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2013年3月4日

【三橋貴明】TPP情報戦争

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FROM 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】

●TPP交渉参加に関する決議
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11480150004.html

●本当の日本国民
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11480915049.html

TPPを推進したい政治家、官僚、経済界、そしてマスコミの「手法」は以下の通りです。

◆TPPについて「農業問題の関税問題である」とミスリードする。

◆TPPが「聖域なき関税撤廃」が前提ではないと、吹聴する。

その上で、「コメの関税は守れます。TPP参加」と、TPP参加を既成路線化する。さらに、自民党議員の多数派を占める反対派について、

「あいつらは農業票目当てでTPPに反対しているんだ。農協の犬だ!」

とレッテルを貼り、反対の声を上げられないようにするわけでございます。

それにしても、安倍総理大臣がオバマ大統領と対談し、「聖域なき関税撤廃が前提ではないと確認した。今後、早いうちに判断する」と述べたことを受け、「全ての大手紙」が、

「TPP交渉参加表明!」

と見出しに書くわけですから、異常です。経済産業省や自民党の推進派を中心に、TPP参加に向けたミスリードが展開されていることは、あまりにも明らかなのです。

現実には、TPPは関税問題だけではありません。
原産地規則、貿易円滑化、衛生植物検疫、貿易の技術的障害、貿易救済、政府調達、知的財産、競争政策、国境を超えたサービス(法務など)、一時的入国、金融サービス、電気通信サービス、電子商取引、投資、環境、労働、制度的事項、紛争解決、協力、分野的横断事項と、
恐ろしく幅広い分野について、一気に「制度の統一」を果たし、統一市場を実現しようという試みなのです。
上記が「一気に」変えられてしまった場合、わが国の国民生活は激変し、日本がこれまで培い、守ってきた慣習、伝統、文化、ライフスタイルは失われ、我が国はめでたくアメリカ型の「市場中心」の社会へと変貌を遂げることになります。

特に、恐ろしいのは「投資」です。

TPPの「投資」分野は、政府の資料によると「内外投資家の無差別原則(内国民待遇、最恵国待遇)、投資に関する紛争解決手続等について定める」となっています。

外国の投資家を「内国民待遇」する。とんでもない話です。これがそのまま実行に移されると、例えば放送局の外資規制については、少なくともTPP加盟国については「撤廃」という話になってしまいます。どこの国でも、マスコミの中心であるテレビ産業に外資規制をかけるのは当たり前なのですが、それが「国際的ルール」として禁じられてしまうわけです。

さらに、投資における「紛争解決手続等」とは、もちろんISDのことです。訴訟大国であるアメリカとISDが含まれる投資協定を結んだ日には、我が国は「国民のために」規制等の法律を成立させることすらできなくなってしまいます。(やったらやったで、ISDで訴えられ、賠償金もしくは規制撤廃です)

すなわち、TPPは日本国民の主権の行方と結びついた大問題であるにも関わらず、TPP推進派は無責任に参加を煽り、「農業問題」に矮小化することで目的を果たそうとしています。

幸いなことに、自民党の反対派の議員たちは、TPPが「主権の問題」であることを認識しています。
だからこそ、「TPPに関する自民調査会決議」を公表し、TPPに関して守り抜くべき国益として「政権公約に記された6項目(六つの判断基準)」に加え、「医薬品の特許権、著作権等」「事務所開設規制、資格相互承認等」「漁業補助金等」「メディア」「公営企業等と民間企業との競争条件」と、「国益」を具体的に示したわけです。
それに対し、推進派は沈黙を守っています。TPPに日本が加盟したところで、具体的なメリットは何もないので、推進派としてはひたすら抽象論を叫び、マスコミを活用して「ミスリード」「レッテル貼り」「既成事実化」を積み重ねていくしかないわけです。

現在の日本は、情報戦争の最中にあります。しかも、わが国が「主権国家」として生き残れるかどうか、厳しい瀬戸際を戦っているのです。

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【三橋貴明】TPP情報戦争への6件のコメント

  1. 四季風 より

    TPPはアメリカの日本財産収奪が目的としか思えません。大東亜戦争・日米開戦がユダヤ人ルーズベルトの陰謀で有った様に、体の良いカツアゲだと思っています。一部の議員や高名な評論家などは日米同盟の強化になり、支那や北朝鮮からの防衛に協定でも有る、などと言う人もいるがトンデモ無いと思う。自国を防衛するのはその国民がすべき事。防衛強化に他国との同盟を結んでも、国の根幹・文化・歴史伝統・安定経済を破壊するTPPなどと云う持てる国に有利な条約は結ぶべきでは無いでしょう。アメリカは、支那や北朝鮮が日本恫喝を繰り返すのを、ほくそ笑んで見ているのでしょう。支那が強行になればなるほどアメリカに磨り寄る日本から、財産をふんだくってやろうと待ち構えているのです。英国が第二次大戦で劣勢に立たされていた時、一刻も早いアメリカの参戦を望み、それを冷酷に見透かしたルーズベルトはイギリスから取れる全ての権益を分捕ったのです。今回もそれとソックリだ。早く日本は核武装と巡航ミサイル・クラスター爆弾の再装備・軍備の重武装をすべきです。TPPに参加せず、機嫌取りにアメリカとは別な代替え経済交渉をした方が良いと思います。それにしても、安倍さんがTPP参加を表明してしまうのではないかと心配です。

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  2. 斉藤 より

    三橋さんのサイトで見たけど、念書はヤバイな。自民6か条があって一部業界の解放だけでいいと思ってたが、参加表明が罠とかwこれは、安倍さん交渉どころじゃなくなるな。ちなみにこの条約って今後発生しうる新業界も包括的に含むとすればマジやばいんだけど。

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  3. 三橋 智和 より

    初めて、メールいたします。3月4日放送の「TVタックル」は意見させて頂きました。なるほど、「TPPとは国家主権に関する問題である」と、認識しました。 国家主権を侵されれば、日本はまさにアメリカの犬に成り下がり、「51番目の州確定」となる気がします。私も、TPP参加に反対します。昨年、ニッポン放送の高島秀武さんの番組で、佐藤優さんが、「TPPとは、日米安保なんです」と言っておられました。 そこから出る結論は、「俺(アメリカ)が、おまえ(日本)を守ってやるのだから、俺の言いなりになればいい。おまえの物は、俺の物。俺の物は、俺の物。」としか聞こえないですね。 私もNPO法人を立ち上げ、「防災と防犯」について活動し「セーフコミュニティ」を推進しています。セーフコミュニティの観点から国のあり方を考察します。1.「自分のことは自分で守る」2.「自分がやれる範囲で、無理せずやる」3.「コミュニケーションが取れていると、有事の際に役立つ」4.「事故をデータ化して、次の事故を予防する」上記がセーフコミュニティの基軸です私は下記のように思います。(1).国防は最大の自助にあたり、他国をはじめからあてにせず、自国で防衛すべき。(2).出来ないことは出来ないとハッキリ断る事も必要。TPPに関して、アメリカ側は、「日本の軽自動車撤廃」を求めてくる可能性があります。軽自動車は、日本人の足であるので、引き下がってはいけないですね。(3).アジアの安定のためにも、中国・朝鮮を抜いたアジア諸国(親日国)と友好・交流を深める必要があります。国もそれを、日本国民に知らせる義務があります。(4).歴史上の戦争・災害などをもう一度分析し、諸外国を気にしない結論を出して欲しい。「日本人の思う真実」こそが、明日の日本の平和をもたらすと思っています。以上が私の思う所です。これからも、三橋様の事を応援します。つたない文章で失礼いたします。

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  5. 無知野狂介 より

     明治以降、流入してきたイデオロギー、社会共産思想は労働者を扇動し利用する勢力、自由思想は資本経営側を扇動し利用する勢力、無知が思考しているとなんとなく結局どちらとも、全体主義に向かっていく思想だったんだなぁ。とも思えてきます。 社会共産思想はデフレを推進し日本を破壊してきた、自由思想はTPPで食い荒らし尽くそうとしている。(反日勢力も加担してる結果になってる?) そして大衆は煽られ、民主党政権になって、その後は否定するしかなく、じゃぁ今度は、TPPに染めよう(日本を米に叩き売ろう)と扇動しっぱなしの報道機関は歴史的にも、戦争、民主党、TPPと次々と過ちを犯そうとしている(そもそも報道機関の上層部が左翼、自由、反日思想の人間しか居ないのか?)。と、報道機関に責任を擦り付ける文、私がおかしいのでしょうか。狂ったのでしょうか。隔離されるのですか。

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  6. Yuriya Kaito より

    しかしひどいな。大手マスコミがみんな米国の手先か?!「時には米国の手先。そしてまた時にはチャイナとコリアの手先」って?!なんたるありさま!!日本の巨大な宣伝機関がみんな、アイデンティティーを失っているんだ。三橋さんがおっしゃっていた「私が日本だ」「日本は私だ」という思考と情感が、日本社会の中にもっともっと必要だ。戦前に回帰するというのではない。時代も情況も違うから、そんなことできっこない。日々明日に向かって、未来に向かって、日本人にはもっと日本の思考と情念が必要なのだ。

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