コラム

2016年10月5日

【佐藤健志】2021年、日本の若者は海外で戦死する(らしい)!

From 佐藤健志

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★★★★★:有田益堆のレビュー

講義内容・要領が非常にわかり易く、よく理解できました。有難うございました。

韓国の反日思想が韓国憲法より上位の観念であって、その観念が韓国社会を支配している。大統領もそれに絶対逆らえない。そういう視点を非常に新鮮に感じました。

本日のご講義は志ある政治家・中央官庁官僚たちにも是非受けて貰いたいと思いました。

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「韓国の研究〜なぜ、日本は翻弄され続けるのか?」
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※この号が聴けるのは10/9(日)まで

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先週の記事「『せい』と『おかげ』の改憲論議」でも述べたように、
「これは全て○○のせいだ!」
というフレーズと、
「これは全て○○のおかげだ!」
というフレーズは、
表裏一体、ないし紙一重の間柄にあります。

前者は非難、後者は賞賛と、表面的な評価の方向性こそ正反対ですが、どちらも自分の主体性を棚上げにしたまま、特定の第三者にあらゆる責任(または功績)があるように見なしているからです。

「物事が現在のようになったことについては、○○の責任(または功績)が大きい。しかしわれわれも、それに加担(または貢献)している」
という話にはならないわけですな。

しかるに。
「せい」と「おかげ」が表裏一体、ないし紙一重の間柄であることには、重大なパラドックスがひそんでいます。
「これは全て○○のせいだ!」と主張する者は、非難している相手にたいし、しばしば心理的に依存しているのです。

だってそうでしょう。
あらゆる責任を押しつけるからには、相手は〈とんでもない悪事を軽々と達成できる存在〉でなければならない。
いわば〈万能の悪玉〉。
さもなければ、「これは全て○○のせいだ!」という主張が成り立ちません。

つまり「これは全て○○のせいだ!」の背後には、
「こうやって心おきなく非難できるのも、全て○○が〈万能の悪玉〉であるおかげだ!」
という暗黙の前提が存在するのです。
表裏一体、ないし紙一重と呼んだゆえんですが、これを依存と呼ばすに何と呼ぶ。

絵に描いたような例をご紹介しましょう。
先日、ネットにこんな記事が出ていました。

【アベ政権が続いたら】「2021年戦争開始で今中2の子は18歳で戦死の可能性」by 後藤弁護士
http://健康法.jp/archives/22111
(※)クリックしてもアクセスできない場合は、このアドレスを直接入力してみて下さい。

現在の中学二年生が、5年後に戦死する?!
映画『バトル・ロワイアル』も顔負けの話です。
「後藤弁護士」がどういう方かは存じませんが、興味がわくではありませんか。

上掲記事は抜粋だったので、元の記事にアクセスしてみました。

アベ政権が続いたら by後藤弁護士
http://blogs.yahoo.co.jp/honjyofag/66258277.html

「憲法改正へのスケジュール」と銘打たれた工程表の下に、こんな文章が掲載されています。
いわく。

安倍総理が在任中に憲法改正を実現すると明言していることから、彼の自民党総裁の任期(2018年9月満了)から逆算してスケジュールを考えると愕然となりました。

来年の通常国会で衆参両議院の3分の2の多数で憲法改正案を成立させ、来年冬頃には国民投票を行うことになります。そして、来年冬もしくは再来年には憲法が改正されることとなります。
憲法改正によって戦争に対する歯止めは取り払われます。

東京オリンピックが開催される2020年までは国際世論もあり戦争をすることはできないかもしれませんが、オリンピック後には日本の国防軍(憲法改正によって自衛隊は国防軍へと改編されます)が、海外で戦争をする可能性があります。

今の中学校2年生たちが5年後には海外で戦わされ戦死する可能性があるということです。しかも、この年齢の少年達がその間に選挙に行く機会はなく、戦争することに対し投票を通じた意思表示ができないままに、戦死させられるということです。
大人達の責任は重大です。
(カッコは原文。読みやすさを考え、空行を適宜追加)

なぜ「中学校2年生」(13〜14歳)にこだわるのかというと、
彼らは2021年、18〜19歳になって自衛隊/国防軍に入隊している可能性があるから
だと思われますが・・・

いやはや、これはスゴい予測です。
何がスゴいかって?
以下の前提がことごとくクリアーされなければ成立しないからですよ。

1)今回の憲法改正論議で、九条の全面的変更が取り上げられる。
でなければ自衛隊の国防軍再編はできません。
また「戦争への歯止めを取り払う」からには、九条二項の交戦権否定も削除する必要があります。

2)そのような改憲案が、あと1年以内(!)に国会でまとまり、発議される。

3)当該の改憲案が国民投票で可決される。

4)憲法改正成立と同時に、日本政府はさっそく戦争をしたがる(どこと?)。

5)問題の戦争は、必ず海外で行われる。
尖閣諸島で武力衝突が生じるようなことは起こらないと考えてよいし、北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込む危険性も無視して構わない。

6)その戦争には、ベテラン隊員ではなく、入隊したての若者が送られる。

7)そしてこの全ては、少なくとも政権が倒れない程度には国民から支持される。

・・・驚嘆のほかはありません。

安倍総理のリーダーシップと、政権にたいする国民の支持について、後藤弁護士は絶対的なまでに揺るぎない信頼を持っておいでのようです。

むろんこの方、主観的には安倍政権に反対しているはず。
しかし!
わずか5年のうちに、これだけのことを達成できる可能性があると見なしているのですぞ。
もはや安倍信者と呼ぶに値するでしょう。

総理のリーダーシップへの期待が、若者が海外で戦死することへの不安という形で、裏返しに表現されているだけの話にすぎません。
要は「恐いもの見たさ」のバリエーション。

そしてここに、ふたたび重大なパラドックスがひそんでいる。
後藤弁護士、内心では「現在の中学生が5年後に戦死する光景」を見たがっているのに違いないのです。
なぜか?
政権に反対する自分の正しさが裏付けられるからですよ。

論より証拠。
この人は、2017年末〜2018年前半、九条の全面的変更を柱とした憲法改正が実現することを、すでに確定した事柄のごとく扱っています。

引用した文章を読み返していただければ分かりますが、くだんの箇所は
「憲法改正案を成立させ、来年冬頃には国民投票を行うことになります」
「来年冬もしくは再来年には憲法が改正されることとなります」
「憲法改正によって戦争に対する歯止めは取り払われます」
となっており、「そういう可能性がある」という趣旨の語句がまったく出てきません。

けれども憲法改正すら阻止できないのであれば、改正された憲法にのっとって政府が戦争をすること(で、どこと?)を阻止できるはずがない。
その際には国民投票なんて行われないんですからね。

言いかえれば後藤弁護士は、2020年代初頭に戦争が起き、若者が戦死することも、実質的に確定した事項と見なしているのです!

よって最後に出てくる「大人達の責任は重大です」というフレーズも、
「こんなことにならないよう、安倍政権の暴走を阻止しよう!」
と訴えているのではありません。
2020年代初頭に日本の若者が戦死する(であろう)ことを踏まえて、現在、政権を支持している人々を非難しているのです。

「あんたたちのせいで、いずれこんなことになってしまうんだ!」という次第。
いよいよもって、戦争が起きてくれなければ困るではありませんか。

はたせるかな、後藤弁護士は安倍総理のことを、超人的なまでの〈万能の悪玉〉と見なしています。
これについても証拠を挙げておきましょう。

引用箇所の冒頭の文が示すとおり、後藤さんの予測は、安倍晋三さんの自民党総裁としての任期が2018年9月に終わることを前提にしている。
つまり2018年10月以後、安倍政権というものは存在しえません。

ところが2021年、
安倍政権は戦争を引き起こし(しつこいようですが、どこと?)、
18歳の若者を戦死させることができるらしい!

「アベ政権が続いたら」と銘打っているくらいですから、戦争は安倍政権下で起きるはずなのです。

存在しえない政権が、国を戦争に導く!!
この総理に不可能はないのか?!?
安倍崇拝、ここにきわまれり!!

主体性のない者は、対立しているつもりの相手に、ここまで依存してしまうのです。
こう言っては何ですが、「自民一強」と呼ばれる現在の状況を真に支えているのは、安倍政権に反対する勢力かも知れませんよ。
ではでは♪

<佐藤健志からのお知らせ>
1)日本文化チャンネル桜「闘論! 倒論! 討論!」に出演しました。
テーマ:シン・ゴジラから見えてくる日本の現在
https://www.youtube.com/watch?v=b0AUCpV0rCQ

2)主体性のないまま戦後脱却を図ると、どんな顛末が待っているかをめぐる総合的分析です。

『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』(徳間書店)
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3)いわゆる保守勢力にしても、主体性が十分でなければ、対立しているはずの「反日勢力」に依存するハメとなるでしょう。詳細こちら。

『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は終わった』(アスペクト)
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4)全ては「対米従属のせい」なのか、あるいは「対米協調のおかげ」なのか? 敗戦から70年あまり、主体性を欠いたままやってきた戦後日本の実情を浮き彫りにします。

『僕たちは戦後史を知らない 日本の「敗戦」は4回繰り返された』(祥伝社)
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5)「革命が起きるや、それまで政権にへつらっていた者たちが、同じ政権への批判を叫びだしたりするのだ」(157ページ)
エドマンド・バークも、「せい」と「おかげ」の関係を正しく見抜いていました。

『新訳 フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)
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6)「敵の失策を目の当たりにして、自分たちにも反省すべき点があることに気づかされ、ハッとさせられるのは珍しくない」(201〜202ページ)
トマス・ペインの洞察も、じつに鋭いではありませんか。

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7)そして、ブログとツイッターはこちらをどうぞ。
ブログ http://kenjisato1966.com
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ーーー発行者よりーーー

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