日本経済

2019年8月16日

【施 光恒】カジノと大麻と緊縮主義

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

おっはようございまーす(^_^)/

先月末から、IR(統合型リゾート)、つまりカジノの開業に向けて、政府の動きが活発になってきました。

カジノ免許の付与や事業者の監督を担う「カジノ管理委員会」の設置や候補地の選定の話が、ニュースでよく報じられるようになっています。

本来はもっと早く進めるはずだったのですが、下記の産経の記事が伝えるように、「政府・与党内で参院選に逆風になるとの懸念」があったため、参院選が終わった先月末から動きが本格化してきました。
(;´д`)トホホ

「政府、カジノ管理委人事案を秋の臨時国会に提出へ」(『産経新聞』2019年8月1日付)
https://www.sankei.com/politics/news/190801/plt1908010005-n1.html

現政権が進めてきたカジノ解禁・開設の流れは、緊縮財政主義と大いに関係します。緊縮主義に固執しているため、カジノ解禁のような怪しげな政策に頼らざるを得なくなっているのです。

日本が約20年もの長期にわたってデフレ不況に苦しんでいるのは、政府がずっと緊縮路線をとってきたからです。

デフレのときは、合理的な個人や企業はあまりお金を使いません。デフレの時期は、物価が下がる、つまりお金の価値が相対的に上がるわけですから、モノを買うよりもタンス預金にでもしていたほうがいいからです。

個人があまりモノを買わない、つまり消費しないので、企業も投資を控えます。そうなると、ますます需要不足、つまりデフレが悪化していきます。

中野剛志さんの近著『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ、2019年)にも、次のようにわかりやすく書いてありました。

「デフレ(需要不足)で不景気の時に、個人や企業が消費や投資を手控え、貯蓄に励むというのは、まったくもって経済合理的な行動だということです。

給料が下がっているのに、モノを買うのを増やすとしたら、その人は、明らかにおかしいでしょう。モノが売れないのに、設備投資を拡大する企業があったとしたらその企業もおかしい」(37~38頁)。

中野さんが説明するように、デフレ不況から脱却するためには、本来、政府が働く必要があります。「デフレ不況、不安よな。政府、動きます」とならなければいけません。

政府が公共投資や社会保障などで財政支出を増やし、需要を作り出さなければなりません。

あるいは、政府が民間の消費や投資を促進する必要があります。そのためには、減税が効果的です。例えば、消費税を下げる、あるいは企業に対しては投資減税を行うなどの政策をとる必要があるのです。

ですが、我が国の政府は、長らく緊縮主義に陥っており、財政支出を十分に増やそうとは決してしません。消費税に関しては、引き下げどころか10月には引き上げを断行します。

その結果、デフレ脱却はますます遠のきます。合理的な個人や企業は、消費や投資を手控え、お金をこれまで以上に使わなくなるのです。

政府は、緊縮主義に固執し、積極財政政策をとりません。その代わりに何をするかといえば、情けないことに、個人の非合理な欲求に訴えかけようとします。それがカジノです。

デフレ不況下では合理的な個人はカネを使わないんだったら、非合理な欲求に訴えかけ、金を使わせる仕組みを大々的に作りましょう!ということで始めるのがカジノというわけです。あたま痛いですね…。
┐(´д`)┌ヤレヤレ

政府は、ギャンブル依存症対策をしっかりやると言っているようですが、ギャンブルというのはどのみち非合理な欲求です。依存症に陥る人が多数出るのは目に見えています。

私は思うのですが、カジノの次は大麻解禁ではないでしょうか。政府が緊縮主義を取り続ける限り、需要を喚起するには人々の非合理な欲求に訴えかける必要があります。ギャンブルという非合理な欲求の次は、ドラッグではないでしょうかね。

米国では大麻解禁に踏み切った州がいくつかありますし、カナダでは全国規模で大麻が合法化されています。欧州でも、最近、ルクセンブルクで大麻合法化が検討されています。

日本でも、オリンピックの後ぐらいに、デフレ不況がさらにひどくなった時、「大麻解禁はグローバルな潮流だ!」「大麻特区を作り、地域創生を!」などという話が出てくるような気がします…。杞憂ならいいのですが。

カジノや大麻に頼るような「ブラック政府」になる前に、緊縮主義と決別し、真っ当な経済政策をとるようになってほしいものです。

長々と失礼しますた…
<(_ _)>

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【施 光恒】カジノと大麻と緊縮主義への6件のコメント

  1. 大和魂 より

    カジノ推進の本質も戦後から一貫して続く悪しき慣習の保身ですね。ついでに先月の国政選挙でも安全保障を優先するなら衆参同時選挙をするべきでしたが、結局は保身の為の選挙でしかありませんでした。となれば消費税増税を促進する連中もグローバリズムを歓迎する連中も主流派経済学を主張する連中なども同じく保身のためとなる訳です。そして、それが少子化の主因の国家不信になることに、もういい加減に気づくべきです。でないと修正不可能の後の祭りとなる訳ですよ。

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  2. たかゆき より

    飲む 打つ 買う、、

    最高のロマンじゃあ ないですか(たぶん)

    先の事は 思い煩うな 
    と 聖書にもあり、、、

    一期は 夢よ

    ただ 狂へ ♪

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  3. 斑存・フォード より

    >大麻解禁

     流石に200%当たりそうな先生の解禁ブーム予言。

    そして次に控える銃刀所持解禁!
    その先は大麻覚せい剤使用に因る銃刀乱射乱切りハイパー大量殺戮大事件!

    日本は恐怖政治に包まれ、おまけに国会審議は、タリラリラーンっのコニャニャチワっ!コニャニャチワぁーっ!
    ツケを回し日本を壊し続けるのはおもてなし政治家達連中自身なのだぁーっ!

    誹謗中傷者と、韓国との喧嘩に明け暮れる国家のどっちが大馬鹿者なのか?
    もうどうにもならない。by幹渓洋文(?)

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      1. ワシ本人ントン より

         悪魔に魂を売った日本政府。

        その連帯責任を喰らうのは日本国民。
        もうどうにもならない。by 幹渓洋文(?)

        しつこいコメントでした。

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  4. 山下國明 より

    健全な社会を考える会 第1報
    「パチンコ栄えて国亡ぶ」
    日本生産性本部2018年7月30付レジャー白書2018から引用しましたパチンコ市場についての下記数字をご覧ください。
     2017年のパチンコ売上(貸玉料ベース)19兆5400億円
    2017年のパチンコ参加人口:900万人 
    全日本遊技事業協同連合会(全日遊連)業界ニュースから引用
    2019年4月16日 時点
    全国営業店舗数:8,365軒
    全国パチンコ設置台数:408万8417台 
    2017年度のトヨタ自動車の売上が27兆5971億円と比べて、パチンコの売上が19兆5400億円、その他に競馬、競輪、競艇などがあり、日本はまさしくギャンブル大国であります。
     パチンコの年間売上を、月当たりに換算しますと1兆6283億円で、150万円の車108万台に相当する可処分所得が庶民の懐から吸い上げられております。 一日当たりにすると535億であります。

     商店街を歩いてみて、シャッターの下りた店が点在し、客足の寂しい不景気な商店主達を横目に、商店街の一等地にあるパチンコ店だけが、チンジャラと繁盛している状況を目にします。 パチンコに毎日吸い取られている535億円が健全な消費に使われれば、商店街の売上が増えてそれに伴い生産活動が上がり,街が活性化して、パチンコ廃止により生ずる失業を埋めるに足る健全な仕事が生まれます。
     
     経済構造の金の流れを血流にたとえるなら、大動脈がパチンコに破られ大出血を起こしている危篤状態で、景気刺激の輸血をしても効果はありません。 こんな大出血に日本経済はいつまで耐ええるのでしょうか???

     更に深刻な問題は、パチンコ参加人口の少なくとも1割(150万人)がパチンコ依存症(麻薬依存症と似た)と考えられ、それに伴う犯罪(コンビニ強盗、ひったくりなど)の増加、多重債務問題、家庭崩壊、自殺、両親の遊び熱中による幼児放置、虐待など、日本の社会が荒廃し、経済の活力を奪い、日本を破滅への道へと追い込んでいることです。

     韓国は、06年8月中央日報と朝鮮日報が社説でパチンコの弊害を取り上げ、2ヶ月
    後には国会でパチンコ禁止を法制化しました。 台湾では韓国より早く禁止しており
    ます。

     我が国の場合は、民主党は「娯楽産業健全育成研究会」 自民党は「遊技業振興議
    員連盟」の名のもとにパチンコを娯楽遊戯として振興育成しております。 またパチ
    ンコ業界の団体である「パチンコ チェンストアー協会」にアドバイザーとして、
    自民23名、民主8名 維新の党9名 無所属1名計41名の議員が名を連ねております。

     現在のパチンコ・パチスロ機はCR-AT機という非常にギャンブル性の高い機種で
    2時間ほどの間に数万円、スロットでは一日に10万円単位の勝ち負けも珍しくありま
    せん。 これは完全に娯楽の域を超えたギャンブルであります。

     更に、自民党では「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」があり、カジ
    ノの開設を推進しております。 日本の津々浦々に展開しているパチンコ・スロット
    機はカジノ顔負けの賭博性の高いものであります。 今以上に庶民をギャンブル漬け
    にしようとするのでしょうか???

     朝パチンコ店が開店する前から並んでいる人々や、閉店までパチンコに興じている
    人々がいます。 彼等は残念ながらパチンコ依存症に冒されている人々です。 この
    ように依存症をおこさせるパチンコを国中に展開させている政治が狂っているのでは
    ないでしょうか????

     パチンコ産業が、いかに日本を経済的に、社会的に荒廃に導いているかご理解いた
    だけたと思います。 私は、今年で89歳を迎えました、平均寿命を生かしていただき
    あと何年の命を頂けるか判りませんが、今の不健全な街を私たちの子供や孫たちに引
    き継がせるわけには参りません。 「パチンコ栄えて日本亡ぶ」を今後も叫び続けて
    参ります。 

     
    パチンコ栄えて国滅ぶ

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