From 三橋貴明
【近況】
名誉革命、さらにはアメリカ独立宣言やフランス人権宣言の思想的バックボーンとなった政治学者といえば、ジョン・ロックです。
政治学者としてのジョン・ロックの功績は、三橋の専門外ですが、こと「経済」の分野に絞ってみると、彼ほど「金属主義」に染まった狂気の人物を他に知りません。
ジョン・ロックの金属主義は、ポイントをまとめると、
● 硬貨は、材料である貴金属の価値が担保になっている
● 紙幣を発行する場合も、同じ価値の貴金属が貯蔵されていなければならない
● 貴金属の量が、お金の発行量を決定する
● 国家の力は、産出(もしくは収奪)する貴金属の量に依存する
となります。つまりは、産出(もしくは収奪)された貴金属に「おカネの量を合わせなければならない」と考えたのです。
当時のイギリスは、銀貨の摩耗や盗削に悩まされていました。たちの悪い連中が銀貨の縁を削り取り、切断し、溶解し、かすめ取った銀を転売してしまうのです。とはいっても、銀が不足していたイギリスでは、縁が削り取られた銀貨が普通に額面通りに流通していました。おカネが「債務と債権の記録」である以上、貴金属の重さはおカネの価値と無関係なのです。
もっとも、ジョン・ロックにとって、貴金属の重さが減ったおカネが流通することは、許されないことでした。
というわけで、議会に呼ばれ、銀貨の摩耗や盗削問題について意見を求められたロックは、銀貨の価値を「銀の量」と同じくするべく、大改鋳を行うことを提案。驚くべきことに、イギリス議会はロックの提言通り、銀貨の額面と銀の量を同一にする改鋳を決断しました。
結果的に、イギリスの銀貨の額面合計は470万ポンドから、250万ポンドに激減。流通する銀貨の量が減ったことで、経済は悲惨なデフレーションに突入してしまいました。
おカネそれ自体に「価値」を求める金属主義の弊害が、国民経済を壊すという問題は、別に今に始まった話ではないのです。
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