コラム

2016年2月17日

【佐藤健志】プラカードには日本語を書くべし!

From 佐藤健志

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【耳寄り情報】

「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

『三橋さんは過激な発言をする人だと思っていましたが…』
 By 服部

“私は今年退職をして、世間から離れて行く様に感じていました。
そんな時、月刊三橋をインターネットで見つけ、三橋先生の
ご意見を聞くようになり、世の流れに戻る感じがしました。

月刊三橋を聞き始めて3か月になります。
最初は過激な発言をする人だなあと思って聞いていましたが、
今回の国債破綻しない24の理由を聞いて、
今まで何回も聞いていた内容が、私のように頭の悪い者でも
やっと理解出来るようになりました。有り難うございます。

これからの日本の為にも益々頑張って頂きたいと思います。”

服部さんが、国の借金問題について
理解できた秘密とは・・・▼▼
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php

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三週間のご無沙汰でした。
2月末、徳間書店より刊行される新著の仕上げ作業に追われ、記事を書く時間が取れなかった次第です。

この本については、追ってご紹介してまいりますが、
「僕たちは戦後史を知らない 日本の『敗戦』は4回繰り返された」
(祥伝社、2013年。http://amzn.to/1lXtYQM)の歴史分析と、
「愛国のパラドックス 〈右か左か〉の時代は終わった」
(アスペクト、2015年。紙版http://amzn.to/1A9Ezve、電子版http://amzn.to/1CbFYXj)の
政治分析を融合させ、さらなる領域へと踏み込んだもの。

過去数年の思索の集大成にして、新たな突破口となる本です。
ご期待下さい!

・・・さて。

朝日新聞デジタルに、こんな記事が画像、および動画つきで出ていました。

「みんな選挙に行って」 渋谷区で学生団体らデモ
学生団体「SEALDs」や首都圏反原発連合など25の市民団体が集い主催したデモが14日、東京都渋谷区であった。代々木公園近くをスタートした参加者たちは、音楽のリズムに合わせ「野党は共闘」「選挙に行こうよ」などと声を上げながら、約4キロの道のりを歩いた。渋谷のスクランブル交差点や表参道、JR原宿駅前では多くの通行人が、デモ隊にカメラを向けるなど、注目していた。
参加した都内の男子大学生(21)は「きっかけはデモでいい。沿道から見てくれていた人たちも、みんな選挙に行って、政治について考えてくれたら」と話した。
http://www.asahi.com/articles/ASJ2G6K53J2GUQIP00Z.html

むろんこれは、現政権に反対するデモです。
そのこと自体はべつに良いのですが、記事に添えられた画像(全5点)を眺めているうち、面白いことに気づきました。

参加者の持っているプラカードの中に、英語のスローガンが書かれたものがやたらと多い。
たとえば。

GO VOTE SAVE OUR FUTURE(選挙に行って未来を救おう)
NO WAR JUST PEACE(戦争反対、平和あるのみ)
FOR OUR FUTURE UNITE(未来のために団結しよう)
MAKE SOME NOISE TOKYO(東京から声をあげよう)
OUR FUTURE OUR CHOICE(未来はみんなで選ぶもの)
I can’t believe we are still protesting THIS SHIT(今でも、こんなことに抗議しなければならないなんて信じられない)
TAKE BACK DEMOCRACY(民主主義を取り戻せ)

それから1970年代初頭にジョン・レノンも唱えた、このスローガン。
WAR IS OVER IF YOU WANT IT(平和を願う心が戦争を終わらせる)

最後の部分は、別のプラカードに隠れてよく読めませんでしたが、
CHANGE THIS TIME FOR THE BETTER(今度は物事を良い方向に変えよう)
とおぼしいものもありました。

これにたいする日本語のスローガンはどうか。
民主主義は止まらない。それを望む人たちがいる限り。
安保法制反対
安倍政権NO!!!
平和好き 憲法好き 安倍嫌い
ぐらいしか見つかりません。
しかも英語のプラカードより数まで少ない。

いや、英語のスローガンの下に日本語が書かれている場合もありますよ。
画像には映っていないところに、日本語のプラカードがいろいろあった可能性も考えられる。
現に動画を見ると、「野党は共闘」というプラカードがけっこう出てきます。
だとしてもこのデモ、かなり「英語化」されたものであることは否めないでしょう。

とはいえ、なぜ英語なのでしょうか?
「みんな選挙に行って、政治について考えてくれたら」と言いますが、日本国の選挙権を持っているのは日本国民だけ。
わが国の公用語は日本語です。
「政治について考えてほしい」旨を、本当に訴えたいのであれば、プラカードのスローガンは日本語にしたほうが、よほど効果的ではありませんか。

MAKE SOME NOISE TOKYOとか、
I can’t believe we are still protesting THIS SHITなんて、
何を言わんとしているのか、意味の分からない人のほうが多いと思われます。

まわりの人々に理解されない恐れの強いスローガンをプラカードに書いてデモをすることに、いったいどういう意味があるのか、私は理解できません。
集団興奮で自己陶酔にひたることができればそれで良い、というのなら別ですが。

しかも施光恒さんが好著「英語化は愚民化」で指摘しているように、英語化推進は現政権が掲げる政策の一つ。
このデモに参加した人たちは、現政権反対を主張したかったんじゃないんですかね?!

「平和好き 憲法好き 安倍嫌い だけど安倍の推進する英語化は大好き」
そういうことなのでしょうか。

ついでに英語化の推進は、グローバル化の肯定と密接に結びついています。
世界標準の言語は英語である以上、いつまでも日本語ばかり使っていてはダメだ、という話なんですから。
わが国の大学において、英語による講義の割合を高めようとするプロジェクトが、「スーパーグローバル大学創生(支援)」と呼ばれているのは、決して偶然ではありません。

けれどもグローバル化は社会的な格差を拡大し、貧困の増加をもたらします。
ついでにSEALDsは、公式サイトでこうも主張している。

私たちが望むのは、格差の拡大と弱者の切り捨てに支えられたブラックな資本主義ではなく、豊かな国民生活の実現を通じた、健全で公正かつ持続可能な成長に基づく日本社会です。
http://www.sealds.com/#opinion

だったら、なぜデモのスローガンを日本語にしないのか。
豊かな国民生活は、豊かな国民文化を基盤にしなければ成立しません。
そして言語こそ、豊かな国民文化の中核。

この点を理解していたら、とてもじゃありませんが、現政権に反対するデモに英語のプラカードなど持ってゆけないはず。
安保法制の危険性だって、アメリカの世界戦略(何なら「グローバル・ストラテジー」と書いてもいいのですが)に巻き込まれる点にあったんじゃないでしょうか?

というわけで、今回のデモで英語のプラカードを掲げたみなさんには、この言葉をプレゼントしましょう。

TO ACT WITHOUT UNDERSTANDING WOULD LEAD TO THE VERY THING THE ACT SEEKS TO AVOID.
物事をちゃんと理解しないまま、やみくもに行動すると、意図とは正反対の結果が待っているぞ。

傑作SF映画「ブレードランナー」の使われなかった台詞です。
ではでは♪

<佐藤健志からのお知らせ>
1)英語化を推進する政権に、英語のプラカードで抗議するというパラドックスがどうして成立したかを理解するには、日本近代化にひそむ構造的な問題を考えてゆかねばなりません。それにはこちらを。

「夢見られた近代」(NTT出版)
http://amzn.to/18IWkvl(紙版)
http://amzn.to/1JPMLrY(電子版)

2)「古典喜劇に出てくる医学生に比べれば、革命派の博士たちのほうがラテン語を上手に操るようだ。ただし知恵がなく、処方箋がバカの一つ覚えという点にかけては、両者はいい勝負である」(288ページ)
無意味に外国語をひけらかす傾向が見られるのは、日本だけではないようです。

「〈新訳〉フランス革命の省察 『保守主義の父』かく語りき」(PHP研究所)
http://amzn.to/1jLBOcj (紙版)
http://amzn.to/19bYio8 (電子版)

3)この本が歴史的な影響力を持ちえたのは、ラテン語の格言などひけらかすことなく、アメリカ独立の理想を平易な英語で、分かりやすく説いたことに負うところが多いと言われます。

「コモン・センス完全版 アメリカを生んだ『過激な聖書』」(PHP研究所)
http://amzn.to/1lXtL07(紙版)
http://amzn.to/1AF8Bxz(電子版)

4)そして、ブログとツイッターはこちらをどうぞ。
ブログ http://kenjisato1966.com
ツイッター http://twitter.com/kenjisato1966

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「日本が国債破綻しない24の理由 ~国の借金問題という<嘘>はなぜ生まれたか?」
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 By 服部

“私は今年退職をして、世間から離れて行く様に感じていました。
そんな時、月刊三橋をインターネットで見つけ、三橋先生の
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