From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学
おっはようございまーす(^_^)/
テレビ時代劇の「水戸黄門」が今年10月から復活するそうですね。
前作は2011年に終わったので、6年ぶりの復活です。
主演は武田鉄矢。博多弁交じりの黄門さまになるのではないかと少々心配です。
残念ながら地上波ではなく、衛星(BS-TBS)のようですが、視聴率がよければ地上波に移ることもあるでしょうね。
私は結構、時代劇好きですので楽しみです。また、いまの世の中こそ、水戸黄門のような勧善懲悪型の時代劇の復活が必要なのではないかと思います。
というのは、このところ、黄門さまご一行に吟味してほしい悪辣な事柄が、悲しいかな、増えてきているように思います。
新しい水戸黄門では、ぜひ次のような設定の回を作ってほしいです。そして、黄門さまに「助さん、格さん、懲らしめてやりなさい!」と言ってもらいたいものです。
● 悪徳南蛮商人と癒着して、天下のご政道を捻じ曲げ、博打を解禁し、ご法度だったはずの賭場を江戸や上方、長崎などに大々的に作り、一般庶民からカネを巻き上げようとする役人や商人をとっちめる回
● 莫大な口銭(手数料)を懐に入れるために、やはり天下のご政道を捻じ曲げ、ルソン辺りの婦女子の貧しさに付け込み、江戸や上方、相模などに彼女らを送り込んで女中奉公をさせようとたくらむ悪辣な口入屋やそれと結託する役人を成敗する回
以上の例もそうですが、水戸黄門をはじめとする時代劇でかつてよく見られた悪役は、強欲な商人、ならびに強欲商人と癒着する役人でした。そして、強欲商人と役人が結託して庶民を苛めている状況に主人公が気づき、懲らしめるという話が多かったのです。
こうした悪辣な商人・役人連合は、私のみるところ、現在の日本に、はびこっています。ですが、時代劇が少なくなったからでしょうか、世間は、こうした財界と政界の癒着に鈍感になってしまったようです。あまり問題視しなくなっていると思えてなりません。
例えば、企業担当制です。
(内閣府の「企業担当制」についてのサイト)
http://www.invest-japan.go.jp/investment_advisor_assignment_system/index.html
「企業担当制」とは、以前も本メルマガで取り上げたことがありますが、「海外から日本に重要な投資をする企業には、安倍内閣の副大臣や政務官を相談相手につける」という制度です。
(下記のリンク先は「企業担当制」を批判した私のメルマガ記事です。施 光恒「『企業担当制』という約束」2015年4月3日付『「新」経世済民新聞』)
https://38news.jp/archives/05453
つまり、外国企業からさまざまな要望を直接聞き、進出しやすいように各種の便宜をはかるというものです。悪く言えば、各省庁のナンバーツークラスを担当者としてつけ、グローバル企業の御用聞きをしようとするものです。
これ、普通に考えれば、おかしな話ですよね。あからさまに日本の政権の高級幹部とグローバル企業が結託し、グローバル企業に様々な便宜をはかりますよ、ということですから。
もちろん海外からの投資が増えれば、国内に雇用が生まれ、経済が活性化することもなきにしもあらずです。
しかし、当然ながら、外国企業の利益と日本の一般国民の利益は、必ずしも一致するとは限りません。むしろ、両者は乖離してしまう場合が多いのです。
言うまでもなく、グローバルな企業や投資家は、日本国民の生活の安定や福祉、日本の社会や経済の長期的発展などに特段の関心を持ちません。端的に自分たちの利益のみを追求してきます。
例えば、外国企業からすれば、日本に進出する際、労働法制は、なるべく緩い方が望ましいのです。従業員のリストラはしやすいほうがいいですし、残業代もできれば払いたくないでしょう。社会保障費の会社負担が少ないことも望むはずです。法人税率も低いにこしたことはありません。
賃金も安いほうがいいので、日本が外国人労働者や移民を大規模に受け入れてくれた方が有難いのです。
各種の安全基準や環境基準、健康基準も、なるべく緩いほうがグローバル企業にとってビジネスしやすく望ましいのです。
このように、グローバル企業の利益と日本の国民一般の利益とは、多くの場合、一致しません。それなのに、政府の高級幹部が、グローバル企業の要望を直接的に聞き、便宜を図る体制を作ってしまって大丈夫なのでしょうか。
企業担当制はすでに始まっており、現在では、実際にいくつかのグローバル企業に日本政府の高級幹部が担当者(御用聞き)としてついています。
次のようなグローバル企業です。
IBM(情報システム)、エア・リキード(化学)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(医療機器)、スリーエム(化学)、デュポン(化学)、ファイザー(医薬品)、フィリップス(医療機器)、マイクロンテクノロジー(半導体)、メルク(医薬品)といった外国企業です。
(詳細は下記の内閣府HPのなかほどの【公募結果】のところの「対象企業」というPDFファイルをご覧ください)。
http://www.invest-japan.go.jp/investment_advisor_assignment_system/index.html
例えば、このファイルによりますと、ジョンソン・エンド・ジョンソンやファイザー、フィリップス、メルクといった医薬品や医療機器関連の企業の場合、厚生労働省の副大臣が「担当者」としてつくようです。
こうしたグローバル企業は、日本でビジネスしやすいように、日本の各種規制やルールを緩和もしくは撤廃するように担当者である副大臣に要求することになります。
医薬品や医療機器のグローバル企業の担当者としてつくのが、経産省の副大臣ならまだ理解できないことはないですが、厚労省の副大臣であることに非常に大きな懸念を覚えます。
厚労省とは、本来、日本国民全体の健康や安全を長期的観点から守るためにあるはずです。
そうであるはずなのに企業担当制の下では、厚労省は、実際のところ外国の医薬品メーカーや医療機器メーカーの声を直接的かつ優先的に聞き、便宜をはかる存在となってしまっていないのか大いに心配です。
近い将来、例えば、薬や医療機器の価格決定システムや著作権保護に関して、国民一般にではなく、グローバル企業のほうにもっぱら有利な規制緩和やルール変更が行われたりする恐れはないのでしょうか。
こうした懸念は、ごく普通のものだと思うのですが、政府は、あまり自覚がないようです。つい先日(3月27日)も、外務省、内閣府、経産省などが主催した「日米欧ビジネスセミナー――双方向の投資拡大が切り拓く日米欧経済関係の新時代」という会合で、政府の幹部は、グローバル企業関係者の前で「企業担当制」を宣伝し、日本に投資するように呼び掛けていました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/oecd/page22_002792.html
近い将来、例えば、モンサント社と農水省の副大臣が直結してしまい、様々な規制緩和やルール変更が行われていく――などというあまり考えたくない事態も生じるのかもしれません…
企業担当制以外でも、もっと素朴にまずいのではないかと思われる事案でさえも、最近では、あまり問題にされないようですね。
例えば、よく知られているように(私もかつて問題にしましたが)、竹中平蔵氏は、外国人家政婦の受け入れ解禁に非常に熱心でした。。
(施 光恒「『外国人家政婦』は日本人の倫理観に合うのか?」『産経ニュース』2014年6月5日付)
http://www.sankei.com/economy/news/140605/ecn1406050001-n1.html
竹中氏が委員として名を連ねる国家戦略特区諮問会議の強い働きかけもあり、結局、神奈川や大阪などでは、外国人家政婦の受け入れは実現してしまいました。今後、東京にも広がるようです。
そして、外国人家政婦を受け入れ、派遣するビジネスを行う業者の一つとして認定されたのは、竹中氏が取締役会長を務める人材派遣大手パソナです。
(「フィリピン人家事代行、4時間1万円 パソナが入社式」『日本経済新聞』2017年3月21日付)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HA3_R20C17A3000000/
(「外国人家政婦、東京にも 都が家事代行6社認定」『産経ニュース』2017年2月23日付)
http://www.sankei.com/politics/news/170223/plt1702230016-n1.html
企業と政治とのこうした密接な関係というのは、いいんでしょうかね…。本当に、公正だといえるのでしょうか。日本国民一般のことを考えた政策決定が行われているのでしょうか。
(´・ω・`)
新しい水戸黄門では、ぜひこうした癒着構造を取り上げ、痛烈に風刺してもらいたいものです。
そして、マスコミにしろ、われわれ国民一般にしろ、きちんと監視していかなかればなりませんね。
長々と失礼しますた。
<(_ _)>
【施光恒】黄門様に期待!への2件のコメント
2017年4月1日 7:08 AM
>● 悪徳南蛮商人と癒着して、天下のご政道を捻じ曲げ、博打を解禁し、ご法度だったはずの賭場を江戸や上方、長崎などに大々的に作り、一般庶民からカネを巻き上げようとする役人や商人をとっちめる回
>● 莫大な口銭(手数料)を懐に入れるために、やはり天下のご政道を捻じ曲げ、ルソン辺りの婦女子の貧しさに付け込み、江戸や上方、相模などに彼女らを送り込んで女中奉公をさせようとたくらむ悪辣な口入屋やそれと結託する役人を成敗する回
他にも色々なバリエーションが有り得そうですね。新自由主義に苦しむ民、デフレに苦しむ民、PC(ポリティカル・キレイゴト、もとへ、コレクトネス)に苦しむ民、伝承(歴史)捏造に迫害されて苦しむ侍などをスカッと救ってくれるご老公一行、などなど、現代の世相を江戸時代バージョンに直してパロってしまえば、とっても面白い番組になるかも。
その時は、悪徳商人や悪代官役に、それと分るようにTK中さん、HS本TさんやK泉S次郎さん、K山rikaさんのそっくりさんに役者を充てる、そっくりさんがいなければ、台詞や仕種をそっくりとする(こちらの方がいいかな)、或いは、津波災害すら何があろうと民に重い年貢を課したがる勘定奉行所を真っ黒(真っ赤でもいいです)に描くなど、素晴しい演出をされると猶お良いでしょう。
放送作家や脚本家の腕のある人が、TV局に台本を送って差し上げ、また後程それをインターネットにupするなども、大いにありかなと。
また主題歌の歌詞は、東田剛さんに依頼すると良いでしょう。
BPOに提訴されたりして(笑)
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2017年4月3日 12:54 PM
>あからさまに日本の政権の高級幹部とグローバル企業が結託し
民主党時代は菅総理と孫氏。
大阪維新は橋下とプロフェッサー竹中。
自民党も安倍総理とプロフェッサー竹中。
更には、農協解体のベクテル進次郎Jr.とモンサント
・・・・・みたいですね。
印籠を翳したとたんに、マシンガンで撃ち殺されそうな・・・ガガガグガギガギギガギギガグガガガギガギガガギ
助さん角さんが揉んどりうってぶっ倒れる場面が浮かびます。
そして更には、進次郎ベクテルモンサントJr.は抵抗できない光國公に対してゴルフのドライバーを降り下ろすのです!
ヌハハハハハハハ! 日本っ!解体だーっ!
悲惨!
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