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2013年11月18日

【三橋貴明】思想の対決

From 三橋貴明

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●さかき漣『顔のない独裁者』(PHP研究所)の出版記念キャンペーンがスタート!

⇒ https://www.keieikagakupub.com/sp/SAKAKI/index.php

※出版記念キャンペーンとして、ご購入者の方には全員に、
音声ファイル「『顔のない独裁者』が100倍面白くなる特別座談会」を無料プレゼント。

※座談会のメンバーは、三橋貴明、さかき漣、平松禎史、古谷経衡。
新自由主義がもたらす恐ろしい悪夢ほか、縦横無尽にメッタ斬り。
本とは関係のないオフレコ話も、、、

※Amazon以外の街の書店でお買い上げの方も、応募できます。

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【今週のNewsピックアップ】

●「顔のない独裁者」の世界
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11688581027.html

●脆弱化する日本国土
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11696215632.html

別に狙ったわけではなく、さかき漣の執筆スケジュールのためなのですが、「顔のない独裁者」の出版のタイミングで、本作に関わり合いがありそうな報道が続々と出てきました。

・大阪市の水道事業の民営化(決まったわけではないですが)

・電力システム改革法の成立

・ガスの自由化・民営化を検討する会議を経済産業省が開催

・地方交付税の産業振興加算復活

さらに、国土交通省が「我が国の土砂災害」が増加している現状をまとめた調査結果を発表しました。

「顔のない独裁者」は、新古典派経済学に基づき各種の「政府の機能」が縮小もしくは消滅していき、最終的に日本国民が「エネルギー安全保障」「食料安全保障」「医療安全保障」「物流安全保障」「自然災害に対する安全保障」「インフラ老朽化に対する安全保障」そして「軍事的安全保障」を失っていく過程を描いたものです。少なくとも、安倍政権が推進する「成長戦略」は、国家の機能を縮小する方向に向かっています。すなわち、構造改革です。

いきなり話が変わりますが、最近、韓国経済に関する取材依頼が激増しています。どうやら、渡邊さんのところにも取材依頼が殺到しているようで、現在の日本で「韓国論評」が一つの市場を形成しようとしていることが分かります。韓国論評とは、昔風の「韓国礼賛」ではなく、どちらかと云えば「韓国批判」系が多いです。わたくしが「本当はヤバイ!韓国経済」を出した頃と比較すると、世論が様変わりしました。

最近の日本国民の「韓国嫌い」の拡大は、何が原因でしょうか。もちろん、「最近の韓国がおかしくなったから」ではありません。何しろ、韓国は元々おかしかったわけで、その種の情報が国民に正しく伝わるようになったためでしょう。そう考えると、インターネットの影響は確かに大きいです。

とはいえ、それ以上に決定的な事実が一つあるように思えます。それは、韓国が反日に関連して「法」を無視するケースが頻発するようになったという現実です。以前の韓国は、反日は反日でしたが、日本を模倣した「司法」は比較的まともでした。ところが、最近の韓国の司法は、長崎の仏像盗難問題、靖国神社放火犯引き渡し問題、そして新日鉄住金や三菱重工に対する徴用賠償命令など、明らかに「法律」を無視した動きをしてきています。

すでに、韓国は法治国家ではない。この現実が日本国民の間に浸透し、現在の「韓国嫌い」に繋がっているように思えるわけです。

朴槿恵大統領の反日エスカレートは確かに異常ですが、あれは彼女のパーソナリティに起因する部分が多いです。それに対し、「司法」が異常となると、これは国家全体として「韓国は法を守る先進国ではない」というイメージが、日本国民の間で広がってしまいます。大統領の反日は個人の責任と言えないこともありませんが、司法となると、そうはいかないのです。

さて、かように「司法」とは国家の基盤であり、信用の根幹であるわけでございます。日本の司法も、最近は奇妙な判決を下すケースが見受けられますが、いずれにせよ司法あるいは訴訟とは、「国家のインフラ」の一部なのだと思います。

ところで、太平洋の向こう側に「司法」「訴訟」までをもビジネスの種として見る人々がいます。アメリカの法曹会です。彼らは日本について、「司法、訴訟で稼ぐ市場」と見ています。何しろ、彼らは日本について「リーガル・マーケット」と呼んでいるのです。アメリカの法曹会にとって、日本の訴訟、司法はビジネスの種、市場以外の何物でもないわけです。

別に、アメリカ人が「訴訟はビジネス」と見るのは構いませんが、わたくしはそうは思いません。結局、現在の様々な政策、議論が「思想の対決」であることが分かってはきませんでしょうか。日本が「顔のない独裁者」の世界に向かうか否かは、この「思想の対決」の勝敗によって決定されてしまうのです。

PS
「顔のない独裁者」の発売記念キャンペーンを実施中
応募者全員に、三橋、さかき、古谷、平松の特別座談会を無料プレゼント!
キャンペーンの詳細は、こちらで。
https://www.keieikagakupub.com/sp/SAKAKI/index.php

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【三橋貴明】思想の対決への12件のコメント

  1. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >「似非ケインジアン」の定義は「ケインズは金>融政策を否定し、財政政策の効果しか認めてい>ない」と思い込んでいる人 「似非」と決めつけてよいかはわかりませんが、土建行政ばかりがケインズ主義ではない、程度には言えるでしょう。 ところで、 「金融政策を否定し、財政政策の効果しか認めていない」人って実際ににいるんですか? もちろん、ここでいう「否定」は「全否定」のことと解したうえでの話ですが。 金融も財政も全否定の人というのは、よく見受けられるのですが。。。。 池田とか池田とか池田とか。

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  2. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >です。これは検定教科書の記述を丸暗記する事>の弊害でもあり、次元を越えた日教組との闘い>でもあります。財政派の一部(バカな人)も該当し>ますがもっと広い概念です。 検定教科書とか日教組とかはわかりませんが、結論(「答え」)の正否だけを重視して、思考のプロセスとか試行錯誤の過程とかを評価の対象にしない(とされる)日本の教育システム(あるいは、客観問題中心の受験の傾向?)の(巷間よく言われる)弊害であるとは言えるかも知れません。 誤謬への恐れは真理への恐れ、とはよく言ったもの。

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  3. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >ケインズの著作やイギリス政府への提言を読め>ば、彼がどれほど金融政策に関心があったかは>わかるでしょう。そうですね。ケインズほど貨幣に生き、貨幣に死んだ人もいないでしょう。仰るような、金本位制のこともそうですが、最晩年の、「バンコール」構想のごときを見るにつけ、思いなかばに過ぐるものがあります。

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  4. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >日本において流動性の罠>など確認されていません>よ。銀行の有望な融資先がほとんど国債だけ。。。こういうのを、「流動性の罠」と言わなければ、「流動性の罠」って何?>道路や橋を作るだけが>経世済民ではありません。>明日生きる金、従業員>に払う金を得ることの>ほうがよほど命を救え>ます。これには賛成。

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  5. はいらんだー より

    名前はまだ無いさんのコメントに同意です。Razorさん。もう少し勉強して下さいって何ですか?三橋さんと同様の考えを持つ人、自分と異なる意見の持ち主は勉強が足りないからなのですか。きっと自分の上司や恩師にもそういう言い方が堂々とできる、自信に満ちみちた方なのでしょうね。私は航海長さんの意見に概ね同意ですが、対するRazorさんのご意見が勉強不足だとは少しも思いません。藤井さんが財政万能論を唱えるのに用いた「捏造データ」というのは、誰の(どの組織が)作成したデータなのでしょうか。あるいは藤井さんの作成されたデータそのものが捏造だということでしょうか。これは藤井さんの学者生命にも関わってくることですから、言いっ放しになさらず、具体的にご指摘いただけると有り難いです。私どもの後学にもなります。捏造こそしなくても、自分にとって都合のいいデータだけを抜き出して、さも自分が実体に基づいていると主張している人は、果たしてどうなのでしょう。TPPのISD条項について、五分五分だからあまり心配ないと。しかしこの方は、ISD条項が他国の法律を撤廃させた実例や、オーストラリア、フランス、インド、ブラジルが米国との交渉でISD条項を盛り込まなかった事には一切お触れにならない。こういう世間をばかにした典型もあまり好きになれません。

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  6. 航海長 より

     田中秀臣さんも、日本が流動性の罠にかかっていることは認めていたはずです(僕とは意見が大分違う人でしょうが)。 まぁ確かに、実質金利のことを考えるとマイナス金利導入という手段はありますね。 ただし、白川法王の場合は、金融政策の意義が「一切、全く」ないという主張でしたからね。ケインズとは結構主張は違うでしょう。ケインズは金融政策が「一切、全く」無効だなんて言ってませんから。それでも、「限界がある」という話です。 それと、金融政策+減税+消費性向高い人への富の分配も、それこそ今の時代に必要です。大いにやれば良いでしょう。 問題は、財政政策の軽視ですかね。「土建業者が儲かる〜」とか言って公共事業を減らしに減らしまくってきたことが、現在の土建業者不足を招いたのではありませんか。 最後にお一つ。「貴方は不勉強だから、勉強してから来てね!さようなら!」という主張。 これ、ものすごく問題のある発言なんですよ。自分の立場を守りつつ、相手の主張がさも正当性を欠いているかのように見せながら、尚かつ議論を放棄できる、魔法の手段なんです。 上念さんにしろ三橋さんにしろ、お忙しいでしょうからある程度は仕方がないでしょう。が、上念さんの場合は使いすぎでは?どこかの大阪市長と似たようなものです。

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  7. 名前はまだ無い より

    >金融緩和+減税+直接給付がベストです。波及効果のスピードも効果も財政政策とは段違いです。減税や現金給付は財政政策のひとつでは?このようなコメントでは『似非ケインジアン』に上げ足をとられるだけですよ。

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  8. Razor より

    航海長さんもう少し経済を勉強して下さい。日本において流動性の罠など確認されていませんよ。金利が限りなくゼロに近くても金融政策は十分に効きます。>金融政策は、あくまで金融市場を潤わせる効果をもつもの。あなたは予想インフレ率と実質金利、ワルラスの法則を理解していますか?あなたの主張は三橋氏が批判していた白川日銀理論そのままです。>政府がそのお金を無理やり実体経済まで運んでくる必要がある。土建屋が儲かって、彼らが居酒屋で金を使い、地元の経済が活性化する。それこそ三橋氏が批判していたトリクルダウンそのものじゃないですか。増税などによるデフレマインドが払拭されない限りそんなこと起こりません。航海長さんが土木関連にお勤めなら主張も理解できます。実体経済を潤すなら、金融緩和+減税+直接給付がベストです。波及効果のスピードも効果も財政政策とは段違いです。道路や橋を作るだけが経世済民ではありません。明日生きる金、従業員に払う金を得ることのほうがよほど命を救えます。そもそも、公共事業の供給制約がある中で巨額の予算を執行するなら、海外から労働者を受け入れることになります。ではTPP賛成、規制緩和推進となり三橋氏の大嫌いな新自由主義者となりますが宜しいですか?ちなみに私は国土強靭化の原理主義的な推進論者です。しかし、このタイミングで追加緩和や減税、給付、日銀法改正にまったく言及せず、相変わらず財政政策のみを主張する三橋氏には賛同できません。無論、捏造データで財政万能論を唱える藤井聡氏は論外です。こんなことでは財務省に足元を見られて終わりですよ。

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  9. 航海長 より

    ところで、最近はここのメルマガで上念さんの姿が見えませんが、どうなさったのでしょう?お風邪でしょうか。いいえ、どこでも

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  10. 航海長 より

    それをここで訴えるということは、ここが「似非ケインジアン」の巣窟だと言うことですか。まぁ、別にそれでもいいですが(私のことか!)。ただし、ケインズが「流動性の罠」という概念を発見したこと(金融政策にも限界があるということ)、彼の頭の中は「財政60点、金融30点、その他10点」だったことくらいは認めてもよろしいのでは?金融政策は、あくまで金融市場を潤わせる効果をもつもの。民間が活力を失っている状態で実体経済を潤わせるには、政府がそのお金を無理やり実体経済まで運んでくる必要がある。「使いたくても使えない」というのがデフレという現象なのですから。デフレは確かに貨幣現象です。それを否定するようなことは考えません。しかし、それ「だけ」でも無いでしょう?ケインズの主張の最も大事な部分をお忘れではありませんか?「需要」<「供給」という状況の証明ですよ。

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  11. 紀藤 より

    EU、アメリカとやらかしたネオリベが新天地に選んだ日本で何をするのかは明白。連中にとっては従順な日本人のいるこの国が黄金の国に見えて仕方ないのでしょう。そういえばオバマは公共投資拡大政策に乗り出すそうです。今まで構造改革と金融政策を必死にやってきたアメリカが今頃になってwなぜでしょうね。日本をネオリベに差し出すことでネオリベに吸われ尽くしたアメリカの回復を図ると考えれば、アメリカは開放されたのかな?つまり、ネオリベの連中は黄金の稲穂にたかるイナゴですな。

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  12. 新古典派の亜種 より

    様いつも倉山塾をご利用いただきありがとうございます。本日は上念獄長による倉山塾コミュニティの書き込みをご紹介します。−−−−−−似非ケインジアンに告ぐ(補足説明)「似非ケインジアン」の定義は「ケインズは金融政策を否定し、財政政策の効果しか認めていない」と思い込んでいる人です。これは検定教科書の記述を丸暗記する事の弊害でもあり、次元を越えた日教組との闘いでもあります。財政派の一部(バカな人)も該当しますがもっと広い概念です。「似非ケインジアン」には?意識的なものと?無意識的なものがあります。?はケインズの権威を利用して自説を強化するための意図的な剽窃、プロパガンダ。?は単なる無学、無知が原因です。ケインズの著作やイギリス政府への提言を読めば、彼がどれほど金融政策に関心があったかはわかるでしょう。金本位制復帰に関する議論などは、まさに「デフレは貨幣現象である」という認識に立っています。これは「似非ケインジアン」には不都合な真実でしょうが、事実なんで受け入れなきゃだめ。変動相場制においては、「金融緩和>>>>>>>財政政策」であるという事実を認めるかどうかです。敢えて言わせてもらえば、財政政策だけ、というのは完全に間違いですが、金融政策だけなら半分以上正解です。金融緩和+財政政策+その他の政策で、デフレ脱却に向けて百点満点だと仮定すると、その内訳は金融緩和で80点、財政政策で10点、その他で10点ぐらいのイメージです。(あくまでイメージです)財政政策の効果は否定しませんが、限定的であると言うだけの話です。詳しくはこちら→

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