From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表
地方出張に行く機会があり、いろいろな方々からお話を伺ってきましたが、多く聞こえてきたのは地方の窮状でした。無論、それは新型コロナショックに起因する来客減、売上減に関するものですが、あるお店を経営する社長からは、「これまではなんとか持たせてきたが、9月以降はもつのか全く自信がない。」といった趣旨のことをおっしゃっていました。
観光客が多く来訪するある商店街のようなところでは、ある程度の来訪客は見られたものの、お店に入って品物を吟味して購入に至るような客は非常に少ないようであり、実際にあるお店の方に聞いたところ、売上にはつながっていないとのことでした。
確かに、お店に入ろうにも、やれマスクをしてくれだのビニール製の手袋をしてくれだの言われては、客の側からすれば特段の必要性でもない限り入る気も失せてしまうでしょう。それでなくても7月1日からの根拠なきレジ袋の有料化は消費者の負担を増やすだけでなく、消費意欲も減退させています。(詳しくはこちらの三橋先生と私との対談動画をご覧ください。 https://youtu.be/25RqV0UHKUA )
一方で、お店の方も、「あの店でコロナが出た」などとは言われたくない、実際に感染者が出てそう言われてしまっては、その土地で商売を続けられなくなってしまうかもしれない、それを防ぐためには出来る限りの対策をせざるをえない、それで来客が減り、売上が落ちても仕方がない、そんなところでしょう。
観光客が集中する地域から少し離れた飲食店では軒並み「県外の方お断り」の張り紙が見られました。本来であれば県外からの来訪客による売上も加われば尚嬉しいと内心は思っているものの、先に示したような理由・考えでそうした張り紙を貼り出さざるをえないといった状況なのでしょう。
すなわち、こうした対策も張り紙も、「よくやっているじゃないか」とか「当然だ」といったように評されるものではなく、形を変えた、表現方法を変えた、「地方の悲鳴」なのです。
ある医療関係者の方が、「風邪菌のコロナの新型というだけなのだから、早くインフルエンザと同等という意識(つまり季節性の風邪ということ)になって欲しい。」という趣旨のことを言っていました。つまりは本来そこまで恐れる必要はないものだということなのですが、ここまで新型コロナに対する恐怖が広まってしまっている今日、それをといて「季節性の風邪と同等」という意識にまで戻すのは、余程の平衡感覚をお持ちの人でもない限り容易ではないと思いますから、それはそれとして頭に起きつつも、まずは「地方の悲鳴」、事業者の悲鳴をしっかり受け止めて、それに応える更なる対策を検討し、講じることが最優先です。
具体的には、毎度毎度繰り返しますが、失われた粗利の100%補償、そして消費税の減税です。前者についてはその方法は持続化給付金の拡充でも総合給付金の新設でもいいです。手っ取り早くというのなら、取り急ぎ、条件付きで最終的には返済不要になる融資という形でもいいでしょう。後者については、8%ではなく最低でも5%、一番望ましいのは0%です。消費税は消費者の負担軽減のみならず、事業者、特に中小零細事業者の負担の大幅軽減にもつながります。
こうした事項を含む提言は、ご承知のとおり、自民党の安藤裕衆院議員が会長を務める議連「日本の未来を考える勉強会」が何度か提出していますが、中々完全な形では緊急経済対策に反映されるまでに至っていません。それは、端的に、多くの国会議員や霞が関の官僚たちには「地方の悲鳴」が聞こえていないからなのではないでしょうか。
その理由としては希望的観測や楽観主義の蔓延や、構造改革教条主義の蔓延といったこともあると思いますが、やはり様々な「ノイズ」が邪魔をして聞こえなくなってしまっていることも大きいのではないかと思います。
したがって、「地方の悲鳴」を永田町・霞が関に、ある種轟かせるためには、事業者の方の様々な形での情報発信が重要ですし、読者の方々がお友達やお知り合いの事業者の方に声を挙げるように背中を押してあげること、そして、窮状や「悲鳴」を聞いた読者の方々がそれをSNS等で積極的に発信するといったことも重要です。
このままで地方は更に衰退し、ひいては日本全体が衰退・沈没してしまいかねません。これを機会に意識を新たにしていただければ。
室伏謙一×三橋貴明の
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【室伏謙一】国会議員たち、官僚たちよ、「地方の悲鳴」は聞こえているのか?への4件のコメント
2020年9月2日 12:14 AM
一企業ならカンパニー制、独立採算制はメリットもあろうかと思いますが、公共性の高いものにそんなものを取り入れて、景気が悪くなってきたら身動きが取れなくなってくるのは、疎い俺でも分かる。
いつまで、日本のこんな状態を野放しにしておくんでしょうかね?
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2020年9月2日 7:41 AM
もう、あきらめた
相変わらず自民支持、安倍続投できないのは残念…
データを見ないでマスコミの色眼鏡の評価をそのまま受け取る人が多すぎ…
データを見せても無視したり考えようとしない人が多すぎ…
なんで、共産革命が起きたのかよく分かるが、その共産党なんかも分断と格差(党員と党員でないもの)の象徴でしかなく経世済民や国民所得の向上、国富増進とは違ったもの…
今や軍事力の技術進歩で、国軍に対して革命なんてのも不可能でしょうね…
革命が良いなんて思いませんが、何しろ次の受け皿の方が大事で、革命政権にそれが上手に作れないことの方が大多数の例示が示していますしね…
民主主義もまっとうに機能しないことが新自由主義化でほぼ証明されてきているような気がしますしね…
(もともと欠陥のある制度なのは存じていますが…)
あきらめずに戦える方を尊敬いたします…
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2020年9月3日 3:01 AM
あーあ毎度のごとく戦後の日本社会の欺瞞を放置したままでの政策転換とは凄いねぇ政治学者諸君!つまり日本の元凶は御厨貴などのカス学者のせいなんですよ!こんなのが雲隠れしたふりしながら維新の連中とか橋下徹とか小野泰輔とか菅義偉みたいな馬鹿と連携しながらそれを実行して失敗するんだから、いい加減バカバカしくなり勘弁してもらいたいよ!これつまりは表面的に画策しても中身がスカスカ状態の都構想とかカジノと同じ構図。ならばそれは仕組み自体を変えないとなんの意味もないのよねコレ!それでよく結果云々とかマジで辛くて勘弁してくれよ!!
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2020年9月3日 9:14 AM
新コロなるものは、今後変異等で確定はできのないのでしょうが、現時点では冬風邪程度の認識です。
新コロによる死は、解剖等の精査はせず陽性者なら新コロが原因で死亡と報告するようです。もちろん、医療現場の忙しさからそこまでは難しいでしょうが、新コロが「原因」で死亡したと言える基準があるのですかね?これが陽性なら新コロで死亡とするなんてものだと、陽性者が交通事故で死んでもコロで死亡と報告される冗談が生きてきます。強度の問題で他の死因も考えれるが、陽性者なら新コロになってしまう可能性を排除できない。
この原因の特定は多くの科学者、医学者などの合意で形成されるものと思いますが、現時点ではどれほど一致しているのか疑問です。ここら辺は一般人にはわからないところです。
私が最も注視しているのが、無症状感染はほんとにあるの?です。これによりかなりの人の行動が制限されます。これのドイツ論文は難ありのようです。厚労省は台湾論文を根拠にしていますが、三橋さん達のグループで調べていただくと有難いものです。
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