日本経済

2019年11月6日

【藤井聡】「麻生大臣のMMT批判はまるで『喜劇』である」という日本の『悲劇』

From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

MMTの名付け親でもある、
オーストラリアニューキャッスル大学の
ビルミッチェル教授をお迎えした
京都大学での研究セミナーと
東京・国会議員会館での国際シンポジウムは、
大盛況の内に終える事ができました。

遠路日本までお越し頂いたミッチェル教授ご夫妻、
そして、両イベント開催に向けて奔走し、
尽力頂いた関係者の皆さん、
そして何より、両イベントを大いに盛り上げていただいた
ご参加者の皆様方に、こころより御礼申し上げます。

イベント当日の様子は、
主催いたしました京都大学レジリエンス実践ユニットのHPに
おって掲載させて頂く予定です。

・・・

今回のシンポジウムの様子は、
メディア上でも例えば次の様に報道されています。

『消費増税、3度目の誤り=MMT理論のミッチェル教授が都内で講演』
https://jp.reuters.com/article/-idJPL3N27L1YQ

この記事では、

「日本の消費税率引き上げは過去の増税と同様に
経済へマイナスの影響を与える」

「1997年と2014年の増税で
成長率を殺してしまう過ちを犯したが、今回も同じだ」

等と報道されていますが、
(また動画が配信されればお分かりいただけると思いますが)
当方の感触ですと、これらの記事のトーンよりも
より厳しい調子で、
消費増税を批判しておられるように感じました。

何といっても、2014年の増税で、
経済の動向を少しでも知る人なら
誰もが容易く予想していたことがやはり実際に起こったのだし、
それを皆が目の当たりにしたにも拘わらず、
そこでもう一度増税するなんて、
一体どういう了見なんだ―――という
「あきれてものも言えない」という調子で
批判されていたのが、印象的でした。

ただし、おそらくは最も多くの聴衆が覚えているのは、
この下りだったかも知れません。

「MMT」名付け親 “麻生氏の発言はナンセンス”
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000168473.html

増税そのものについても、
「あきれている」というご様子が
手に取るように分かりましたが、
この麻生発言については、さらに輪をかけて
「あきれて」おられるご様子でした。

何と言っても、麻生氏がかつて、
MMTについて国会で問われたときに、

「日本をMMTの実験場にする気はない」

と発言したのですが、この発言が、
何重もの意味でメチャクチャな発言だったわけです。

まず第一に、上記ニュースでの報道されているように、
「MMTは政策ではなく概念で、
実験場にするかどうかという話ではない」

とミッチェル教授はご批判されました。

要するに、
MMTは単なる「現象を理解する理論」に過ぎないのに、
麻生氏は、MMTを政策パッケージか何かだと
勘違いして発言しているようだが、
それは単なる勘違いだ、というご批判です。

が、その前後のご発言や、
楽屋でのお話を総合すると、
ミッチェル教授は次のようにもお感じのようでした。

つまりMMTの理論としての正しさは、
日本においてもっとも「綺麗」な形で証明されている
にも関わらず、
「実験場にしない」
なんてワケワカな事を言ってるなんて・・・

こりゃもう
『喜劇』(comedy)
と言うほかないですよね(苦笑)。

なぜなら、

「主流派経済学者なら、
GDPの二倍以上の債務残高があれば、
金利が凄く高騰していい筈なのに、
実際はほぼゼロ、あるいはマイナスの状況にある―――
この日本の現状を、
主流派経済学では全く説明できないが、
MMTはまさに、そうなることを予言し、
その予言を的中させ続けているのだ」

というのが真実だからです。

つまり日本は、いま別に、
MMTの実験場にする気はないのかもしれないけど、
少なくとも、MMTの理論としての正しさを証明する、
壮大な社会実験をやってしまっている

と言う状況にあるわけです。

にも拘わらず、一国の財務大臣が、
「MMTの実験場にする気はない」
なぞと、上から目線でエラソーに話すなんて―――
こりゃもう、腹を抱えてひぃひぃ涙流しながら
笑い転げるような話なわけで、そんな、
滑稽極まりない恥ずかしい財務大臣&元総理大臣が、
麻生太郎氏、その人なのだ、という次第です。

ホントに恥ずかしい・・・。

ですが、これはよくよく考えると、相当に深刻な

『悲劇』(tragedy)


です。

何と言っても、
その下らない三流喜劇が演じられているのが、
国会のど真ん中であり、
政府のど真ん中だからです。

つまり日本の政治のど真ん中で
20年以上にわたって、
馬鹿馬鹿しい喜劇が繰り返されたお陰で、
(ミッチェル教授が何度も繰り返されたように)
GDPが世界第二位から第三位にまで凋落し、
未だに成長出来ず仕舞いな国に転落し、
しかも、過去5年の間に
消費増税を一度ならず二度までも
繰り返してしまい、
デフレ圧力をさらに超絶にかけることになり、
国民の貧困と格差がさらに拡大しているのですから-――。

日本人として溜息しか出ない状況なわけですが、
このおかしくも悲しい
「悲喜劇」
としての日本政治は、
まさに、ミッチェル教授から大変丁寧にご解説いただいた
MMTによって、大きく変わろうとし始めている―――
そんな雰囲気を、今回のシンポジウムを通して感じ取りました。

何と言っても、
今回、おおよそ50名程度もの、
国会議員の先生方がご関心をよせ、
参加いただいたのです。

MMTによって日本の経済財政政策が大きく動く時は、
ひょっとするともうすぐそこまで来ているのかも-――しれません。

この喜劇を終わらせ、
この悲劇を昇華させるためにも、
政治家、官僚、有識者、そして国民の皆様が、
MMTという、当たり前の(理論的な)「眼鏡」をかけ、
くっきりと今の日本の現状を見渡す、という態度が、
我が国においてしっかりと根付きますことを、
願ってやみません。

そして、そんな大きな時代の転換を目指した、
京都大学レジリエンス実践ユニットの取り組みに、
ミッチェル教授がご協力いただきましたこと、
ここに改めて、心から御礼申し上げたいと思います。

読者の皆様におかれましても、
これからも是非、ご支援賜りたく思います。

ありがとうございました。

追伸1:
今回のシンポジウムでも、その概要をご紹介した書籍『MMTによる令和「新」経済論: 現代貨幣理論の真実』、是非、ご一読下さい!
https://www.amazon.co.jp/dp/4794971583

追伸2:
オープンのメルマガではなかなか論じきれない、内容を今、こちらでお話ししております。『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』是非、ご購読ください。
https://foomii.com/00178

追伸3:
『ソフトな防災偽善者にはご注意』
ください!
https://www.youtube.com/watch?v=t86sehKxvRw

関連記事

日本経済

【三橋貴明】「おカネのプールは存在しない」という恐怖

日本経済

【三橋貴明】我々はなぜ銀行預金を貨幣と認識するのか?

日本経済

【三橋貴明】主流派はなぜケインズに勝利したのか

日本経済

【三橋貴明】MMT週間が始まる

日本経済

【三橋貴明】ケルトン教授の「おカネのプール論」

【藤井聡】「麻生大臣のMMT批判はまるで『喜劇』である」という日本の『悲劇』への3件のコメント

  1. たかゆき より

    社会実験

    リフレ ハ バカ やら シュリュウ ハ バカ やら
    20年以上も 
    社会実験を 失敗し続けている。。。

    のに

    アソウ ハ バカ などに

    日本を社会実験の 試験管にしたくない
    などと 言われたくない、、

    彼等の おこなった 実験の失敗こそが
    背理法として

    MMTの 正しさを 証明しているで
    せうに それにすら 気づかない。。

    よって 小生は 彼等を
    バカと いうのだ ♪

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 大和魂 より

    麻生太郎と言うより、既にそれ以前に我が国の頭脳集団、いわゆる財務省とその関係者は保身ありきで卑劣な脳死状態ですよ。なぜなら、それを三島由紀夫が命を賭して克明にされましたからね。それでも、いみじくも恥ずかしいと感じないのですから、全く話にもならないわけです。それから、我が国に限り常識をお持ちの方なら総合的には差ほど変わらないのに、天下の財務省とその関係者の卑劣者は、目先でしか判断出来ない理解不能の愚劣でバカバカしい中学生以下なんですよ。なぜなら、 その核心は平気で国民国家を売っていますから馬鹿なんですよ。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 斑存・不苦労 より

    >おおよそ50名程度もの、
    国会議員の先生方

     やっぱり疑惑の総合スパイ政商社勤務の辻元議員等は、疑惑の与党総合スパイ商社グループと見て見ぬふりを決め込んでいたんでしょうね。
    まさに九の一議員?・・・ワシだけが言ってるだけの話ばってんかントン。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

まだデータがありません。

まだデータがありません。

最新記事

  1. 日本経済

    【小浜逸郎】災害対策、防災対策にMMTを!

  2. 日本経済

    【藤井聡】消費増税に対して「万全を期す」という政府答弁...

  3. 日本経済

    【室伏謙一】公務員叩きは日本の土台の破壊につながる

  4. 政治

    【三橋貴明】正当な政策を、正統に実現する

  5. 政治

    【三橋貴明】日本の民主制と皇統

  6. コラム

    【竹村公太郎】宿命の治水:湿地の日本文明

  7. 政治

    【施 光恒】ビジネスと政治の癒着に厳しい目を

  8. 日本経済

    【藤井聡】「麻生大臣のMMT批判はまるで『喜劇』である...

  9. 日本経済

    【添田勝彦】[特別寄稿]川を見ておもうこと

  10. 日本経済

    【三橋貴明】特別会計とルサンチマン・プロパガンダ

MORE

タグクラウド