政治

日本経済

2021年12月31日

【藤井聡】日本には、大晦日・お正月という素晴らしいシステムがある。今年を振り返り、来年への決意を新たに致しましょう。

From 藤井聡@京都大学大学院教授

いよいよ年の瀬、そして、お正月、ですね。

毎年毎年いろいろなコトがありますが、この時期になると、紅白歌合戦とお屠蘇とおせち、そして初詣と里帰り、今年は「ガキつか」が無いことが少し異なる風景となりますが、それ以外は、いつも通り、という方が多いのではないかと思います。

当方個人で言うと、朝まで生テレビの元旦スペシャルに登壇する、ということで、大晦日、今年最後の最終新幹線で東京に参上し、文字通り朝まで(1:50~5:50)、正月早々、改革主義者の竹中平蔵氏や、デフレは人口減少が原因だと主張される藻谷浩介氏らと討論するということで、普段と少し違う時間が流れますが、その直後の新幹線で京都にもどれば、いつもと同じ時間が流れる予定です。

当方、この日本独特の大晦日・お正月と言う文化的制度上の一段国家的イベントを、幼少の頃から50回以上繰り返して参りましたが、その経験を通して今改めてしみじみと思うのは、この大晦日・正月システムが日本に未だ残存していて、ホントに良かった、という点です。

今やもう、日本人は人間というよりも、(仏教で言うところの)修羅どころか畜生、餓鬼の領域に堕落しつつあります。

上も下も、聖も俗もなく、そして、清も濁も何も、品性のかけらもない、まさに「今だけカネだけ自分だけ」と言われる様な輩が政界、官界、財界、メディア界、学界、そしてあろうことか日本の国軍たる自衛隊、さらには宗教界にまで蔓延しつつあります。

そういう世情を見るにつけ、絶望的な気分に苛まれておられる方も少なくはないと思います。

しかし、大晦日からお正月にかけてのこの日本を被う時空はまさに、誰の目にも明らかな形で聖と俗、清も濁を国民的に実体験出来る一大国家行事となっているのです。

大晦日は一年の俗悪なるもの全てが噴出するかの様なエネルギーに満ち満ちています。

この大晦日では、この俗世の一年の流行歌を皆で聞き、カネを欲しがる女性達を「巴投げ」することで下着をテレビに晒す「ネプ投げ」なる企画が茶の間を席巻したり、「笑ってはいけない」で尻を叩かれ倒す芸人達を見ては大笑いし、街の喧嘩紛いの殴り合いで血みどろになる男達を見て興奮する……まさに、祈りや願いとは無縁の108つの煩悩が噴出するのがこの大晦日という瞬間です。

そして、その煩悩の俗欲が、年の瀬に近づけば近づくほどに膨張し、歌謡曲やお笑いや喧嘩騒動の乱痴気騒ぎがクライマックスへと向かっていきます。

そして、その俗欲の膨張が頂点に達するのが年の瀬の間際12月31日の23時59分59秒……ところが、開けて1月1日の0時0分になった途端、除夜の鐘が鳴り響き、人々が口々にこう叫び出します。

「明けまして、おめでとう御座います!」

そして人々は皆和やかに晴れやかな表情を浮かべ、互いに新しい年を祝福します。

老若男女、老いも若きも男も女も、皆、一様に同じ気分に浸るのです。

そしてその気分のまま、あらゆる人々が普段の仕事や喧噪を忘れ、寺社仏閣になだれ込み、祈りを捧げるのです。

それはまさに数学で言う双曲線の不連続点の赴きです。つい今し方まであったあの大晦日の俗欲に塗れた気分がウソのように消え去り、晴れがましい祈りの時空へと相転換するのです。

あらゆる清濁、上下、聖俗が溶解し始めたこの日本で、この大晦日からお正月にかけてのこの瞬間ほどに、国民全員が「カネ」や「自分」に対する我執を忘れて文化的象徴的宗教的な時空を共有する一大国家行事は、「公的行事」、あるいは「宗教行事」は存在しません。

そして、この時空に身を浸した日本国民は皆、煩悩と俗欲に塗れた大晦日と、祈りと聖なるものに包まれた正月の強烈な対比を、その身をもって体験するのです。

その中で人々は「明けましておめでとう」という“おまじない”を互いに口にしあうことで、その人物の精神は「今だけ、カネだけ、自分だけ」の俗悪なる精神から首の皮一枚で、逃れ得る縁を得るのです。

だから、紅白歌合戦やネプ投げ、ガキつかや格闘技からの除夜の鐘、初詣という国民的一大国家行事のお陰で、聖俗の別、上下の別、清濁の別を理解しうる力が、僅かなりとも大なり小なり日本国民全員の精神の内に涵養されているのであり、日本人の精神が文字通り畜生や餓鬼にまで堕落することがぎりぎり回避されているのです。

絶望ばかりが目立つ昨今ではありますが、この大晦日からお正月にかけてだけは、僅かな希望を見いだすことが出来るような心持ちになります。

人はパンのみに生きるにあらず、今だけカネだけ自分だけで生きるにあらず、そんな当たり前の真実を、普通の日本人達の振る舞いから実感を持って感得できる唯一の機会がこの大晦日でありお正月、という一大行事なのです。

日本はまだまだ、捨てたモノではないのかも、知れません。

ついては読者の皆様も、そんな日本に残された最後の聖なる祈りの力を高めるためにも、初詣に行くだけでなく、大晦日に一年を振り返りつつ、元旦に一年の計を立てられては如何でしょうか。

今年こそはダイエットに成功するぞでも、今年は必ずあの試験に合格するぞでも何でも構いません。この聖なる時空の中の祈りと決意は、大きな力を持ち得るのです。

僭越ながら当方は毎年そうした一年の計を元旦に書き記し、壁に貼り付けて日々を暮らしております。

2021年は、消費税減税を実現させる空気を徹底的に形成する、という願いと決意をしたためておりましたが、誠に遺憾ながら、その最終目標であった「減税実現」にまでは至りませんでした……。

が、今年だめでもまた来年と今、この大晦日の時空の中でその決意をまた新たにいたそうと考えています。

ついては是非、皆様も今年一年を振り返り、来年如何にすべきなのかをこの一大国民的行事の時空の中で考えられてはいかがでしょうか。

……そうこうしている内に、今年もあと半日を切りましたね。

今年はどういう大晦日の夜になるのでしょうか、とても楽しみです。

では、今年も一年、このメルマガでは大変お世話になりました。
来年一年も、精一杯頑張って言論活動を続けて参りたいと思います。

それでは皆様、よいお年を!!

追伸:2021年の言論を、最大の国民的課題である緊縮とコロナの二点に絞り、こちらで総括してみました。新しい年を迎えるにあたり是非、皆様もこのテーマについて総括されてはいかがでしょう、是非、来年も宜しくお願いします!
『言論総括2021:新年を迎えるために今年の「半自粛」&「反緊縮」運動を赤裸々に総括します』
https://foomii.com/00178/2021122611114289027

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【藤井聡】日本には、大晦日・お正月という素晴らしいシステムがある。今年を振り返り、来年への決意を新たに致しましょう。への3件のコメント

  1. この世は既にあの世 より

    朝生を動画で少し見てみたのですが、小川、津田の意見に同意。きちっと分配をやればGDPに拘らず生きていけるということです。同じ事や過去に戻ろうとしても成果は出ませんので、発想の転換、概念の転換が必要ですね。

    いつまでも古臭いものにこだわらず、既得権益を壊して、津田の言う様に「どうするのか?」「どうやって先へ進むのか?」を議論しなきゃなりませんね。

    古臭いものにこだわっているから悪くなる一方だと思います。先ずは長寿国をやめること。老人ばかりいて、老人ばかりに予算をつけても仕方ありません。貧困老人は別ですが。

    なので、津田の言う様に頭のかたい中高年、順番で行ったら老人から淘汰すべきであり、所得保障、ベーシックインカムですね。GDPが膨らんでも分配の機能が働かない構造になってるので、身分制度を問題視してる論者は良かったですね。また安倍の間違いや誤魔化しである「一億総活躍批判」は良かったですね。老若男女強制労働による労働生産性は0.8。

    竹中平蔵は分かりやすい説明でしたね。一方松田や三浦瑠麗はまるでダメだね。

    藻谷氏の考え通り、やはり古い樹、老人の樹が成長したからといって経済成長したとは言わないですから、老人を既得権益から排除すべきですし、大企業などの古く甘えの体質の既得権益は淘汰して行くべきですね。

    しかし自民党じゃ出来ないのは今日までが証明してます。が、自民党が積極的に日本社会を壊してくれますからアリかもですね。

    安倍信者の猫の親父ブログってあったんですが、恐らく1年前くらいに死んだんでしょう。ザマアと思いましたね。そんな感じで糞爺ィの樹は自然淘汰されます。通常は老人から先に死ぬので、老人が自民狂信者になろうが安倍信者を続けようが彼らは先に死ぬので、まともな中年は老人なんか説得しようとは思ってません。

    まあ、今年も全体として悪くなることはあってもそれ以外は何も変わらないですね。

    安倍の話は私は聞かないですね。8年くらい総理をやって日本をダメにした輩の話を聞いても無意味。どうせ2012年の時みたいに「第一次安倍政権下では、PB黒字化目標まであと少しだったんです」とか「これは第二次安倍政権の成果です」などと安倍は宗教の教祖染みた自慢話みたいなことを言っとるんでしょう。

    百姓根性の連中が安倍や高齢者に媚びながら運動をやりたいならやればいいですが、そんなものに参加したりする時間や金は、人生、特に青春を謳歌する時間においてムダです。

    粛々と野党に投票するだけでいいですし、古臭い中年や頭がかたくて、既得権益にいつまでもしがみつく老人が時代を作るわけじゃありません。

    古臭いものと言えば「日米同盟」もありますし、大家族や職場のしがらみ、個人主義的な社会化の進行で壊されたものもありますから、それに沿った政策、考え方が求められます。

    初詣、年越し蕎麦、盆や正月、オリンピック色々ありますが、安倍と今の高齢者で作った多様性や多文化共生の今からの時代には、別に各個人はそれら行事や慣習わにこだわらないことですね。民族大移動で混むし、宿などが正月料金などで不当に高いだけですし、テレビもろくに見ない時代に突入です。この様な行事に便乗した無意味な詐取に何の意味もないでしょう。

    田原や水島、経団連会長、ナベツネ、麻生、管、二階、こんな役立たずにいつまでもぶら下がっていてはいけない。既得権益を取り上げ、相手にしないことから始めるべきですね。

    その為には新聞をとらない、NHK料金は払わない、買わない、読まない、見ない、この様に出来ることから始め、既得権益をぶっ潰して行きましょう。

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      1. 日本晴れ より

        この世は既にあの世 さん

        藤井先生はあなたのような日本人を批判してるんですよ
        お正月なのにお正月らしいことをしてないし、日本のお正月を否定してるし

        返信

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  2. 日本晴れ より

    あなたは長文いい加減うざいし邪魔です
    君は保守でも無いのになんでこのサイトに粘着してるのか
    あなたの文章からは保守や日本人の欠片も感じないし
    いつも長文で荒らさないでください

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