From三橋貴明
【近況】
先日、経済動向塾(日本経営合理化協会)で、
元日銀副総裁の岩田規久男教授にご講演頂きました。
実質金利=名目金利-期待インフレ率(=予想インフレ率)
という、フィッシャーの方程式に従い、
期待インフレ率を引き上げることで、
実質金利を下げ、デフレ脱却を果たすという
「いわゆるリフレ派」の政策が「なぜ」失敗したのか。
もちろん、期待インフレ率が
「期待」ほどに高まらなかったためですが、
それは「なぜ」なのか。
決定的だったのは、
やはり「消費税増税」ですが、
消費税を増税した結果、
「なぜ」期待インフレ率が下がってしまったのか。
様々なデータを用いて
議論をしなければならない重要なポイントですが、
わたくしとしては、消費税増税で実質の消費が減った。
つまりは「消費の量」が減ったわけですが、
「目の前の販売(生産)数量が減っている」
という現実を受け、一気に期待インフレ率が下がったと解釈しています。
岩田教授によると、
14年の消費税増税は89年の消費税導入時はもちろん、
97年の消費税増税の時よりもダメージがあったとのことです。
結果的に、フィリップス曲線が異常な状況になってしまった。
【日本のフィリップス曲線】
http://mtdata.jp/data_63.html#Phillips
上図は岩田教授が使われていた
チャートに載っていたグラフを、
わたくしが最新データまでを含める形で再作成したものです。
岩田教授のチャートでは
「フィリップス曲線の崩壊」というタイトルがついていました。
13年から14年3月までは、
フィリップス曲線が急角度になっており、
「このままいけば、
2%のインフレ目標を達成できるのではないか」
と教授らは自信を持っていたそうですが、
14年4月以降に「異変」が起きます。
フィリップス曲線が「水平化」してしまい、
失業率が改善しているにも関わらず、
物価は上昇しなくなってしまった。
人手不足は「人口構造の変化
(少子高齢化による生産年齢人口比率の低下)」により、
容赦なく進む。
ところが、消費税増税で実質の消費=需要が減り、
「目の前で生産数量、販売数量が減っているため、
(人件費上昇の圧力があれども)価格を引き上げることができない」
と、企業が判断。
人手不足はヒトを「安く」雇うことでしのげども、
価格には転嫁できず、という状況が続いていると判断するべきです。
それにしても、岩田教授は
「雇用が改善しているのだから、物価は上昇しなくてもいい」
などと強弁せず、フィリップス曲線の水平化についても、
「なぜなのか?」を真剣に考えられている点が好感が持てました。
現実を受け、思考停止に陥らず、
認知的不協和にもならず、「なぜなのか?」と
原因を突き止め、解決策を探る。
これが、本来の「学者」や
「アカデミズム」であるべき姿だと思うのです。
フィリップス曲線の水平化と
経済的な見方については、
直近のメルマガでも取り上げました。
週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
https://www.mag2.com/m/P0007991.html
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◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第312 岩田規久男教授の正しい転向
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/
◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol512 フィリップス曲線の崩壊
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
「フィリップス曲線の崩壊」とは、2014年4月以降の異様なフィリップス曲線に関する、前・日銀副総裁の岩田規久男教授の表現です。
2014年4月以降、フィリップス曲線が水平化し、物価が上がらなくなってしまった。「なぜなのか?」を真剣に考えたとき、真実が見えてきます。
◆メディア出演
三橋TV、続々リリースされています。
三橋TV第63回【実質賃金の正体を暴いてみた】
https://youtu.be/5zvSWE1Mkk0
三橋TV第64回【マレーシアの移民と若年層雇用の話】
https://youtu.be/UUhEB7aIMko
三橋TV第65回【日本を救う新・政策集団の政策】
https://youtu.be/kPqWK_cdqZY
3月15日 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】反グローバリズムのトリニティ / 自衛隊は少女に国防を担わせる気か![桜H31/3/15]
https://youtu.be/5yNmvgQcyG4
◆三橋経済塾
3月16日(土) 三橋経済塾第八期、第三回対面講義を開催いたしました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?page_id=75
ゲスト講師は 高清水 有子先生(皇室評論家)でございます。インターネット受講の皆さまは、しばらくお待ちくださいませ。
◆チャンネルAJER
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