費税の本質について質疑をさせていただきましたが、消費税と言うのが売上税であって、価格に必ず上乗せされているものではない」

    安藤議員「そして、価格に(消費税相当分を)上乗せできていない場合は中小企業に多大なるダメージを与えている」

    安藤議員「このことを是非、ご認識いただきたいと思います。よろしくお願いします」
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

     今回の質疑で明らかになりましたが、どうやら自民党は理論を現実に近づけていくのではなく、現実を机上の空論に合うように改変しようとしているということが明らかになりました。

     机上の空論というのは、全ての取引は適正な経費・原価に、適正な利潤・利益が乗せられて、その上に消費税相当分が上乗せされて適正な販売売価が設定されているはず、というものですね。世の中、そうはなっていないようですよ(苦笑い

     また、自民党は「食料品だけ消費税0」にしても、食料品の価格はたいして下がらないだろうということ、飲食事業者はむしろ増税になるであろうこと、これを分かっていて進めようとしていることも明らかになりました。

    自称保守「高市さんは積極財政派!」

    これのどこが積極財政なのでしょうか?自民党内の積極財政派はいったい何をやっているのか!?

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      1. 利根川 より

        ~~~~~~~~~~~~~~
        高市総理「(消費税の)納税事業者である事業者がですね、毎月納税をする義務が無いレベルの事業者であってもですね、これ、毎月納税に変えるべきなんじゃないかと」

        高市総理「ま、こういう要望がきてるんですね」

        高市総理「何でかって言ったら、毎月納税だったら、その度にですね、フローも含めてみますよね」

        高市総理「だけれども、(年度末納税だと)まとめて払おうとしても使っちゃって払えなくなってしまう」

        高市総理「そうなるとですね、公共調達なんかも入れなくなりますよね。それで倒産に至ってしまう」

        高市総理「そういう状況も起きてると」

        高市総理「先ほどの財務大臣の答弁と言うのはそういうケースを紹介したものであろうかと思います」
        ~~~~~~~~~~~~~~~

        カネがなくならないうちに徴収する(毎月、消費税を納税させる)そんな計画が話し合われているようですが…、応能負担の原則から言って赤字の企業から税金取ったらダメだろって話がどうして毎月納税させるって話になるんだか。加えて、全ての事業者は製品価格に消費税相当分を上乗せして販売しているはずだと片山財務大臣は言っていますが、現実にはそうなっていないわけで、消費税分を客から受け取っていなくても消費税は払わされてるわけで、これ、問題しかないだろって話をしているのに、

        「消費税導入は苦労したから~」

        とか、そんな話をされても(困惑
        繰り返すようだけど、どこが積極財政なの?
        もうね、麻生さんも安倍さんも、積極財政のふりをして支持を得て、政権をとったらバリバリ増税するってことをやっていたわけですが、同じ手口を何度も使われると流石に腹が立ちますね…

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  3. 利根川 より

     11月13日 国民民主党の浜野喜史議員が貨幣のでき方(銀行制度の仕組み)について日銀や片山大臣から重要な答弁を引き出しているので、安藤裕議員の消費税に関する議論と合わせてご視聴ください。
     銀行が何をやっているのかも分かってない連中に経済が分かるわけがないのでね…国民民主は玉木さんがブレるのでなにかと大変そうですが、私は政党や政治スタンスを問わず、信用創造を理解している人は応援しますよ。信用創造を分かってて緊縮やってる連中は豆腐の角に頭でもぶつければいい。

     それから、鈴木宣弘さんが鈴木農水大臣にツッコミを入れてくれたのでこちらもどうぞ⇓

    【緊縮財政の闇】鈴木農水大臣「俺が責任を取る」は本当か?日本のコメ政策が迷走する理由 鈴木宣弘氏

    鈴木教授
    「米騒動がなぜ起きたのか?」

    「米の需要が10万トン減ってるから生産も10万トン減らせ」

    「そうして減反を続けていたわけですが、農作物の生産は天候に左右されますので、10万トン減らそうと思ったらそれ以上に減ってしまうこともあるわけです」

    「天候による影響が大きい農業で、生産量で調整しようというのが無理があった」

    深田萌絵さん
    「元農林水産大臣の山田先生も、農水省のデータを見ると3年前からコメが足りていないと既に分かっていたと」

    鈴木教授
    「くわえて、米価が30年前の半分以下になっちゃって米農家が廃業したことで生産量が減っていたのもある」

    「最初、農水省は『米は足りてる!』と言っていたわけで、自分たちの政策は間違ってないと言いたかったんでしょう」

    「生産調整が間違ってたとか、農家の疲弊を放置したということにしたくないから『米は足りてる!』と言って『流通や農協が悪い』とそっちに責任転嫁してたわけです」

    「でも、米は足りてなかったと認めて、無理に生産量で調整するのは限界だとやっと気が付いたはずだった」

    「ところが、ふたたび減反」

    「旧来の生産調整の考え方に戻っちゃってる。でもこれをやると、また米騒動が起こるわけですよ」

    鈴木農水大臣
    「米の市場価格には関与しない!値段は市場が決める(キリッ」

    鈴木教授
    「市場には関与しないと言いながら生産量を抑制したら価格上がるじゃないですか」

    「価格に関与しているじゃないですか」

    鈴木農水大臣
    「備蓄米は米が不足している時にだけ出すもの(キリッ」

    鈴木教授
    「不足してるときに出すってことは市場価格を下げる効果があるわけで、市場価格に関与しちゃってるじゃないですか!」

    「なんで旧来の手法(減反)に戻るのかと言うことですが、そこはね、財政出動ができないことと関わってくるんじゃないかと」

    「本来であれば、米農家さんには自由に米を増産してもらって、需給にゆとりを持たせ、米価格が低下して農家さんが困ったら財政出動で直接支払いして困っている分を政府が埋めてあげればいい」

    「なのに、とにかく政府はカネは出せないみたいな議論になっちゃってね」

    深田萌絵さん
    「減反してお米券配って、アメリカのお米をいままでの75%増で輸入しますってわけわからないことしてませんか?」

    鈴木教授
    「(国内のお米の)生産は抑制しておいて、お米券配って(アメリカ米の)輸入は増やすわけですよね」

    「いままで、アメリカとは内緒で(アメリカ米を)35万トン必ず買うと約束してたのをトランプ大統領にバラされて、61万トン買うと」

    深田萌絵さん
    「今年はお米が余ってる。お米が余ると米価が下がって農家が大変だから減産しますって発表してるのに、アメリカからお米を倍買いましょうって、めちゃくちゃですよね」

    「整合性が取れてないにも程がある」

    鈴木教授
    「農水省の職員への訓示で鈴木農水大臣がはっきり言ってるのが『財政の壁を破ろうじゃないか』『全責任は私が取る皆さん頑張ってくれ』という趣旨の宣言をされた」

    「言ってんじゃないですか、だったらやってくださいと」

    「わたしはその言葉に一縷の望みを…ちょっと今のところだと難しいんだけども」

    「そこまで言ったのであれば、今やっていることは整合性が取れていないので『そこをちゃんとやってください』と期待を込めて申し上げたい」

    鈴木教授、深田さん、ありがとうございました。本当にちゃんと積極財政やってもらいたいところですね。

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