From 三橋貴明@ブログ_http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。
「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!
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ドイツの消費者物価指数が、ついにマイナスに突入しました。
『ドイツ消費者物価指数、1月は09年10月以来のマイナス
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKBN0L226520150129
ドイツ連邦統計庁が発表した1月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準で前年比0.5%低下となり、金融危機が深刻化していた2009年10月以来初めてマイナスに転じた。また市場予想のマイナス0.2%を超える低下幅となった。
ユーロ圏のインフレ率がさらに鈍化する可能性を示唆しており、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和決定を正当化するとみられている。
前月比ではマイナス1.3%、市場予想はマイナス1.0%だった。(後略)』
消費者物価指数は、原油価格を含んでいます。原油の値下がりの影響が大きく、消費者物価指数全体を押し下げたのでしょうが、「デフレ化」が進行していることは間違いありません。
また、物価よりも問題は長期金利です。
ドイツの長期金利は、現在0.36%(!)。日本(0.3%)に迫りつつあります。
この状況で、ECBが3月から量的緩和を実施することになるのですが、設備投資が増えず、消費者物価指数も上がらない理由が「金利が高いため」などという事はあり得ないわけです。日本同様に、
「投資効率が低すぎるため、金利がどれだけ下がっても企業が銀行融資や設備投資を増やさない」
状況が、すでにドイツでも始まっています。
ECBの量的緩和が3月から始まると、我が国同様にドイツも金融市場が「国債不足」に陥り、銀行が悲鳴を上げることになります。とはいえ、ユーロ圏の場合はECBが当座預金にマイナス金利をかけているため、「中央銀行の当座預金にお金を積む」ことすらできません。
そうなると、何が起きるでしょうか。
「民間への貸出が増えるのでは?」
と、思われた方がいるかも知れませんが、恐らく違います。ECBの国債買入において「札割れ(銀行側が国債を売らない)」が頻発することになるでしょう。そして、何しろECB当座預金にマイナス金利がかかっている以上、ユーロでは現在のスイス同様に「十年物国債のマイナス金利」という愕然とせざるを得ない状況が生まれることになると予想します。(日本の「五年物国債マイナス金利」も、愕然とせざるを得ない状況なんですが)
ちなみに、本日、日本の12月の消費者物価指数が発表されました。(単位は%。()内は消費税増税分を除いた値です)
●CPI:2.4(0.4)
●コアCPI:2.5(0.5)
●コアコアCPI:2.1(0.1)
【日本の消費者物価指数の推移(対前年比%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#CPI1412
日銀の「インフレ目標」は、コアCPIで設定しています。(しつこいですが、早急にコアコアCPIもしくはGDPデフレータに変えるべきだと思います)
コアCPIは、原油価格の影響を受けます。というわけで、原油価格が下がり、国民の可処分所得が増えれば、逆に日銀のインフレ目標の達成が困難になるという意味不明な状況になっているわけです。消費税増税分を除くと、昨年末のコアCPI上昇率は0.5%。もはや、今年4月(金融緩和開始から二年)時点のインフレ目標の達成は、絶対に不可能です。
中央銀行がインフレ目標を「コミットメント」し、量的緩和により期待インフレ率を高めれば、実需の投資が増え、デフレ脱却できる。という、岩田副総裁の説は失敗しました。
あれほどまでに「コミットメント」を強調されていた岩田氏が、いかなる対応をされるのか。注目させて頂きます。ちなみに「コミットメント」とは、約束、誓約という意味で、「達成責任を伴う宣言」として使われます。
それはともかく、今の日本とドイツの経済に必要な「処方箋」は、政府の財政出動による需要創出です。この「データが示す事実」を認めない限り、日本とユーロのデフレ化は終わらないでしょう。
PS
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