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2013年3月18日

【三橋貴明】最悪を阻止するには?

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FROM 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
●自民党TPP対策委員会の決議
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11490726566.html

●長い、厳しい戦いが始まった
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11491283668.html

昨日に引き続き、安倍総理大臣のTPP交渉参加表明の件です。

個人的には、交渉参加表明そのものよりも、総理の言葉が経済産業省の官僚のペーパーにしか思えなかったことについてショックを受けています。経産省に限らず、官僚さんが書く「グローバリズム推進」に関するペーパーは、抽象論だらけです。

「一つの巨大な経済圏の内海」「日本は大きな壁にぶつかっています」「内向き志向が強まってしまった」「開放経済へとダイナミックに舵を切って」「新たな経済秩序」「今がラストチャンスです」

上記は安倍総理の会見の前半部からピックアップしたものですが、抽象的でしょう?

面白いことに、会見の後半部(懸念点の部分)は具体的でした。TPP推進派が抽象論で語り、反対派が具体論で語るという構図が、そのまま表れている感じです。

とはいえ、先日のブログにも書きましたが、

「既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは、厳然たる事実です」

と、

「私たち自由民主党は、「聖域なき関税撤廃を前提とする限り、TPP交渉参加に反対する」と明確にしました。そのほかにも国民皆保険制度を守るなど五つの判断基準を掲げています。私たちは国民との約束は必ず守ります。」

とは、完全に矛盾しています。と言いますか、本当に「国民との約束を必ず守る」が実現できるのであれば、わたくしもここまで反対はしないのです。現実のTPP交渉やスケジュール観を見る限り、「国民との約束を守る」ことが不可能ではないかと懸念しているからこそ、批判の声を上げているわけでございます。

ともあれ、上記は安倍総理にしても充分に理解しているのでしょう(これは疑ったことが無い)。それでも、あそこまで前向きな交渉参加表明をする以上、昨日も取り上げた西田先生の言葉「(国益を守る交渉が出来る)確信を総理自身がお持ちのようである」が正しい可能性も、確かにあると思います。

いずれにせよ、安倍政権がTPP交渉参加を表明したからといって、「反安倍政権!」「反自民党!」などとやることは、バカげたことです。何しろ、交渉参加を表明した以上、「最悪の形」でのTPP参加を止められるのは、議会の多数派である自民党の国会議員しかいないのです。また、安倍政権はデフレ対策については、金融政策と財政政策のパッケージという正しい政策を推進しています。外交の立て直しについても、これは率直に評価するべきだと思います。

先日、青山繁晴氏、須田慎一郎氏と対談した際に、青山氏が、日本のマスコミについて、

「権力との対峙とは東洋的な表現で言えば「是々非々」です。その是々非々の姿勢がない。常に周りの空気だけを見て、社会の顔色をうかがい、べったりの擁護か、何でも非とするか、どちらかしかない」

と語っていらっしゃいました。

是々非々の姿勢を必要とするのは、日本のマスコミもそうですが、国民も同じであるように思えます。何でもかんでも100%賛同できる政権など有り得ず、評価するべきところは評価する。批判するべきところは批判する。自分の意見と少しでも外れると、他の部分を全て無視して「敵」扱いするのでは、少なくとも民主政治は成立しません。

というわけで、わたくしはTPPには反対しつつ、安倍政権は支持をし続けます。ある意味、日本国民は今こそ真の意味で「政治」について学ぶいい機会を得たようにも思えます。

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【三橋貴明】最悪を阻止するには?への7件のコメント

  1. 遠山 景武 より

    TPPに関しては、これまでの永きに亘る三橋さんの平易、端的、明快な解説に啓蒙され、多くの示唆も得て、感激、感服いたして居ります。それだけに安倍首相の発言には落胆を通り越して怒り心頭、そして日本の政治の現状に失望しています。まさに「歴史は繰り返す」です。そこで、かねがね疑問に思っている事についての質問と、それに関係する意見具申をいたしたいと思い、このコメントを寄稿いたします。先ず疑問ですが、1858年、日米修好通商条約に調印した井伊直弼そして幕閣は、国家主権を毀損する不平等条約である事を承知した上で調印したのか?若しYESであれば、何故、調印したのか?と言う点です。当時の多くの史実から彼等の国際知識と知能レベルは、けして劣悪ではなく、むしろ世界的にもトップレベルであったと思われます。不平等条約である事を知らずに調印したと言う様な稚拙な官僚達ではなかったと断言できます。それなのに何故、調印に至ったか?と言う謎です。国家主権を完全に取り戻した、1911年の日米通商航海条約まで、日清・日露戦争を戦い、53年と言う時間と犠牲を要しました。この歴史を知っている筈の安倍首相はじめ政治家も官僚も、TPPが米国を利するだけの不平等条約であると言う事を理解していないのか?或いは、理解しているが、口に出せない隠された理由がある為に、TPP賛成を貫こうとしているのか?この点が、大きな謎なのです。三橋さんはこの謎の答えをご存知ですか?ご存知でしたら是非、お教え下さい。そして意見具申ですが・・・。TPPは国家主権を失う可能性のある不平等条約である・・・などと正論を繰り返し述べているだけでは、敵には蛙の面に何とかです。結局は、TPP交渉参加表明になってしまいました。一言で言えば、敵の急所をえぐる必殺の気魄も技も無いからです。正論を紳士的に叫んでいるだけでは、負け犬の遠吠えでしかないのです。この間のTPP論争の推移は、プロレスの八百長試合だったと言う印象です。敵は、当方の正論の論点など全て承知の上で、彼らなりに避ける事の出来ない重大な理由が有るが故に、TPP賛成を貫かねばならなかったのではないか?若し、そうなら、その点が何か?そこが急所です。TPP反対派は、この急所を突くには、どうするか?と言う吟味も、戦い方の鍛錬もなされていなかったのではないかと思うのです。そもそも平和ボケしたこの国ゆえに、どちらかが命を落とす真剣勝負の決闘ではなく、エンタメのショウとかゲームのプロレスなのではないかとさえ感じます。特に戦後の日本は、親米派と言うより米国の手先のような政治家や官僚、同じく中国や韓国、朝鮮の代理人達、彼らを「売国奴」とか「非国民」と大東亜戦争当時の言葉で罵るのは簡単ですが、結局は、こう言う連中だけが国政に関与しています。本当に日本国家の為に身命を賭して戦う本物の日本人が国政の場に居なくなったと感じます。TPPが結局はズルズルと参加表明に至った現実が、それを証明しています。長くなりました・・・。提言、意見具申のポイントですが、TPPなどが国益に反すると言う事を承知の上で、採決強行しようとする理由や原因は何か?、この根底にある原因の究明、吟味をする事が、今後の日本の問題を追及し、是正するためにも必須な、喫緊の重大事です。「チャネル桜」などでの討議の論客の方々なども糾合し、大至急、我が国の、厳しく、哀しく、深刻な問題点を洗い出し、全国民に知らしめて頂きたいのです。日本は今も尚、敗戦後の米国の占領政策が続いています。日本国家は、見せ掛けだけの独立国のシナリオを演じているだけです。その辺に重大な越えられない一線があるのだと思います。原発などその典型だと思いますが、TPPも同類でしょう。この辺を突き、白日の下に晒し、その屈辱を国民が知り、納得し、臥薪嘗胆する事にならなければ、何時までたっても、八百長のプロレスを続けねばならないと思います。

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  2. 西郷次郎 より

    潮出版社「防災立国–命を守る国づくり」が発売になりました(早速増刷になりました)何で創価学会の出版社から出すのだ?

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  3. 結論がおかしい より

    例えです。「K国人による犯罪が多く、治安が悪化している!」「K国人にもいい人はいる!」このような二つの意見があったときどうすべきでしょうか?”いいK国人”だけを入国・滞在させる術がない以上、益と害と比べて害が大きければ、K国人全員を追放すべきでしょう。では、「TPP参加という最悪の道へ進んでいる!」「いい政策も行っている!」この場合どう考えるべきか、明らかではないですか?おそらく道州制も進めますよ、彼は。ごく最近の著書で肯定しているのですから。

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  4. かんながら より

    TPPもその前の年次改革要望書も、米国財界のロビー活動によるものでしょう。米韓FTAで韓国が譲歩させられたのは、北朝鮮による砲撃の後、米国政府関係者が韓国政府関係者を散歩に呼び出し、韓国が国防を米国に依存している事を利用して圧力を掛けたそうです。安倍政権がどこまで米国の圧力をかわせるか、心配しています。

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  5. とみちゃん より

    TPPには反対だが、TPPを推進する安倍総理は支持するというのは、正直申しまして、どうしても理解できません。確かに、安倍総理は、民主党政権の時に比べれば、はるかに優れていると思います。インフレ目標と公共投資増加という、ごくまっとうな政策も、安倍総理でなければできなかったと思います。今のところ、安倍総理より優れた総理候補も存在しません。全てを兼ね備えたそんな完璧な人間もいないというのも、確かにそのとおりです。しかし、どんなに優れた政策をしていても、国家の根幹を変えてしまうような政策を、具体的な説明もなく率先して突っ込もうとしている総理を、私は支持できません。総理が、もう少しグローバリズムの危険性を勉強し、考えを変えてくれるようになるには、「TPP交渉に参加しても支持は続けますよ」という態度をあからさまに見せるべきではないと思います。TPPには絶対反対という本気度を見せるためには、場合によっては他党に投票しますよという強い意志を示すことも、必要なのではないかと考えます。

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  6. 安倍さん指示 より

    私もTPP交渉参加に対しては、安倍総理にはすこし失望しました。しかし、このTPPにはどうもよくわからない部分が多い。ISDやラチェット条約は確かに危険なものです。でもそれは日本だけではなく他の国も同じでしょう。他の国はなぜこれを黙ったままにしているのか?また、NAFTAで痛い目を見ているはずのカナダやメキシコがなぜ条約を丸呑みにする形で入ってくるのか?また、これはアメリカによる各国の経済植民地政策と言われるが、そのアメリカにも強い反対意見が多々あること。NAFTAではアメリカは国としては必ずしも良いことばっかりではなかったこと。グロ-バリズムはアメリカでもすでに問題視されていて、TPPは一部資本家にはプラスに働くかもしれないが、国全体としては必ずしも諸手を上げて賛成できるものではないという意見も多く出ているのにアメリカの政治家はなぜこれを推進させようとしているのか?よくわからないことが多いのですが、今は安倍総理を信じようと思います。総理は全部解っていると思いますが、建前上現在の形にせざるをえなかったのではないか?

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  7. ああああ より

    三橋さんはご自身がミスリードされていた自覚はありますか?夕焼け寺ちゃんで昨年は「聖域を守れない限りTPPに参加しないと安倍さんが言っていると言うことは事実上参加しないと言ってるのと同じこと」と言っていたのが年末になって「安倍さんはフラット。どっちでもない」に変わりあれ?と思っていたら今度は「安倍さんがこう言ってるから大丈夫なんでしょう」は西田昌司議員もそうですがあまりにも発言が無責任なのではないでしょうか。私達一般人は専門家ではないですし言っている事が変わっていくのに馬鹿げたことと言われても。

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