From 平松禎史(アニメーター/演出家)
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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。
「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!
https://www.youtube.com/watch?
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霧につつまれたハリネズミのつぶやき:第九話 です。
……
◯オープニング
安倍首相は年頭記者会見で、
ボクも嬉しかった。
もの作り大国と言われる日本の誇るべき技術が、
一方で、会見で安倍首相は「日本経済を必ずや再生する。
これまでにない大胆な改革を進める、
誰も歩んだことのない道を、切り開き、進む、
一緒に進もう!と肩を組みたくなる気持ちになりそうです。
その気持は否定はしません。
「だが、ちょっと待ってほしい」…
そう言いたくなる現実が、すでに数字で表れています。
今回は、ある神社の賽銭箱に刻まれた歌を採り上げて、
第九話:「人の道をば たどらまし」
◯Aパート
田舎話から始めて恐縮ですが… ボクの実家は愛知県豊川市です。
最寄り駅は飯田線牛久保駅で、
小学校時代、
鉄の車体と独特の油の匂いがする木の床や、首振り扇風機、
東洋随一と言われた豊川海軍工廠跡に出来た日本車両から、
そうなると大騒ぎで授業にならなくなった思い出もあります。
牛久保駅の近くには牛久保城跡があります。
享禄二年(1529年)、牧野出羽守保成の築城だそうです。
城は河岸段丘の縁にあって見晴らしが良く、
この城の守りのために、
罰当たりを恐れて攻めて来られまいとの考えらしく、
長谷寺(ちょうこくじ)には武田信玄の軍師、
通学路にある大聖寺には今川義元公の胴塚がありまして、
お寺がたくさんあるということは、神社も多いわけです。
実家から歩いて数分のところに二社あります。
豊川観光協会の「観光スポットを探す」ページのほとんどが社寺!
http://www.toyokawa-map.net/
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さて、ようやく本題です。
若葉祭(うなごうじ祭)で有名な牛久保八幡社。
奈良時代の飢饉では、
経世済民ですね。
その牛久保八幡社の賽銭箱に、こんな歌が刻まれています。
八幡宮の
神杉の
なほき姿
仰ぎつつ
直ぐなる心
一筋に
人の道をば
たどらまし
たぶん、昔からあったのだと思いますが、
初めて読んだ時、驚いて何度も読み返すうち、
それ以来、帰省する度に参拝してこの歌を読んでいまして、
ある時、ふと、「たどらまし」とは何だろう?
さっと読めば、
なぜ、「たどらまし」なんだろう。
そのように生きたいのなら「進む」でも良いはずなのに。
なぜ、「すすむ」じゃないんしょう?
意味を調べると「まし」には3つの使い方があるようです。
1)反実仮想「もし〜だったら…だろうに。」
2)実現不可能な希望、「〜だったら良かったのに」
3)迷いやためらいを含んだ「〜たものだろうか。」「〜
八幡社の歌の場合は文脈からすると
「たどることができたら良いのに」
という迷いやためらいを含むというのがしっくり来ます。
「すすむ」ではなく、また、迷いやためらいを含む「たどる」
◯中CM
「進む」という言葉は「前へ進む」「東へ進む」
方向性や向かう先が不明瞭だと、それは「動く」であって「進む」
英語ではどうなってるんでしょう。
「進む」は”advance”です。語源は古フランス語の”
意味は「進む」で同じです。
英語で先頭が“ad”になったのは”adventure”
“advanced”で「高度な」「先進的な」
テニスなどで聞く“advantage”は「利点」とか「有利」
すべて目的や向かう先があってある言葉ですね。
言葉を調べていたらおもしろいものを見つけました。
「にっちもさっちも行かない」という言葉。
これはそろばんから来たもので、漢字で「二進も三進も行かない」
「二進」は2割る2。三進は3割る3でどちらも1に割り切れる。
2や3で割り切れない「二進も三進も行かない」状態から、
「答え」
◯Bパート
さて、「すすむ」
では、「たどる」はどうでしょうか。
誰かの歩んだ足跡をたどっていく、と言いますね。
歴史をたどるとも言います。
「進む」時には、それが前人未到であっても使います。
おそらく、
誰もやったことがないことをやる。
これが今までの常識や旧来の秩序を打ち破る意味で使われるのが「
その先に今までや現在より良い未来があることを確信して「革命」
多くの場合「民意」を束ねて。
”未来”を信じて”進む”ことが「革命」「改革」
しかし、”未来”は”進む”
歴史を紐解けば、革命はたいてい「にっちもさっちも」
_ _ _
前向き、良いこと、と思われがちな「進む」に対して、「たどる」
人の通った道をなぞるなんて新しくもないし良いことがあるとも思
そんな風に思われるでしょうね。
八幡社の歌では
「神杉の なほき姿 仰ぎつつ」は、長い年月を経て仰ぎ見るほど高く伸びる木々から、
「直ぐなる心 一筋に」は、正しき生き様を貫く心だと読めます。
先人の教えをよく思い出すこと。
歴史をよく見直すこと。
ありのまま(現実)を真っ直ぐに見よ
これが「たどる」こと。
自然の姿から示唆を得て、
そして、迷いとためらいを含む「まし」で閉じることによって、
どう進むべきかの明快な答えを示すのでなく、
神杉の姿… 直ぐなる心… 人の道… どれも直線的で迷いのない、
それを最後の「たどらまし」で「歴史に鑑み、慎重によく考えよ」
どんな状況でも常に正しい経済政策はない。
三橋経済塾で教わったことは、
めんどくさいこと言うな。ガンガン進もうぜ!…と言わんばかりの
「岩盤規制をドリルで打ち壊す」「大胆な改革を進める」「
とても日本的とは思えない言葉の数々ではありませんか。
実家に帰ってお参りする時、
自分の考えだけでなく、先人の知恵や、ありのままの現実や、
◯エンディング
今回は、
賽銭箱に刻まれた歌が誰のもので、
今度帰省した時にでも伺ってみようかな。
案外新しいものかもしれませんが、
2015年は世界経済が混沌化しそうですね。
ギリシャのEU離脱の可能性はスウェーデンやフランスの反EU政
安倍内閣は、デフレ脱却、日本経済の再生を目標にしながら、
現実のデータ、歴史的な失敗事例からみても
「にっちもさっちも行かなくなる」
現実と歴史をよく見直し、人の道をば たどらまし と、静かに強く噛みしめたい正月です。
◯後CM 1
アニメ(ーター)見本市
平松禎史監督の「until You come to me.」
公式サイトの作品一覧から観ることが出来ます。
http://animatorexpo.com/
◯後CM 2
さかき漣先生との企画も進行中♪
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