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2015年5月13日

【佐藤健志】大阪都構想とフランス革命

From 佐藤健志

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●●三橋貴明が実践する経済ニュースを読む技術とは?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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いわゆる「大阪都構想」をめぐる住民投票が、いよいよ迫ってきました。

なぜ「いわゆる」と断ってあるかはお分かりですね。
今回の住民投票によって、大阪が「府」から「都」になることは、結果のいかんによらず起きないからです。
ただし「大阪都構想」という呼称が、それなりに定着しているのも事実なので、「いわゆる」をつけたうえで使った次第。
以下では「都構想」と呼びましょう。

さて。
都構想については、藤井聡さんをはじめ、多くの専門家がすでに見解を表明されています。
この構想をめぐる論点、ないし争点については、それらの見解で論じ尽くされている感があるものの、私が注目したいのは、大阪経済大学准教授・柏原誠さんのコメント。
抜粋してご紹介しましょう。

大阪市を廃止し5つの特別区に分割するということは、市民として存在をなくすことを自ら決定するわけだから、自治体・市民にとって文字通り究極かつ,結論によっては最終の決断になる。さらに、有権者は大規模で、拘束力があり、実質的に不可逆な決定は、未来世代も拘束し、特別区移行手続きでは隣接市の意思決定過程にも影響をするきわめて重大な決定が課せられている。

(※)コメント全文は、以下でご覧になれます。
http://satoshi-fujii.com/scholarviews/
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12023541470.html

ポイントは二つですね。
1)今回の住民投票は、大阪市民にとって、「市民として存在をなくすかどうか」をみずから決める意味合いを持つ。
2)住民投票の結果は、実質的に不可逆である。

最初の点からまいりましょう。
ここには「自分が自分でなくなることを決める自分」とはいったい何か? というパラドックスがあります。
同時に想起させられるのは、「フランス革命の省察」におけるエドマンド・バークの議論。
本の冒頭で、彼はこんな趣旨のことを述べているのです。

ある事柄について、〈理屈の上ではやって構わない〉ことは、〈現実にやっていい〉ことを必ずしも意味しない。いかなる権力にも、道義的な制約が課せられているからだ。

道義的な制約の基盤をなすのは、普遍的な理性、宗教的良心、信義や公正さ、国家の伝統的なあり方といったものを尊重する姿勢である。

たとえば議会上院は、理屈の上では「下院を廃止する」という決定をして構わないことになるだろう。だが、そんな権限は道義的に認められない。いや、「上院が『上院を廃止する』決定をする権限」や、「上院が『上院としての立法活動を放棄する』決定をする権限」だって、認められるものではない。
王の場合で言えば、自分の退位を自分で決める権限はある。ただし王政そのものの廃止を決める権限はないのだ。

(※)より詳しくはこちらをどうぞ。
http://amzn.to/1jLBOcj (紙版)
http://amzn.to/19bYio8 (電子版)

つまり柏原さんの言う「究極の決断」は、
〈理屈の上ではやって構わないとしても、道義的な制約を考慮した場合、現実にはやってはいけないこと〉
に該当する可能性が高いのです。

さらに気になるのが、今回の投票の結果が「実質的に不可逆」、すなわち取り消しのきかないものであること。
都構想においては、大阪市を5つの特別区に分割することが提起されているのですが、いったんこれをやってしまうと、元に戻すことはまず無理。
藤井聡さんの著書「大阪都構想が日本を滅ぼす」から、理由を述べた箇所を引用しましょう。

我が国には今、大阪市を廃止して特別区をつくることを可能にする法律は存在しているのですが、その逆に「特別区」を廃止して、「市」をつくることを可能にする法律は存在していないのです。だから、現時点では不可能だ、としか言いようがありません。
(100ページ)

改革というのは、抜本的なものであればあるほど、うまく行くかどうかはやってみなければ分かりません。
よって、そのような改革については、そもそも〈できるだけやらない〉のが賢明な態度だと思うのですが、どうしてもやらねばならない、ないしやってみたいのであれば
〈うまく行かなかった場合にも、可能なかぎり取り返しがつくようにしておく〉
ことが肝心になります。
クーリングオフ制度と同じことですね。

要するに、
1)「特別区」を「市」に戻そうと思えば戻せる法的基盤を事前に整備し、
2)5年後、ないし10年後に「特別区を存続させるかどうかの住民投票」を行う
といった条件のもとであれば、住民投票で大阪市を消滅させることにも、それなりに正当性が生じます。

しかるに現状はそうなっていません。
完全な一発勝負。

ほかならぬ都構想推進派が、今回の投票で否決されたら構想自体を断念すると発言しているのです。
都構想のメリットに確信があるのなら、実現まで何度でも頑張ればよいし、そうすべきだと思うのですが、あくまで一発勝負にこだわりたい様子。

けれどもフランス革命をはじめとする、幾多の〈革命〉や〈抜本的改革〉の試みから得られる教訓は、
「する必要のない一発勝負をしてはいけない」
というもの。

大阪市民のみなさんには、この点も踏まえて判断していただきたいと思います。
ではでは♪

PS
「する必要のない一発勝負をしてはいけない」という考えにご賛同いただける方は、
こちらをクリック!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv.php

<佐藤健志からのお知らせ>
1)〈究極の決断〉を下す自由や権限があるとすれば、われわれは「日本を没落させる」自由や権限も持っているのか?
三橋貴明さんも「読んで『これだ!』と思った」と絶賛!

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2)そもそも戦後日本は、自国の過去をみずから否定し、勝者アメリカに追従するという〈究極の決断〉から始まったのではないか?

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3)演劇はつねに国の縮図。
今やディズニー・ミュージカルで知られる劇団四季も、じつは〈究極の決断〉を下しています。
それはいったい何か?

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バックナンバーもどうぞ。
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「経済と皮下脂肪のつながり〜やせすぎも太りすぎも『デフレ』だった!」
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「<お花畑>と全体主義〜自民党大会から見えてくるもの」。
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4)そして、ブログとツイッターはこちらです。
ブログ http://kenjisato1966.com
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