政治

2020年8月12日

【藤井聡】ロングセラー『政の哲学』を改訂!この危機の時代に是非、ご一読ください。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

 

この度、『新・政の哲学』を出版しました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4792606837

本日はこの新著についてお話ししたいと思いますが、まずここで申し上げたいのが、現下の安倍内閣の長期化に伴う「腐敗」の、著しい進展について。

もちろんこうした権力の腐敗は別に、安倍内閣においてのみ見られる現象ではなく、長期政権一般に見られるもの。ですが、9年間にも及ぶ超長期政権は安倍内閣が史上初ということもあり、その腐敗が激しいものとなるのも必然。

そんな中で政治家達、そして、その政治家達のために働く「官僚達」や「学者達」「ジャーナリスト達」が平然と嘘や詭弁を当たり前の様に弄するような状況が加速して参ったわけです。

今や、単なる政権の自己都合のためだけに公文書を偽造しようが、それで心ある職員が自殺しようが、データをねつ造しようが、はてはあらゆる不道徳を閣議で決定しようが国民の側も慣れてしまい、政治なんてそもそも腐りきったものなんだからしょうが無い、という気分に陥っています。

そんな日本国民は今、旦那の惨いDVに長年虐められ、どんな反抗もどんな抗議も全く無駄だということを悟りきってしまった一人の女性のような状況。一般に心理学ではそういう女性の精神状況は「学習性無力感」と言われるのですが、それは何をやっても無駄であることを度重なる理不尽の体験を通して学習し、結局、完全な無気力状況に陥り、言いなりになる以外、何もしなくなってしまうという精神現象です。

実に痛ましい話ですが、今の日本国民は、そんな女性と同じように、何を言ってもどうにもならない「政治権力」に対して、無力感を学習してしまったのです。

このままでは、DV男がますます図にのって「都合の良い女」をいたぶり続けるように、国民はますます政権に愚弄され続けることは必至です。

そんな学習性の「無力感」をどうすれば良いのかと言えば―――まずは、自分の頭で考え始める他ありません。

そもそも、無力感とは考える事を辞めてしまった状況。

「いろいろと反抗しても意味が無い、だったら、反抗するのを辞めよう―――でもついつい、考えるとどうしても反抗したくなる。だったら、最初から考えるのを辞めてしまおう

というのが学習性無力感の学習プロセス。

つまり、学習性無力感の最終段階は、「考える」事を辞めることなのです。

だから、そのプロセスの針を「逆」に回すためには、「考え始める」ところから始めなければならないわけです。つまり、閉じてしまった心を「再開」し、思考を「再駆動」させることこそが、学習性無力感の状況を打開する第一歩となるのです。

そしてそんな時に圧倒的に効果的なのものこそ、「哲学」なのです。

そもそも「哲学」と言えば、なんだか頭が痛くなりそうな話しに思えるかもしれませんが、煎じ詰めて言えばそれは、

「考える」

という、ただそれだけの事を意味しています。

だから、別に複雑な概念を知らなくても、自由にあれこれ考えることができればそれはもはや「哲学」なのです。

だから、今のこの腐敗しきった安倍内閣による理不尽な状況を打ち破るには、(デモをやったり具体的な政治家を応援したり等の)様々な具体的な政治活動を始める「前」に、政治についてあれこれ考えることが大切なのです。

むしろ何も考えずに政治活動をいきなり始めれば、それこそ腐敗した政治権力者の思うツボ

何と言っても、今時の政治権力者は(前大阪市長の橋下氏や、現東京都知事の小池さん等が典型ですが)テレビメディアを巧みに活用しながら、自分達に都合のよい様な印象操作・イメージ戦略を積み重ねていくのが得意なので、何も考えずに実践をはじめれば彼等に上手に使われて終わりということになりかねません。

俗に言う「安部信者」やかつての「橋下信者」なんていうのは、皆そういう手合いなわけで、彼等も結局はDVを受け続けて学習性無力感を獲得してしまった人々と同じく、単に思考停止しているに過ぎないわけです。

だから、具体的な政治活動を実践する「前」にしっかりと

「政の哲学」

の基本や常識を、一通り知っておくことがとても重要なのです。

それさえできれば、権力者側がどれだけ大衆を操作しようとしても、その手口を見透かすことができ、彼等に騙されずに適正な政治的な判断や意見をもつことができるようになるのです。

そんな思いで、2014年に当方が出版したのが

「政の哲学」

という一冊の対話編だったわけです。

この本の特徴は、相当にレベルの高いややこしい話を、対話形式を使いながら超絶に分かり易くとりまとめた、という点。

つまり、ソクラテスやプラトン、ハイデガーやニーチェ、さらにはヴィトゲンシュタインといった、普通なら頭が痛くなりそうなややこしい哲学的議論を、小学生高学年程度の国語力さえあれば誰でもすっと分かるような対話形式の話し言葉で超絶に分かり易い形で、しかも、議論のレベルを落とすこと無くとりまとめた、という次第です。

この本は、爆発的に売れることは無かったのですが、当方の書籍としては珍しく6年間細々と売れ続ける「ロングセラー」となっており、おかげさまで売り切れになってしまっていたものでした。

ついてはこの度、改めて再版しましょうということになったのですが、再版するくらいなら、今の時代にあわせて「コラム」を大幅改訂しつつ、対話編の中身もさらに読みやすくシェイプアップし、

「新・政の哲学」

https://www.amazon.co.jp/dp/4792606837

という形でこの度、出版することになったわけです。

絶望的な政治状況に多くの国民が激しい「無力感」に苛まれ始めている今こそ、この現状を打開する最善の一歩として、是非、本書「新・政の哲学」をお読みください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4792606837
どうぞよろしく、お願い致します。

追申:「政の哲学」は時にこういう実践にも直結します。哲学の基本さえ身に付けておけば、その応用可能性は無限大。下記も是非、ご一読ください。
『なぜ今「満席ロックライブ」なのか? ~不条理な「三密」&「2mソーシャルディスタンス論」に対する学問に基づく抗議運動~』
https://foomii.com/00178/2020080911175769528

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【藤井聡】ロングセラー『政の哲学』を改訂!この危機の時代に是非、ご一読ください。への2件のコメント

  1. 大和魂 より

    ここに来て国際社会の覇権争いを展開している米中関係を改めておさらいしてみましょう。米国はクリントンからブッシュになりオバマと繋いでトランプ氏が大統領になる直前に中国に出向いて、なにやら交渉していた米国のキングメーカーが存在しておりましたよね。それが沖縄問題でも混乱させたキッシンジャーでしたね。そしてトランプ大統領も始めは米国ファーストを掲げて奮闘していたものの一年程を経過した頃にトランプ大統領を影で支えていた、マティスとかブライトバードのスティーブバノンやら大統領補佐官とかセッションズなどが次々と政権から外されましたね。そんな不可解な事をしながら近頃は香港問題やら新疆ウイグル自治区やらカザフスタン東部地区問題など話題の武漢ウイルスなど非難しているようですが、常識的にもこれでは誰も信用する筈などありませんよね。それで今度も国際社会を混乱させる為にロシアとかレバノンを持ち出したりグレタとかアグネスチョウだとかWHOを話題にしながら欺きパンとサーカスを提供して大衆の思考停止と心理を利用して目論むコレね!国内では難癖をつけるカス連中の野党とメディアの共謀ももうバレバレで、これからが非常に楽しみの政治になればと思いますね。

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  2. 国家公務員 藤井様 より

    適菜収氏から原稿依頼拒否されたそうですね。
      「身を殺して仁を為す」
    私も自問自答してしまいます。

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