政治

2020年7月21日

【室伏謙一】ショックドクトリンによる日本改造、破壊が止まらない

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 

 新型コロナウィルスの感染者数が、東京都では連日3桁台を記録、他の大都市部でも増加しているところがある等、緊急事態宣言解除後に「増えた」ということが一般国民に大きな衝撃を与えました。都内では、特に新宿で多く出ているとのことで、新宿にも出店している居酒屋の店長に話を聞いたところ、新宿の店舗は閑古鳥が鳴いているとのこと。

 仕方がないように聞こえるかもしれませんが、感染者数が増えた背景にはPCR検査数を増やしたことがあり、陽性率、つまり陽性の人が検査者に占める割合で見れば6%程度。しかもその多くは無症状とのことですし、陽性と判定された無症状者の中には、既に自らの自然免疫で新型コロナをやっつけた人の体内にたまたま新型コロナウィルスの死骸が残っていたために陽性とされた人もいるようで、そうなるとそこまで恐れ慄く理由がよく分かりません。

 しかし、連日「新たに◯◯人感染」といった情報がメディアを賑わしています。
 そうしたこともあって、Go Toキャンペーンへの反発、それも「東京の人が地方に旅行に行くと感染を撒き散らす」という、「写真を撮られると魂を抜かれる」レヴェルの考え方による反発が巻き起こり、東京発着の旅行は対象にならないということになりましたが、これを好機と見た野党もこれに乗っかり、反Go Toキャンペーン運動が盛り上がってきています。

 ご承知のとおり、私はGo Toキャンペーンについてはこれを令和2年度第一次補正予算に組み込んだ段階から反対していましたが、それはこうした反対運動の人たちとは全く別の理由から。詳細は拙稿「Go Toキャンペーンがそもそも「筋の悪い」支援策である理由」(https://diamond.jp/articles/-/243562)をご覧ください。

 さて、こうした「陽性が増加した」騒ぎや「反Go Toキャンペーン」騒ぎの裏で、7月17日、骨太の方針や成長戦略実行計画、規制改革推進に関する答申等がシラーっと閣議決定されました。このうち、成長戦略実行計画と一緒に閣議決定されたものに、「令和2年度革新的事業活動に関する実行計画」というものがあります。耳慣れない、と言いますか、ほとんど聞いたことがない、報道もされたものをあまり見たことがない、そんなところだと思います。しかし、この計画、その内容はショックドクトリンによる日本改造計画そのものなのです。

 この計画は、2年前の通常国会で可決・成立した生産性向上特別措置法第6条に基づき作成されたものです。この法律もどうしようもない法律なのですが(詳しくは拙稿「安倍政権の目玉政策法案に潜む「隠された別の目的」」(https://diamond.jp/articles/-/167168)をご参照ください。)、この計画は輪をかけてどうしようもないのです。

 例えば、日本の貧困化や少子化、地域の衰退を招き、イノベーションをも阻害し、日本経済の構造を、金融が支配すると言っていい程度に歪にした元凶であるコーポレートガヴァナンス改革を更に計画的に押し進めようとしていたり、「ゾンビ企業」という根拠なきレッテルを貼って、企業の「新陳代謝」、場合によっては「事業再編」の名の下に、中小企業を中心に廃業に追い込み、儲かりそうな事業や技術・ノウハウをファンドや外資系企業等に売り払おうとしていたりと、日本改造を通り越して日本破壊を進めるとしか思えないような内容が盛り沢山です。

 しかも、これを日本経済が成長するには必要なこと、不可避のことと信じ込み、諸手を挙げて賛成する議員が少なくないのです。緊縮派議員についてはこれを次回衆院選において落選してもらおうという動きが出ていますが、こうした日本改造派もとい日本破壊派議員らにも、しっかり「破壊派」のレッテルを貼って、落選させるべく動いていきましょう。ちなみに、これは緊縮派でも同じですが、「破壊派」議員は与野党にいますので、ご留意くださいね。

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【室伏謙一】ショックドクトリンによる日本改造、破壊が止まらないへの6件のコメント

  1. カネ出さない政治屋と東大法学部番頭屋のせいで 全面無条件降伏 より

    京大の●中教授の研究も
    東大の児●教授の研究も
    日本人の顔をしたグローバル金融屋に売り飛ばされた。
    残ってるのは上級公務員利権だけだ。

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  2. たかゆき より

    草刈り場

    下々は 草莽

    というよりも 

    議員という名の人足に刈られるだけの 

    ただの草 w

    この国は その名の通り

    とよ 悪し ばらの 無かつ 国に

    なるのだ 目出たし目出たし ♪

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  4. 大和魂 より

    これはそれぞれの国際社会の実情を鑑みても各国の長く続く政権は裏社会の言いなりでしか政権維持が出来ない証拠。だから安倍政権にも執拗に退陣を求めているわけです。それでともかく許せないのが高学歴の分際でしかも役人の立場にあって苦労した奴等が永田町で食んでいること。ならば殆どの高学歴の政治家は小学生以上には使い物にもならないことだし、それこそが将来世代にツケを残す元凶そのものだからです。しかしそれにしても今回のコロナ禍の影響による高学歴の医師たちの国防意識も神戸大の岩田や北海道大の西浦など見ても散々でしたから、その劣化の代償がバカげた少子化高齢化なのです。だから志士たる室伏先生たち以外の高学歴のインテリ連中は残念で使い物にならない手柄乞食ていどのカスばかりなのです!

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  6. 麦粒 より

    「粗利」も「100%」も「補償」も、印象が良くないと思うんですよね。できれば売上補助がいいんじゃないでしょうか。国が商品を買い上げて国民に配り、事業者に代金を支払う。公平のため、10万円の時のように一律で。できれば無期限の権利付与という形式で。

    東洋経済オンライン
    窮地のゲーセンが3700万の支援獲得できた理由

    これが成立する事業者は限られていますから、代わりに国がやったらいいと思うんですけどね~。

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