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2025年9月19日

【藤井聡】自民総裁選「高市一択」な7つの理由 ~その学術的、言論的考察~

高市早苗氏が、自民党総裁選の出馬を表明されました。

これで、総裁選候補として名前が取り沙汰されている以下の5人全員が出馬を表明された事になります(高市早苗、小林鷹之、小泉進次郎、林芳正、茂木敏充)。

これらの内どなたが自民党総裁に相応しいのかの選挙戦の火蓋が切って落とされる事になるわけですが、当方はこれまで京都大学の都市社会工学専攻における教授としての学術研究、ならびに言論誌表現者クライテリオンの編集長としての言論活動の双方を踏まえ、圧倒的な格差でもって「高市一択」であると考えています。

その理由については当方のTV番組『東京ホンマもん教室』(https://s.mxtv.jp/variety/honmamon/)で
『総裁選「高市一択」な7つの理由』
と題して詳しく論じ、今週土曜日9月20日午前10時から放送&Youtube配信する予定なのですが、ここではその「高市一択な7つの理由」を、スライドを使いながらご説明差し上げたいと思います。

そこで論じた理由は以下のもの。

高市一択な理由(1):積極財政
高市一択な理由(2):野党連携
高市一択な理由(3):破壊的改革回避
高市一択な理由(4):トランプ連携
高市一択な理由(5):対中均衡
高市一択な理由(6):対等外交
高市一択な理由(7):世論の支持

以下、一つずつ解説さし上げたいと思いますがその第一の理由は「積極財政」

全候補者の中で、日本再生のために必要不可欠な積極財政を最も明確に主張しておられるのが高市氏です。

例えば、玉木氏が主張している、自民・公明・国民の「三党合意」による「178万円への年収の壁引き上げ」による所得税減税を明確に打ち出しているのは高市早苗氏ただ一人、です。

「三党合意」なのですから、どの候補者も主張可能な筈、というよりも主張す「べき」内容であるにも関わらず(無論、その内やります、という程度にはそれが三党合意である以上、誰もが発言されるとは思いますが)、後ろ向きであるのは、それだけ党内の緊縮財政派、さらには財務省の「反発」が強いからなのです。

これに加えて成長のための各種のインフラ、研究開発、資源エネルギー開発、防災等の需要投資が加速できれば、日本経済は大いに活性化し、あらゆる問題が緩和・解消していくと同時に、積極財政に対して懐疑的な「緊縮派」「財務省」にとっても極めて肯定的な帰結をもたらします。すなわち、それによって財政が抜本的に健全化するのです。

「経済財政無くして財政健全化なし」である以上、高市氏の積極財政「だけ」が、長期的、本格的な財政健全化をもたらすのです。

この一点を考えるだけで、「高市一択」と言うことが出来るほどの強力な理由と言えるでしょう。

第二の理由は「野党連携」です。

しばしば高市氏は「野党連携の調整が難しいのでは」と指摘、報道されていますが、全くそうではありません。

そもそも国民民主の玉木氏は筆者に何度も「緊縮財政の総裁とは組めない」「積極財政を明確に打ち出さなければ、組む事はできない」と主張されています。

その言に基づくなら、高市氏の積極財政論を本格的に採用する以外、自民党が国民民主との連携はできない、と考える他ありません。

つまり、国民民主との連携を図る上でも「高市一択」となる公算が極めて高いのです(無論ん、どの候補とも「部分連携」はあり得るものではありますが)。

第三番目の理由は、「破壊的改革回避」です。

高市氏の強力な対抗馬は小泉進次郎氏ですが、彼は上記の様な実に様々な「改革」を主張しています。

実態を知らない多くの国民は、こうした諸改革がどれ程巨大な公益被害をもたらすのか、理解されていないことが多いかもしれませんが、現状を知る関係者にとっては、背筋が凍るほどに恐ろしい破壊的改革ばかりなのです。

もしも小泉・高市の決選投票となるなら、こうした破壊的改革を避けるには「高市一択」となるわけです。

以上は内政についての理由でしたが、以下は外交に関する理由です。

外交と言えば何よりもまず、「トランプ連携」。これが第四番目の理由です。

トランプは、「世界の警察」&(貿易赤字を前提としたドルの世界への供給という)「世界の中央銀行」というこれまでの基本方針を、「アメリカの国益拡大」に重点を置く戦略へと大転換しようとしています。

これは日本にとってみれば、日本の経済・安保の双方について、「日本のアメリカ依存を軽減させる方針を、アメリカが打ち出した」という事を意味しています。

したがって、日本は経済的安保的に「自立」しなければならない、という事になるのですが、これまでの石破政権に至るまでの各政権、そしてそれを引き継ぐ進次郎ら他の候補者達は皆、「米国依存」に基づく外交戦略を全ての大前提としています。

したがって、彼らではトランプとの「連携」が不可能なのです。その点高市さんは、経済についても安保についても「自立」することをかねてより主張してきた保守政治家。

これまでのバイデン氏等では、高市氏の自立路線は歓迎されず、むしろ邪魔立てされる可能性がありましたが、トランプならばむしろ歓迎し、日米関係がこれまでとは別次元のより「対等」な関係へと展開していく事が可能となるのです。

つまり、トランプ政権のアメリカとのWinWinの外交関係構築に向けてもまた、まさに「高市一択」となっているわけです。

次の第五番目の高市一択な理由は、先の「トランプ連携」を前提とした「対中均衡」です。

ここ数カ年の日本政府、すなわち岸田・石破政権は、米国依存が困難となりつつある中、中国を新たな依存対象とすべく「中国すりより外交」を大きく展開してきました。

しかし、その方針では極東における中国の相対的優位性が高まり、かえって極東安保が不安定化するリスクが高まってしまいます。

中国にしてみれば、こうした状況は、「典型的な日米デカップリング対策=日米分断工作をしかけ、それに日本がまんまと乗っかってきている」という構図そのもの。誠にもって情け無い話です)。

そして進次郎氏は岸田、石破路線を完全に引き継ぐ事になりますし、とりわけ親中派の林氏もまた、同様です。

進次郎氏や林氏らが総理になることを中国は「熱烈歓迎」するでしょうし、短期的には中国との関係が良好になり、一見すれば「安心」できるように見えるのでしょうが、実態はむしろ逆で、日米分断を導き、極東の安保を不安定化させる、大変に危険な外交態度なのです。

その点、トランプ政権との連携を通して日米関係を強化すると共に、自主防衛力増強を図らんとする高市政権なら、中国が日本を「侮る」傾向が低減し、日中間で均整のとれたバランス・均衡が採れる事が期待されます。

そうなればむしろ、極東の安保が安定化することが期待されることになります。

対中関係の適正化、極東の安保の高度化のためにも、やはり、中国すりよりを回避し、対等な関係を目指さんとする高市外交は合理的な方針なのです。

そしてそんな「対等外交」を、トランプや習近平のみならず、プーチンも含めて展開することができる見込みが最も高い、というのが第六番目の高市一択な理由です。

そもそも、トランプ、プーチン、習近平の年齢は皆70才以上。44才の進次郎による、彼お得意の「ひとたらし」戦略が通用するのは、せいぜいが自民党の長老・重鎮達に対してだけ。そんな矮小なものが、戦争や暗殺や粛正が当たり前の米中露の老獪な首脳陣に通用する筈もありません。

その点で考えても、せめて60才以上の高市さんや茂木さん、林さんの様な方々でないと対応は不可能なのです。

しかも高市さんは「党内の重鎮達に媚びる」という事を徹底的に回避してこられた方。党内ではそれはしばしば、批判の対象とされてきたのかもしれませんが、米中露の首脳陣達と対峙するにはそうした政治姿勢はむしろ大きなメリットとなります。

したがって米中露等の大国首脳陣との対等外交を企図する上でもやはり「高市一択」だと言うことができるわけです。

そして最後の第七番目の理由は「国民支持」です。

昨年からの国政選挙は全て、「保守・積極財政」政治を国民が大きく支持し始めていることを明確に示す結果となっています

そして言うまでも無く今回の五人の候補者の中で最も「保守・積極財政」政治を主張しているのが、高市氏であることは公知の事実。したがって国民の求める政治ができる政治家はやはり、高市さんをおいて他におられない、という事になるわけです。

逆に言うなら、高市さん以外の政治家は、保守政治、あるいは、積極政治のいずれかあるいは双方において、国民の希求する方向の政治展開ができない方々ばかり。

その典型が進次郎氏だという事になるわけですが、この点から考えてもやはり「高市一択」だといわざるを得ないわけです。

そもそもこの選挙は「自民党」の総裁選。折しも参院双方で少数与党に堕落した今、自民党は「解党的出直し」を行うと先に総括したばかりのところ。

そんな中、自民党を凋落させた石破政権の方針をそのまま引き継ぐと宣言している進次郎に、そんな「解党的出直し」が出来る筈もありません。

そんな解党的出直しを図るのなら、自民党を凋落させた岸田、石破路線で加速した「リベラル」かつ「緊縮財政」の政治を180度大きく展開させ「保守」かつ「積極財政」へと転換せねばならないのです。そしてそんな「保守・積極財政」方針を最も強く打ち出し「背骨を入れ替える」と宣言している高市氏を置いて今、「解党的出直し」が図れる総裁候補者など、他におられないことは少し状況を鑑みれば誰もがすぐに理解できることではないかと思われます。

以上、いかがでしょうか?

高市さんをあまり支持してこなかった方々にしてみれば、当方が過剰に「ひいき目」に高市さんを見ていると感ずる方もおられるかもしれませんが、こうして一つ一つ理由を客観的に吟味してみると、やはり、高市さんは、他の候補者よりも望ましい候補者、というよりも「圧倒的に望ましい候補者」であると認めざるを得ないのではないかと、当方は考えます。

もちろん、以上は現在の高市さんの「方針」「公約」の吟味であって、「実際に」それを進めることができるかどうかは実際に政権が立ち上がってみないと分からないとは言えると思いますが、そもそもそういう「意志」をお持ちでない候補者は、そういう政治ができる可能性はゼロであることは言うまでもありません。

その点において、今、日本の未来を託すことができる候補者は、今回の五人の候補者の中ではまさに「高市一択」となるのではないかと、冷静な分析を経た上で当方は深く感じています。

是非皆さんもご自身の視点で改めて各候補者を、ご吟味いただきたいと思います。日本が文字通り大きく衰退し、途上国への道をまっしぐらに邁進する今、日本のリーダーは雰囲気やイメージではなく、政治理念と政治的実力の観点からしっかりと吟味した上で選択していかねばならないのです。

追伸1:以上の議論の前提となる「日米外交論」「外交戦略論」については、下記をご参照ください。
『トランプ・ディールで日本復活!』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FCFB744V/

追伸2:以上の議論の前提となる「対中外交論」については、下記をご参照ください。
『日本を喰う中国-「蝕む国」から身を守るための抗中論』
https://www.amazon.co.jp/dp/4847066669

追伸3:以上の議論の前提となる「経済財政論」「財務省論」については、下記をご参照ください。
『「財務省」は敵か味方か?』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FHGRSG2X

追伸4:以上の議論の前提となる「国民民主党との連携論」については、下記をご参照ください。
『玉木雄一郎、「国益」を大いに語る』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0FCNWL4KX/

 

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