歴史

2019年11月24日

【三橋貴明】国民のメモリー「歴史」を取り戻す

From 三橋貴明

【近況】

奈良県御所(ごせ)市の中西・秋津遺跡で、
およそ2400年前の大規模な
水田跡地が見つかりました。

すでに、佐賀県の菜畑遺跡から、
紀元前930年の水田跡が発見され、
さらには「最古の水田村」と考えられる
福岡県の板付遺跡が発掘されています。

日本の水田稲作は、
およそ3000年前に九州北部に伝わり、
その後、数百年かけて東進し、
2400年前の段階では、大和盆地で
大規模に営まれる状況になっていたわけです。

既存の、

「2300年前に渡来人が大挙して
 日本列島に流入し、水田稲作を伝えた」

なる通説は、完全に崩壊しました。

日本国民は、上記の「渡来人説」などの
古代史の「妄説」を否定していかなければ
なりません。
歴史を正すことは、
国民の記憶を取り戻すことです。

歴史とは、国民のメモリーです。
現在、国民のメモリーが
歪められている状況にある。

特に歪められている歴史が、大東亜戦争
(何しろ、呼び名まで
 「太平洋戦争」に変えられた)
と、古代史です。

古代史分野の歪みの解消は、
長浜弘明先生を先頭に、
ようやく始まったばかりです。

ちなみに、古代史分野では、
自虐史観ではない、
いわゆる「保守派」と呼ばれる
史家や論客も注意が必要です。

任那を認め、騎馬民族征服王朝説や
邪馬台国東遷説を否定する人が、
なぜか東征や神武天皇を「嘘」と言う。

「邪馬台国は九州北部」と正しい結論に
たどり着いておきながら、
卑弥呼と天照大神を比定する。

あるいは神功皇后の存在は認めるくせに、
やはり卑弥呼と天照大神を比定するなど、
支離滅裂な人が多いので、注意が必要です。

(※「比定」とは、否定ではなく、
 「同じであると類推する」という意味です)

いや、記紀も魏志倭人伝も後漢書も宋書も
三国史記も、とりあえずは認めましょうよ。
基礎資料の全否定から入って、
どうするのですか。

三橋に言わせれば、日本や中国、朝鮮半島の
史記を普通に読まず、「妄想」の強化のために
「つまみ食い」する連中は、
右も左も全員「自虐史観」です。

無論、記紀には年代が「現代の価値観」では
誤っているという問題があります。
(恐らく「春秋年」を使っていたため、
 一年が二年になっている時期が多い)

とはいえ、
最近は科学の発展や考古学的発見により、
記紀の記述が年代はともかく、
事実関係や「順番」は相当に正しいことが
判明しています。

あとは、客観的史料やデータから、
記紀の出来事の「西暦」を
特定すればいいのです。
(具体例は、明日のブログで)

ところで、12月12日-13日の
経世史論視察ツアー「歴史に見せられて、
myと辿る邪馬台国への道」では、
初日に「菜畑遺跡」と「板付遺跡」にも
行きます。

視察ツアーの光景は、経世史論の
特別コンテンツでご提供しますので、
ご期待ください。

【歴史音声コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

◆一般参加可能な講演会のお知らせ。

年末特別講演会
「京都大学大学院教授、
 元安倍内閣・内閣官房参与 藤井聡様」
2019年12月4日(水) 18:45~
東京都新宿区
【MMT (現代貨幣理論)を学び、
 日本経済を展望する】

◆週刊実話 連載
「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」
第346回 災害史の日本
なお、週刊実話の連載は、以下で
(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol548 デフレは「通貨現象」
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
デフレは貨幣現象ではなく、
「実体経済における通貨現象」という正しい
知識を国民や政治家が共有しない限り、
デフレ脱却は果たせません。

◆メディア出演

三橋TV 続々公開中です。

三橋TV第165回
【病院が暇なのは、良い事だ】
https://youtu.be/qyxrgxq_-ec
三橋TV第166回
【メディアは絶対に語らない「民主制」の真実】
https://youtu.be/ZjRqbDvT8vk
三橋TV第167回
【日本史上最も深い民主制の議論をしてみた】
https://youtu.be/r0wH3zlz6V4

11月25日(月) チャンネル桜
「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

◆三橋経済塾

お待たせいたしました。三橋経済塾第八期
第十一回対面講義を配信致しました。
是非ご視聴下さいませ。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=774
ゲスト講師は青木泰樹先生でした。
インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

◆チャンネルAJER 

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【三橋貴明】国民のメモリー「歴史」を取り戻すへの2件のコメント

  1. 嘘は許さない より

    >既存の、
    >「2300年前に渡来人が大挙して
     日本列島に流入し、水田稲作を伝えた」
    なる通説は、完全に崩壊しました。

    そもそも そんな定説なんか存在しなかったよ。
    考古学や遺伝学、人類学、文化人類学の進歩で記紀伝承が改竄・捏造されているのが明らかになっただけだ。

    最新のDNA解析で日本とその周辺の民族の出自がわかっている:

    DNA解析で現代アイヌ人は縄文人の直系の子孫だと証明されている:

    現代の日本人の遺伝子の 90% は朝鮮からの渡来人で、縄文系は僅か10%
    現代のアイヌ人の遺伝子の 70% は縄文系

    縄文人の起源、2~4万年前か 国立科学博物館がゲノム解析 2019/5/13

    東京でサンプルを取った本州の人々では縄文人のゲノムを約10%受け継ぐ一方、
    北海道のアイヌの人たちでは割合が約7割、沖縄県の人たちで約3割だった。

    国立科学博物館の神沢秀明研究員らは13日、縄文人の全ゲノム(遺伝情報)を解析し、
    縄文人が大陸の集団からわかれた時期が今から約2万~4万年前とみられることがわかったと発表した。

    国立遺伝学研究所や東京大学などと共同で、礼文島(北海道)の船泊遺跡で発掘された縄文人女性の人骨の歯からDNAを取り出して解析した。

    最先端の解析装置を使い、現代人のゲノム解析と同じ精度でDNA上の配列を特定した。
    特定した配列を東アジアで現在暮らす人々の配列と比べた結果、
    縄文人の祖先となる集団が東アジアの大陸に残った集団からわかれた時期が約3万8000年前から1万8000年前であることがわかった。

    縄文人は日本列島に約1万6000年前から3000年前まで暮らしていたと考えられている。
    3000年前以降は大陸から新たに弥生人が渡来し、日本列島に住む人々の多くで縄文人と弥生人以降のゲノムが交わったことがこれまで知られていた。

    今回の解析では、国内の地域ごとに縄文人から現代人に受け継がれたゲノムの割合が大きく異なることもわかった。
    東京でサンプルを取った本州の人々では縄文人のゲノムを約10%受け継ぐ一方、
    北海道のアイヌの人たちでは割合が約7割、沖縄県の人たちで約3割だった。

    現在のアイヌ人のY-DNA出現頻度調査まとめ
    D1a2* 81.25%: 縄文系
    D1a2a1 6.25%: 和人系
    C2 12.5%: オホーツク文化人系

    現在のニヴフ人のY-DNA出現頻度調査まとめ
    C2 38.1%: オホーツク文化人系
    O1b2 28.6%: 長江人系
    Q 19.0% : トルコ系
    R1a 9.5% : ロシア人系

    沖縄先住民は10世紀の段階で既に日本人に征服・レイプされまくって、言葉も日本語の方言の琉球語に変わってしまった

    現代琉球人 Y-DNAハプログループ比率
    D1a2*–45.1% : 縄文系
    O1b2-23.3%(旧表記O2b) :長江系稲作民
    O2—18.9%(旧表記O3):漢民族系
    C2—-1.5% :縄文系
    C1—-6.8% :縄文系
    O1b1–0.8%(旧表記O2a)

    現代日本人 Y-DNAハプログループ比率
    D1a2a–32% :以前は縄文系だと言われていたが、四川省の焼畑農耕民の可能性が高い
    O1b2-32%(旧表記O2b) :長江系稲作民
    O2—20%(旧表記O3):漢民族系

    韓国人のY-DNAハプロタイプの出現頻度
    漢民族 O2 : 43.3%
    長江人 O1:30.0%
    モンゴル系 C2: 11.3%

    現在の台湾の先住民系民族のY-DNAハプロタイプの出現頻度
    O2 11.7% : 漢民族系
    O1 :80.3% : 長江系

    現在の中国の自称漢民族のY-DNAハプロタイプの出現頻度
    O2 53.3% : 漢民族系
    O1 24.5% : 長江系稲作民
    C2 7.8% : モンゴル・ツングース系
    N 6.9% : トルコ系

    ____

    松本克己「日本語の系統とその遺伝子的背景」

    日本語は系統的孤立言語の一つとされていますが、ユーラシア大陸圏における10近い系統的孤立言語の半数近くが日本列島とその周辺に集中している、と本論文は指摘します。

    日本語以外では、アイヌ語・アムール下流域と樺太のギリヤーク(ニヴフ)語・朝鮮語です。

    本論文は、ユーラシア大陸圏の言語をまず内陸言語圏と太平洋沿岸言語圏に分類し、さらに太平洋沿岸圏を南方群(オーストリック大語族)と北方群(環日本海諸語)に分類します。系統的孤立言語とされる日本語・アイヌ語・ギリヤーク語・朝鮮語は北方群に分類されています。

    本論文の見解で興味深いのは、内陸言語圏と太平洋沿岸圏にまたがると分類されている漢語を、チベット・ビルマ系の言語と太平洋沿岸系の言語が4000年前頃に黄河中流域で接触した結果生まれた一種の混合語(クレオール)と位置づけていることです。

    また本論文は、太平洋沿岸言語圏がアメリカ大陸にまで分布している、と把握しています。

     本論文は、言語学的分類を遺伝学的研究成果と結びつけ、その系統関係を推定しようと試みている点で、伝統的な言語学とは異なると言えるでしょう。遺伝学的研究成果とは、具体的にはミトコンドリアDNA(mtDNA)ハプログループ(mtHg)とY染色体ハプログループ(YHg)の分類と、地理的分布および各地域集団における頻度で、本論文ではおもにYHgが取り上げられています。

    太平洋沿岸言語圏で本論文が注目しているYHgは、D・C・Oです。YHg-DとCは、出アフリカ現生人類(Homo sapiens)集団において、比較的早く分岐した系統です。YHg-Dの地理的分布は特異的で、おもにアンダマン諸島・チベット・日本列島と離れた地域に孤立的に存在します。本論文はこれを、言語地理学用語の「周辺残存分布」の典型と指摘しています。本論文はYHg-Cについても、Dよりも広範に分布しているとはいえ、周辺残存分布的と評価しています。

    本論文は、日本列島に最初に到来した現生人類のYHgはCとDだっただろう、と推測しています。しかし、本論文は地理的分布から、太平洋沿岸系言語と密接に関連するのはYHg-C・Dではなく、YHg-O1b(本論文公開時の分類はO2、以下、現在の分類名を採用します)と指摘します。YHg-Dが日本列島にもたらした言語は、人称代名詞による区分では出アフリカ古層系だろう、と本論文は推測しています。

    太平洋沿岸系言語と関連するYHg-O1bのサブグループでは、O1b1a1aが南方群、O1b2が日本語も含む北方群の分布とおおむね一致します。本論文は、アジア東部でもかつてはこうした太平洋沿岸系言語が存在したものの、漢語系のYHg-O2、とくにO2a2b1の拡散により消滅した、と推測しています。

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  2. 大和魂 より

    お言葉ですが、三橋先生の周辺にもかなりの反日勢力の影が乱立しています。そこはスルーすれば歴史の歪みや財務省の闇を批判出来ないと思いますが、いかがでしょうか。また、それは桜の連中とて矛盾しているし、我が国の核心の難しい問題です。さてさて、どうするか人間性が問われる重大事項です。

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