コラム

2017年3月13日

【三橋貴明】ルサンチマン・プロパガンダ

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
消極的経済成長否定論者たち
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12254704045.html
松の木にすら劣るわたしたち
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12255313335.html

新自由主義的な政策を推進する手法として、ショック・ドクトリンは有名です。震災やテロなどの「ショック」があった際に、国民が衝撃を受けている隙を狙い、一気に構造改革を進めてしまうのです。

ちなみに、東日本大震災においてもショック・ドクトリンの手法は用いられ、仙台空港の民営化や、漁業分野(水産業復興特区)へ大手企業が新規参入。原発事故を利用したFIT(再生可能エネルギー固定化価格買取制度)導入など、いくつもの「成果」を挙げています。

とはいえ、ショック・ドクトリンを実行に移せるほどの「ショック」は、それほど頻繁にあるものではありません。

それでは、日常的にはいかにして、「特定の誰かを富ませる構造改革」が行われるのでしょうか。

国民のルサンチマンにかこつけ、特定の誰か(農協、医師会、土木・建設業者、公務員、電力会社などなど)を「既得権益」という悪者に設定。「既得権益が!」と批判することで、ルサンチマンにまみれた国民の支持を取り付け、構造改革を推進するのです。

すなわち、ルサンチマン・プロパガンダです。

農協で言えば、
「農協は既得権益だ! 解体しろ!」
と、叫び、国民の支持を取り付け、農協グループを全農、農林中金、JA共済、単協と切り分け、それぞれを「パクっ!」と食べてしまう。

もちろん、農協にも何らかの組織的問題があるでしょう。いかなる組織であっても、問題は抱えています。ならば、
「農家の所得を増やし、国民の食料安全保障を維持するために、農協をどのように改革するべきか?」
という議論が行われなければならないのですが、現実には「農協は既得権益だ! 解体しろ!」「そうだ! そうだ!」と、まるで魔女狩りのような光景が繰り広げられ、日本国の食料安全保障が崩壊に向かっています。

公務員問題でいえば、
「公務員の給与は高すぎる! 給与引き下げろ!」
と、国民のルサンチマンに火をつけ、同意を取り付けたのち、
「いや、いっそ公務員を民間委託にしよう。そちらの方が効率的だ!」
と、本来の目的が顔を出し、行政という分野に「新規参入」を果たした企業(及び経営者や投資家)が儲けるという構図でございます。

竹中平蔵氏は、パソナの取締役会長であり、かつては大阪の日本維新の会の顧問のような仕事をしていました。

【区役所住民情報等の委託予定事業者を決定しました【北区、福島区、此花区、中央区、生野区、城東区、鶴見区、住吉区、平野区、西成区】】
http://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000239366.html
『大阪市では、区役所における市民サービスの向上と効率的な業務運営をめざしており、区役所における窓口やバックヤードにおける住民情報業務等を委託するための企画提案を募集し、外部の有識者による選定会議を経て、次のとおり委託予定事業者を選定しました。
1 委託予定事業者
(1)北区 株式会社パソナ  (提案額:126,932,876円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(2)福島区 株式会社パソナ  (提案額:56,697,883円、契約予定期間:平成28年1月31日まで)
(3)此花区 株式会社メディカルアソシア  (提案額:76,364,387円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(4)中央区 株式会社パソナ  (提案額:115,037,263円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(5)生野区 株式会社パソナ  (提案額:113,634,136円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(6)城東区 株式会社メディカルアソシア  (提案額:52,708,239円、契約予定期間:平成28年1月31日まで)
(7)鶴見区株式会社メディカルアソシア  (提案額:83,663,158円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(8)住吉区 株式会社パソナ  (提案額:114,575,848円、契約予定期間:平成28年11月30日まで)
(9)平野区 株式会社ジェイエスキューブ  (提案額:78,552,000円、契約予定期間:平成28年1月31日まで)
(10)西成区 ヒューマンタッチ株式会社  (提案額:72,737,314円、契約予定期間:平成28年1月31日まで)』

大阪市の区役所業務の外注で、半分をパソナが獲得したわけです。なかなか美味しいビジネスになって良かったですね。ウラヤマシイ、ウラヤマシイ。

・・・・・要は、こういう話なのですよ。
というわけで、三橋は「同じ国民」を「既得権益が!」などと叩く連中は、一切、信用しません。彼らの主張に乗ることは、単に誰かのビジネスを増やすだけで、同時に国民統合を破壊するに等しいと理解しているためです。

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【三橋貴明】ルサンチマン・プロパガンダへの4件のコメント

  1. 反孫・フォード より

    >外部の有識者による選定会議を経て、次のとおり委託

     高いのか安いのかさっぱりわかりませんが、やっぱりやすいのでしょうね。公的な企業、サービスは解体して民民化、役所は市町村合併させて縮小化。大坂都?構想や籠池園長への緩和事件(彼を切ることで中央政府への火の粉を避けるつもりに見えますが)も全てこの流れなんでしょうね。

    個人的に思うだけですが郵便配達業務とかも技術投資されてるとも思えず昔の配達のまんまで更には労働園長緩和でましてや低賃金なのではないでしょうか。

    なんもかんも低賃金化・・・・デフレと一緒にやるべきことでしょうか。否です。
    竹中ショッカー等は橋下、松井氏等と秘かに進めていたんですね。

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  2. 赤城 より

    ルサンチマン、嫉妬、恨みつらみのエネルギーは勝手に膨らんでしまうので理知的な人間でも制御するのが難しい。一般大衆にくすぶる負のエネルギーを煽ることは非常に有効で一旦火がつけば自らの精神を焼かれ続けることになり、もはや冷静に物事が見れなくなってしまう。公務員やそれに順ずる安定した公共機関への嫉妬はそれこそ凄まじいものがありそれをルサンチマンだと指摘した所で顔を真っ赤にして逆切れを起こし発狂したように絶対悪のように攻撃を強める。それこそ親の敵のように叩こうとするのである。本当に公務員に騙されて地獄に落とされたのか家族を殺されたのかと思ってしまうほどだ。この様な人たちにどんなにおかしいと指摘した所で意味はなく、もはや何を言っても公務員の悪さしか目に入らずそれだけですべての自らの悪意害意を肯定してしまう。それほどまでに自分勝手な怨恨、嫉妬、ルサンチマンのエネルギーは怖ろしく強いものだと思い知らされる。感情の力はすべての頭脳精神を征服してしまう。真正面からルサンチマンだと指摘すれば逆上する人がほとんどなので注意すべきだろう。

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  3. 拓三 より

    バブルの時は『こんな安月給だと優秀な人材が公務員に集まらなくなる〜』と言っていましたなw

    何故、本気でデフレ脱却しようとしないのか?
    デフレもショックドクトリンの「ショック」だからです。
    これは自然災害ではなく一部の人の力によって意図的に起こしている災害であり悪質極まりないものであります。では維新のような構造改革派がこの人災を起こしているのか?こ奴らにそんな力はありません。ただの犬です。ワンワン

    では誰が…..財務省!と言いたいとこですが…こ奴らもどちらかと言うと被害者でもあります。90年代必死で財政を吹かしデフレを阻止してきましたが、その政策がどれだけ叩かれた事か。その結果、消費税3〜5%の引き上げでジ・エンド…..そして犬に。ワンワン

    すると誰が…..金融資本家とその周りでおこぼれを貰おうと尻尾を振っている経済学者であります!そして一番悪いのが!こ奴らの仕掛けたプロパガンダを垂れ流したメデイア、マスコミ、学者、政治家でありそれを疑う事なく信じ込み、あろう事か今世界で起きている現実を理解することなく未だルサンチマンに熱狂する国民です!本来、資本の行き過ぎた力を抑え込むのが民主主義であり国民の力です。国民の力がないと国は動きません!それが国です!

    力を持ち過ぎた金融資本を打倒するのは労働者です。労働者は資本の奴隷ではありません。五分五分の関係です。民主主義は一人一票持っています。糞プロパガンダに騙される事なく親が子を見る時の様に真実を見抜くマナコが必要な時代であると思う今日この頃であります。

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  4. あまき より

    庶民から妬み、僻みの感情を奪う輩は、金貨をちらつかせながら金貨を奪い取る悪人である。都合のいいように賃金を抑えられている個々人が、ただ息をしているだけで定期昇給する「かのように」見える宮仕えに雑言を並べていったい何がいけないか。

    悪いのは私怨でも公務員でもない。私怨を公憤にすり替える手法や、人々の私怨を束ねて公憤に仕立て上げる大阪あたりの首長、マスメディア、昔からいまに至る政治活動界隈こそが大問題なのだ。彼らは99匹のためにあるのであって1匹のためにあるのではない。1匹の私怨に寄り添い味方するふりをして私怨を収奪してゆくが、収奪された方はされたことに気がつかない。私怨を譲り渡す程度の安い正義がことの本質を見誤らせるのである。

    私怨が個人の重要な構成素である以上、公憤が私怨に代わるなどあり得ないと私は思っている。代われるものだったら社会党が社民党にまで凋落することはなかった。社会党は左翼だから潰えたのではない。同じ左翼でも共産党は残っている。1匹を守ると言いつつ革命政党自民党と連繋した結果、多くの1匹がますます桟敷に追い遣られ守られなかった。かくて労働運動の砦たる三宅坂は警視庁に譲られる。

    私怨と公憤をきちんと分けて論じられていないように読んだのはおそらく私の勘違いだと思うが、大意に賛成しながら前から感じていたことを書かせてもらった。

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