アーカイブス

2013年3月11日

【三橋貴明】TPP爆弾

————————————————————

●「いいね!」をくれた方には、三橋貴明の音声ファイルを
無料プレゼント。世界を読むための3つの原則とは。

三橋貴明の「新」日本経済新聞 公式Facebookページ
⇒ http://www.facebook.com/mitsuhashipress/app_109770245765922

————————————————————

FROM 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】

●国家観をなくしたという病
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11485779732.html

●爆弾
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11486510166.html

「TPPの問題は、交渉で何とでもなる! とにかく、取りあえず交渉に参加しないことには始まらない!」

などと叫んでいたTPP推進派の皆様は、息をしておいででしょうか。

安倍政権のTPP交渉参加に関する「判断」の日が近付いたこの時期になり、いきなり「爆弾」が次々に報道され始めました。

まずは、東京新聞が、日本がTPP交渉に参加すると、カナダ、メキシコ同様に、

「交渉を打ち切る権利は九カ国のみにある」

「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」

という「念書」にサインさせられる可能性が高いことをスクープしました。

さらに、岸田外務大臣が、3月8日の衆院予算委員会で、環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、新たに交渉に参加する国に

〈1〉合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない

〈2〉交渉の進展を遅らせない

〈3〉包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する

という条件が出されることを明らかにしました。

報道によると、TPP交渉は今後3月、6月、9月と三回に渡って行われ、10月のAPECで妥結という流れになっています。日本がTPP交渉に参加する場合、アメリカ議会による三か月間の審議、批准を経なければなりません。

というわけで、今、この瞬間に交渉参加を表明したとしても、日本が交渉に参加できるのは9月の一回限りという話になってしまいます。

しかも、過去に交渉参加国が合意した部分については「丸のみ」を強いられ、議論を蒸し返すことができない、と。

何しろ、TPP交渉参加国は過去三年間、幾度となく交渉と合意を繰り返してきたわけです。今さら新参者に過去の合意事項を変更させるなど、認めるはずがないのです。

無論、「外国」が決めた合意事項を丸呑みしても、あまりあるTPP参加のメリットがあるとでもいうならば、話は分かります。とはいえ、未だにTPP推進派は説得力のある「TPPのメリット」を提示していないのです。

ちなみに、上記の東京新聞のスクープについては、日本経済新聞も取り上げていました。その取り上げ方が、まことに面白い。

『3月8日 日本経済新聞「TPP交渉、後発国に「条件不利」 カナダなど伝達 」

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加している11カ国のうち、遅れて参加表明したカナダとメキシコが、 他の9カ国から交渉が進んでいる内容について再交渉を求めるのは難しいと通告されていたことがわかった。

カナダ、メキシコ両国政府から伝えられた話として、政府関係者が明らかにした。

日本が交渉に参加した場合、こうした条件が変わる可能性はあるが、早期に交渉に参加しなければルールづくりに関与できる余地が狭まる恐れがあることを示している。 (後略) 』

結構、日経新聞にとってもショックだったのではないかと思います。

「日本が交渉に参加した場合、こうした条件が変わる可能性はあるが、早期に交渉に参加しなければルールづくりに関与できる余地が狭まる恐れがあることを示している。 」

いやいや、条件が変わる可能性は無いでしょう。別に「新参者」が日本だったとしても、別の「新参者」であるメキシコやカナダに呑ませた条件を、多国間交渉で特定の国に対してのみ緩めるなどということは有り得ません。そんなことをしたら、カナダやメキシコが、

「ふざけるな! どういうことなんだ! なぜ、日本だけが優遇されるのだ!」

と叫びだし、事態がひたすら混乱していくことになります。多国間交渉においては、表面的にも「公平性」を追求しなければ、まとまるものもまとまりません。

もちろん、P9諸国と「新参者」の間には公平性は無いのですが、それはまあ、

「だって、後から参加してきたんじゃん。こちらはすでに何度も議論して、決めちゃっているんだよ」

という理屈が通ります。とはいえ、カナダ、メキシコに対して日本を特別扱いする理由は何もないのです。

すなわち、日本にとってのTPPとは、すでに「外国が定めたルールを丸呑みしてTPPに参加するか、参加しないか」の判断を迫られるだけの貿易協定になってしまっているわけです。

PS
潮出版社「防災立国–命を守る国づくり」が発売になりました(早速増刷になりました)
http://amzn.to/12BH6DF

PPS
「コレキヨの恋文」と「真冬の向日葵」の続編、
「希臘(ギリシア)から来たソフィア」が発売になりました。
amzn.to/VA5ZdG

PPPS
「良識派 vs 常識派で徹底分析 これが日本経済<<世界「超」最強>>の仕組み」が売れてます。また増刷になりました(三刷)。
http://amzn.to/13bYuxR

PPPPS
「ようこそ」のページから「いいね!」してくれた人には
三橋の特別音声ファイルを無料でプレゼントしています。

http://www.facebook.com/mitsuhashipress

メルマガに書ききれない号外記事をアップしていく予定。
「いいね!」を押して、メンバーになりましょう。

関連記事

アーカイブス

【小浜逸郎】歴史用語削減に断固反対する

アーカイブス

【上島嘉郎】ドゴールの箴言

アーカイブス

【佐藤健志】スーパーリッチが床屋に行くとき

アーカイブス

【藤井聡】危機に備え、「増税延期」と「大型景気対策」の準備を。

アーカイブス

【三橋貴明】道州制

【三橋貴明】TPP爆弾への5件のコメント

  1. よきひ より

    カナダ、メキシコのTPP交渉参加の条件については、野田政権の時から分かっていました。安倍政権に交代した際に、TPP交渉の情報も引き継がれています。先行9カ国が合意した条文はすべて受け入れるほか、交渉を打ち切る権利も9カ国にあるという屈辱的な交渉参加条件もご存じの上での、交渉参加表明です。今週以降、11か国からその条件が書かれた「念書」が届くはずです。その念書にサインすれば、「重要なプレーヤー」としてルール作りに関わることは不可能なのです!

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. 手塚康夫 より

    TPPには参加せざるを得ないのです。日本は米国の属国だから。安倍総理は日本独自の判断としての参加を表明ではなく あくまでも米国の強要であり 参加拒否は不可能であると云うことを 国民に明らかにすべきなのです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 高木正雄 より

    アメリカの保有している通常動力型空母3隻は退役しているが処分できない状態でいる。(カネがかかる)。詳細はWILL1月号に青木文鷹氏が「米、中古空母で中国に対抗せよ」として掲載されている。戦力向上は勿論であるが大災害時には大変役に立つ、被災地に近い海上に停泊しオスプレ−で救援活動すればよい。アメリカが処分に困っているのだから、それらを日本が購入する、ということはTPP交渉するについて大きな戦力になると思いますが、いかが。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. ああああ より

    安倍総理は訪米したとき聞いてたはずですよね。知ってて交渉参加表明したのか。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  5. すけきよ より

    どなたか教えていただきたい。日本の新聞、テレビ等が、あれほど安倍氏はTPPにすぐにでも参加、と勝手に囃したてておきながら、ここにきてTPPはちょいとヤバイという論調に変わりつつあるのは、もしかしたら安倍氏はこうなることを読んでいたのでしょうか?TPP反対派がマスコミを操作しているとも考えにくいのですが、安倍氏の本意もわからないので。自分は知識不足ながら、TPPには反対です。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界(前編)

  2. 2

    2

    【施光恒】伝統の意義と謙虚さ

  3. 3

    3

    【藤井聡】元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイクレポー...

  4. 4

    4

    【小浜逸郎】歴史用語削減に断固反対する

  5. 5

    5

    【藤井聡】「賃上げ」のための7つの対策

  6. 6

    6

    【三橋貴明】存在しない問題

  7. 7

    7

    【青木泰樹】濫用される経済論理

  8. 8

    8

    【三橋貴明】ルンバと議会制民主主義は似ている

  9. 9

    9

    【三橋貴明】経済学の効用

  10. 10

    10

    【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界

MORE

累計ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実

  2. 2

    2

    【藤井聡】「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク...

  3. 3

    3

    【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

  4. 4

    4

    【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人間の屑たち

最新記事

  1. 日本経済

    【島倉原】危うい「業績回復」の構図

  2. アジア

    【佐藤健志】慰安婦問題と日馬富士引退

  3. 日本経済

    【藤井聡】「賃上げ」のための7つの対策

  4. 日本経済

    【三橋貴明】存在しない問題

  5. 日本経済

    未分類

    【三橋貴明】経済学の効用

  6. 日本経済

    【青木泰樹】濫用される経済論理

  7. メディア

    【施光恒】伝統の意義と謙虚さ

  8. 政治

    【小浜逸郎】歴史用語削減に断固反対する

  9. 日本経済

    【佐藤健志】「痩せ太り」の経済、デフレ型の幸福

  10. 日本経済

    【藤井聡】元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイク...

MORE

タグクラウド