日本経済

2023年1月9日

【三橋貴明】貨幣の源(後編)

【今週のNewsピックアップ】
少子化対策としての消費税増税の愚
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12782881125.html
緊縮財政の転換なしで少子化対策は不可能
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12783056703.html

日本政府(岸田内閣)は、
恐らくというか、ほぼ確実に今年、
「日本の少子化は危機的な状況だ。
少子化対策の財源として、消費税増税を!」
という、例によって頭がおかしい政策を
推進してくると思われますが、
防衛費同様、少子化対策の「財源」は
国債発行でいいのです。

困惑することに、
岸田内閣が掲げる「異次元の少子化対策」は、
①児童手当など経済支援強化
②学童保育や病児保育、
産後ケアなど全ての子育て家庭への支援
③仕事と育児を両立する女性の働き方改革の推進
と、これまで散々に試みられた挙句、
少子化抑制に何の効果もなかった
陳腐な政策の焼き直しなのです。

つまりは、岸田内閣は、
「少子化対策には貢献しない政策を実施する」
ために、少子化を促進すること確実な
消費税増税に邁進することになるのです。

これほどまでに愚かな国は、普通に亡びる。
と、痛感してしまうわけですが、
岸田内閣が政策を間違え、
財務省主導の緊縮財政を転換できないのは、
単純に貨幣観を間違えているために過ぎません。

岸田総理は、
官邸幹部(=財務省幹部)が語っている、
「負担を求める対象をどうするのか、
国と地方でどう負担するのか、
税金なのか社会保険料なのか、
検討すべきテーマが多く、
防衛費の財源の議論より困難だ」
というレトリックで、
増税路線を突き進むのでしょう。

何しろ、岸田総理は、
防衛費増額についてまで、
「戦闘機やミサイルを買うのに国債を発行して
未来の世代につけを回すのがいいのか、
今を生きるわれわれの責任として払うのか」
と、陳腐で論破されまくった
古臭く幼稚な財政破綻論に基づき、
「国の借金は将来世代へのツケ」
と主張しています。

1970年度以降、
日本政府の長期債務残高は
172倍に膨れ上がりました。
それは単に、政府が支出しなければならない
「需要」があったために過ぎません。
防衛力強化にせよ、少子化解消にせよ、
立派な需要です。

需要を満たすために、政府が貨幣(国債)を
発行しただけなのです。
政府は、防衛力強化や少子化解消
という需要を満たすために、
国債を発行し「貸借関係」を
成立させれば済む話です。
すなわち、国債発行です。

逆に言えば、日本には政府が
支出しなければならない需要が、
多数、存在している。
防衛力強化や少子化解消だけではありませんよね。

現在の日本は、歴史上、
最も「政府が貨幣(国債)を
発行しなければならない」局面なのです。

それにもかかわらず、
「国の借金で破綻する~っ!」と、
根本から間違えたレトリックに基づき、
国債発行や財政出動、
減税に躊躇するようであれば、
そんな国は普通に亡びるでしょう。

◆「岸田総理の大嘘
メッキが剥がれた新しい資本主義
(経営科学出版)」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38kisi_blog

◆「マンガ 財政破綻論の大嘘(経営科学出版)」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38zase_blog

◆週刊実話
 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
 第498 需要こそが「財源」である

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol714 貨幣の源泉
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
貨幣の源泉が「財やサービスを購入する需要」
であることを理解すると、
世界がきれいに見えてくることになります。
貨幣は「モノ」ではないのです。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

2023年 日本国民の「貨幣観」が
転換する一年になる
[三橋TV第646回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/KSlcwXdUx2Q

日銀YCC運用見直しに学ぶ情報リテラシー
とりあえず「落ち着け」
[三橋TV第647回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/vvzuB0Xs5ts

農業は国防だ!
もはや洒落にならん日本農業の現実
[三橋TV第648回] 石原達郎・三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/Ne_VpDFlMRg

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に本当に必要な指標、
考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に学んで頂くのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
 第二巻」です。

さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた 第一回」
の全編もご視聴頂けます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾

23年1月21日、
第十二期第一回講義が開催されます。
ゲスト講師は藤井聡先生です。
お申し込みは、こちらから。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2016

◆チャンネルAJER 
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】貨幣の源(後編)への2件のコメント

  1. 国破れても 増税あり より

    破れてとは 破綻
    敗戦ではなし 念のため、、

    彼等の出世のための 増税など
    大概にしろ という 憤怒が
    日本中に満ち溢れる ことを祈りつつ

    テレビで 苦渋 もとい
    日本百名山 の くじゅう連山を 眺める
    昼下がりで ございます ♪」

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  2. 利根川 より

    あけましておめでとうございます。

     農業国防研究所の方が三橋TVに出演されていたそうで、現場の方のお話を伺える貴重な回がまた一つ増えたと言うことで大変ありがたいと思います。
     農業国防研究所の動画を見ましたが、急ぎの案件があるとのことで、熊本市の方にお知らせです↓

    熊本市自治基本条例の一部が改正されます

    端的に言うと「外国籍の方に市政への参政権を与える条例」だそうです。これはマズいということで、1月18日までに熊本市に意見を送ってほしいとのことでした。(1月18日が意見受付の締め切りだそうです)
     外国人差別とかそういったことではなく、日本の政治に参加するのであれば日本の国籍を取ってもらわないとマズいと言うことです。外国籍のまま日本の政治に参加するのは後々問題が大きくなると言うことですね。なにせ日本と利害が対立している国もあるわけで、日本の政治に参加するなら日本の国益に殉じてもらわないとお互い困ったことになるでしょうというお話。
     さて、農業国防研究所の方の現場の意見としては「政府による支援が必要」とのことでしたが、これに対して「日本の農業は甘やかされている」との意見が未だに出るのだそうで…はぁ~、マジ
     詳しくは

    「農業消滅 鈴木宣弘 平凡社」

    「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム 三橋貴明 彩図社」

    を読んで頂きたいと思いますが、各国の農業所得に占める補助金の割合は以下のようになっています。

    <農業所得に占める補助金の割合>

    ※「農業粗収益ー支払い経費+補助金=所得」と定義

    例:販売100ー経費110+補助金20=所得10の場合、
    補助金÷所得=20÷10=200%となる

    2012年

    日本 38.2

    アメリカ 42.5

    スイス 112.5

    フランス 65.0

    ドイツ 72.9

    イギリス 81.9

    これを見てもらえば分かるように、日本以外の国は農家の収入の半分以上が政府から出ていると言うことで半分公務員みたいな感じになっているわけです。日本の農家は甘やかされているどころか超塩対応されているんですよ。
     因みに、アメリカは農家に対しての補助金は少なく見えますが、これ以外に「事実上の輸出補助金」がでています。アメリカがどうして小麦やトウモロコシ、大豆の輸出大国なのかというと政府が手厚く「甘やかしているから」なんですよ。まあ、農業に限った話ではなくアイドルや映画にも言えますが、

    国家による支援込みで活動しているグループと一企業が個人で活動してるグループ、どちらが有名になるのか

    というと国家が支援してるグループですよね。
     「輸出補助金とかWTOのルールだとダメなんじゃないの?」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、どこの国もやってるってことです。ちなみに、やってない日本は「穀物需要の調整弁」にされちゃってるわけですよ。
     現在、エネルギー価格や食品など原材料価格が上がったせいでモリモリ値上げがされていますが、どうしてこうなったのかというと日本の食品が不足してきたからですね。
     どうして日本の食品が不足したのかというと

    「食品なんて海外から輸入すりゃあいい」

    とやっていたらウクライナ戦争が始まって食料不足が懸念されるようになり、どこの国も自国民が食べる分を確保するために食品の輸出を減らしたからですね。自分で穀物を作るのをやめてしまった日本はまさに「調整弁」にされてしまったわけだ。
     ちなみに、読売新聞には

    読売「農地の少ない日本では食料自給率が低下するのはしかたなかった」

    みたいな記事が載っていましたが、農地が少ないから食料自給率が下がったんじゃなくて貿易自由化をやったから食料自給率が下がったんですよ。自分達のミスを誤魔化すのはやめていただきたいですね。
     
    <残存輸入数量制限品目と食料自給率の推移>

    年/輸入数量制限品目/食料自給率/備考

    1962年/81品目/76%/

    1967年/73品目/66%/ガット・ケネディ・ラウンド決着

    1970年/58品目/60%/

    1988年/22品目/50%/日米農産物交渉決着

    1990年/17品目/48%/

    2001年/05品目/40%/ドーハ・ラウンド開始

    2019年/05品目/38%/

    加えていえば、どうして中国が強気で「武力行使」をちらつかせているのかというと、2009年に尖閣諸島で中国漁船の体当たり事件がありましたが、その翌年の2010年には日本はGDPで中国に抜かされました。今では生産能力は中国の方が上です。なにせ現場の自衛官自体が

    自衛官「開戦1月で弾薬が切れる」

    と言っているくらいですし、

    自衛官「軍事費で3倍以上差があったら質とか練度とかいくら上でも勝てない。今日本と中国は5倍の差があります」

    とTVで言ってしまっているわけでね。くわえて、日本は食料を自給できない国になりました。日本はウクライナと違って海に囲まれているのでシーレーンを絶たれれば飢えることになります。そういった事情を中国は分かっているから強気の姿勢だったんですよ。
     で、どうしてここまで日本が弱くなったのかというと上で挙げた貿易自由化の例を見れば分かるようにアメリカの世界戦略の失敗が原因なんですよね。東アジアの要石である日本を多国籍企業の金儲けのために弱体化させてしまったから中国が張り出してきたわけだ。
     現在、岸田総理はアメリカでバイデン大統領に会っているそうですが、はっきり言ってここまで弱くなった日本ではもう何もできんとしっかり言っておいてもらいたいですね。防衛費増額すら増税だとか緊縮だとか言っているようではとてもとても…

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