日本経済

2023年6月4日

【三橋貴明】投資の失敗を許容する余裕

【近況】

学校法人玉川学園の創立者である教育学者、
小原國芳は、真善美聖健富を備えた
完全で調和のある人格(全人)を育むべきとする
全人教育を唱えました。

全人教育の具体的手法の一つに、
ドイツ発である、
書物を用いて知識を詰め込む
受動的教育ではない、
能動的な労働・生産作業を
体験させることにより、
児童の人格的成長を図る労作教育があります。

これは、なかなか納得できる。
百聞は一見に如かず。
とはいえ、百見は一労作に如かず。

正直、初等教育は詰込みでも
構わないと思いますが、
結局のところ、
あらゆる「生きるための知恵」は、
労作(手を動かし、体験する)なしでは
身に着かない。

三橋は最近、料理に凝っておりまして、
日常的にコロッケやカツレツ、
エビフライ等を作るまでに
なってしまいました。

「どうやったら、巧くなるのだろう?」
やるしかありません。
ひたすらやってみて、
失敗を重ねて初めて、上達するのです。

そして、失敗するためには
「余裕」がなければなりません。
この余裕が、現在の日本から
失われているように思えてならないのです。

特に、若い世代は、失敗したら
「後がない」と信じ込んでいる
(ある面で、事実)人が少なくないでしょう。

となると、失敗を繰り返し、
ノウハウをつかみ取るまでの「過程」を恐れる。
失敗した際に、
「次の挑戦ができないのではないか?」
と怯えてしまう。

思えば、バブル崩壊までの日本は余裕があった。
失敗しても、「また、やってみればいいさ」
と思える余裕こそが、
ノウハウの蓄積を可能とする。

そもそも、投資の多くは失敗するものです。
かつての日本は投資による失敗を、
何とかリカバーできる余裕があった。

ところが、バブル崩壊とデフレ化、
そして株主資本主義の蔓延が、
「投資の失敗」を許容できる
余裕を失わせてしまった。

昨今、日本企業から
画期的な製品やサービスが
全く出てこなくなってしまったのは、
デフレ下の日本で
「投資の失敗を受け止める余裕」が
無くなってしまったことも
一因だと思うのです。

◆小学館から「日本経済 失敗の本質:
誤った貨幣観が国を滅ぼす」
が刊行になりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4093888973

◆経営科学出版から
「歴史教科書が教えてくれない
古代日本「帝国」の誕生」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nike2_980_teika

◆週刊実話 連載
「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第517回 歳出改革という国民負担増

◆メルマガ 週刊三橋貴明
Vol735 「ムダなバラマキ」を考える
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
政府支出について「ムダなバラマキ」という
レッテル貼りをする人がいますが、
その定義を示してくれたことはありません。
というわけで、代わりに考察してみました。

◆メディア出演

重大発表!高家さんがっ!!!
[三橋TV第708回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/Iec2w8B7wt0

もはや人間じゃないっ!
またもや潜在GDPの定義を変えた
内閣府の執念
[三橋TV第709回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/ungxMnTykEs

電力会社は国営に戻せ!安全保障は
「自由競争」に優先する
[三橋TV第711回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/heJWxWRYTXw

特別コンテンツ配信中!

【4日間限定公開】
徳川家康VSスペイン国王
戦国最大の戦い”関ヶ原”の裏で進む
覇権国の日本滅亡計画
https://youtu.be/GNfRfrqpzmI

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた 第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾

三橋経済塾第十二期
第六回対面講義の
お申込み受付を開始致しました。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2147
ゲスト講師は中野剛志先生です。

◆チャンネルAJER
「日本国民の可処分所得と
実質賃金を引き上げるには」
(前半)三橋貴明 AJER2023.5.30
https://youtu.be/vbliAx2tzoU

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【三橋貴明】投資の失敗を許容する余裕への1件のコメント

  1. 利根川 より

     ブログの方見ました。前・明石市長の泉房穂さんがツイッターで財務省をディスっているそうで…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~
    『泉 房穂(いずみ ふさほ)@izumi_akashi
    「『財務省』は、まずは国民に謝罪すべきだ。30年間、経済成長すら実現できず、給料も上がらないのに負担ばかりを国民に押しつけ、国民を苦しめ、坂道を転げ落ちるような少子化を招いた責任は、『財務省』にある。国民にお詫びもせず、さらに国民に負担を転嫁するなんて許されないことだと私は思う。』」
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    やるじゃない。
     自民党にも中村裕之議員、城内実議員をはじめ、少数ながら「責任ある積極財政を推進する議員連盟」に所属する議員はいますし、公明党にも「MMTを知ってほしい会」の松田智臣議員がいます。野党を見れば立憲では落合貴之議員や原口議員が頑張ってくれていますね。共通するのは財務省にたてつくと政治のメインストリームからはじかれるというところ。立憲は「増税バンザイ」の野田元総理を代表に据えようという動きが出ているとか耳にしましたけど、どうなんでしょうね(苦笑い
     財務省の方針に従順であれば、公邸で酒盛りをしていてもかばってもらえますが、財務省の方針に逆らうと何のかんの理由をつけて放り出されるのが今の日本の政治です。
     私が記憶するところ、コロナ禍の際に「粗利補償」や「消費税廃止」を本気で訴えた元自民党議員を一人だけ知っていますが、彼は自民党の公認がもらえなくて次の選挙で失職しましたしね。私としては珍しく「政治家で尊敬できる人物を見つけた」と思ったわけですが、彼に気が付いたころにはすでに追いやられる間際だったという(苦笑い
     さて、そんな日本で正面から財務省を批判するとは、なかなかやるじゃないの。そこに痺れる憧れる!まあ、党を挙げて財務省を批判している令和新選組に対する風当たりが強いのを見ればわかると思いますが、より一層風当たりがきつくなること請け合いですよ(苦笑い

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