政治

日本経済

2022年10月27日

【藤井聡】物価高なのに賃金下落――今ほど「消費税減税」が求められる状況はない。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

岸田氏は「消費税減税を検討しない」と言明しているのですが、これほど驚くべき事態はありません。なぜなら今ほど消費税減税が求められる経済状況等滅多になく、したがって普通の国の普通のリーダーなら消費減税を行うにきまっているからです。というか実際、アメリカをはじめとした実に多くの国々が消費税(というか、付加価値税)やガソリン税の減税・凍結を行っています。

したがって、その言葉が本気なのだとしたら、我が国総理はホントに何も分かっていない愚か者か、もしもそうでないとするなら国民の利益の事等なにも考えない相当邪悪なワルイ人物だ、という事になってしまいます。

本当に残念な話ですが、なぜそこまで言えるのかについて、ここでは解説したいと思います。

まず、物価高対策において消費税減税ほど効果的なものはありません。今、消費税を凍結すれば、その瞬間に全ての商品の価格が10%の消費税分引き下がる事になります(厳密に言えば、理論的には11分の10の水準に、9.1%引き下がります)。

しかし、そうなれば、中長期的には、人々の消費が活性化されると同時に賃金が引き上がり、それらを通して、かえって物価高(つまりインフレ)の状況となってしまいます。

つまり消費税減税は、短期的には物価を引き下げるものの、中長期的には物価を引き上げる方向に作用するのです。

で、もしも日本経済の基調がインフレであり、その上で輸入価格の高騰を受けてさらにインフレになっている、という(現状のアメリカやヨーロッパのような国々の)状況であるなら、消費税を引き下げることは、かえって、元々存在していたインフレ基調を「構造的に加速する」ことになります。

したがって、そんな元々インフレ基調の国にとっては、消費税減税は、短期的にはメリットはあっても、中長期的にはより深刻なインフレをもたらすリスクがあるのです。

だから、アメリカ等のウクライナ情勢が起こる前の状況でインフレになってしまっていた国々では、軽々に消費税減税を行うことをためらう……ということは十分にあり得る話なのです。

実際、アメリカでは、(ガソリン税の凍結は行ったものの)消費税等の間接税の減税については必ずしも積極的ではないのです。

ところが日本は……輸入価格の高騰が始まる前の経済は、構造的なデフレ状況に陥っていた「世界でたった一つの国」。だから日本は、消費税減税の帰結として考えられる「中長期的なインフレ圧力」という、消費税減税の唯一のデメリットについて全く考えなくてもよい「世界でたった一つの国」なのです。

というよりむしろ、構造的なデフレ=物価と賃金下落に悩まされ続けている日本において求められているのは「構造的なインフレ圧力」。だから、消費税減税の諸外国にとっての「中長期的なインフレ圧力」というデメリットが、我が国日本においてのみ「有り難いメリット」として作用するのです。

すなわち、構造的なデフレに苛まれ続けている今の日本は、消費税減税を何のデメリットも受けないままに、メリットだけを享受する形で進めることができる状のです。

それはまるで、普通なら「背脂たっぷりラーメン」なんて、短期的には美味いから皆食べたいけれども、そんなの食べてばっかりいたら肥満になっちゃうから食べちゃダメ……だけど、ガリガリに痩せ細ってたくさんの脂肪を身に付けなきゃいけない、という特殊な状況にある人にとっては、美味いし、脂肪もつくし、一石二鳥だ!ってくらいに素晴らしい食事になる、という話と同じ。

今の日本は、デフレでガリガリに痩せ細ってるんだから、「背脂たっぷりラーメン」くらい食えばそれでいいわけです!(もちろん、おなかを壊さない程度に、というのは大切ですがw)

それにもかかわらず、岸田氏は、「またそんなの食べたら肥満になるから、凄く食べたいけど、食べちゃだめだよなぁ」なんて言ってる、脂肪分が少なすぎてガリガリになって死にそうになってる愚者と全く同じなわけです。

……

繰り返します。

今の日本は、物価が高いだけではなく、構造的に賃金が下落し続ける構造的デフレ状況にある。そんな中、消費税減税を行えば、物価が引き下げられるのみならず、消費が活性化し、各社が賃上げを進める状況ができ、構造的に賃金が上昇していく帰結となるのです。そして、長期的にはインフレ圧力がかかり、構造的なデフレ状況から脱却していくこともできるのです。

だからこの状況で消費税を減税しない総理大臣は、何も分からない馬鹿か、それとも国民を虐めたくて虐めたくてしょうがない邪悪な輩か、その二つに一つだ、と断ずることができるのです(あるいは、その両方か、もあり得ますが 笑)。

岸田氏が、馬鹿でも邪悪でもないことを心から祈念したいと……思います。

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こうした論説にご関心の方は是非、当方の『表現者クライテリオン編集長日記』をご購読下さい。例えば、今週はこんな記事を配信しました(本日の上記メルマガは、先週金曜に配信したものです)。ご関心のものだけでも是非ご一読ください。

トラス首相を辞任に追い込んだのは、消費税減税ではなく「法人税減税」である。
https://foomii.com/00178/20221026081442101130

徹底解説:「インボイス」がなぜ、そんなに“ヤバイ”ものなのか。
https://foomii.com/00178/20221024160502101060

「岸田文雄」と「超絶に無能なくせに出世だけはする同級生K」
https://foomii.com/00178/20221022134924100988

消費税減税を「検討」すらしない岸田文雄氏は、無能過ぎて患者を死亡させ続けている札付きの超藪医者と何ら変わらない。
https://foomii.com/00178/20221020132201100903

岸田流“無為無策”で確実に滅びつつあるニッポンを救うために。
https://foomii.com/00178/20221019095845100852

“ザイム真理教”トレンドワード入り(笑)。
https://foomii.com/00178/20221018065113100808

『岸田首相:円安メリット生かす1万社を支援』報道に寄せて ~なぜ岸田総理は”弱きを見捨て強きを助ける”のか? 
https://foomii.com/00178/20221016134613100731

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【藤井聡】物価高なのに賃金下落――今ほど「消費税減税」が求められる状況はない。への1件のコメント

  1. 岸田氏 は、、 より

    馬鹿 邪悪 そして
    無知 無能

    あんな お方が 総理 大臣
    素敵な お国で しね

    って  あんなのを 選ぶ
    国民が 無知無能
    で ござい まうす ♪

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