From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
こんにちは、京都大学の藤井聡です。
当方が編集長を勤めています表現者クライテリオンの
最新刊の特集テーマは、「日本外交の大転換」。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
対米従属外交、媚中外交、弱腰外交・・・等と言われ続けた
我が国の外交を「大転換」しなければ、
日本の復活などあり得ない―――
これがこの特集の出発点です。
言うまでもありませんが、
外交において「友好」は極めて重要です。
ですが、「紛争」も辞さず、
あえて「対立」を深める姿勢もまた、
絶対的に必要です。
そもそもあらゆる諸外国が、
日本を上手に使って利益を得てやろうと、
虎視眈々と狙い続けているのです。
「詐欺師」や「泥棒」とどれだけ仲良くしても、
搾取され、収奪される他ないのと同じように、
利益を掠め取ろうとしている諸外国に、
どれだけ媚びてもどうにもならなりません。
しかし、今日の日本政府は、
外交とは、ただひたすらに
「友好を深め」「対立を回避」することだと、
認識し続けているような振る舞いを日々積み重ねています。
そしてその結果、国益を失い続けるのみならず、
国家の威信を地に落とし続けています。
例えば、安倍内閣が肝いりで進める「貿易交渉」ですが、
そもそもそんな「貿易交渉」にどのような「利」があるのかを
全く持って曖昧にしたまま、
ただただ「仲良く協定を締結する」ことだけが国益だと誤認し
TPPや日欧EPA、日米FTA等を軒並み推進し続けています。
中国に対しても、
ただひたすらに「日中外交」を重視して、
ウイグルやチベット、
そして台湾や香港の問題について
中国政府を非難しようとはしていません。
韓国にしても、レーダー照射され、
「不当な言いがかり」でもって
日本国民の民間施設が不当に搾取され、
売却されてまでいるのに、
口で批難こそすれ、具体的な報復には至っていません。
ロシアにしても、
プーチンとの会談何回だけは多く、
「経済協力を仲良く進める」
ことを繰り返し呼びかけてはいるものの、
北方領土問題が一向に改善しないどころか
むしろ、「四島一括返還」の旗を降ろすなど、
大きな禍根を残す判断を繰り返し、
事態はさらに悪化しています。
日本国内について言うなら、
米ソ中の工作員が、
日本の世論を操作しようとする工作をどれだけ続けようとも、
それを排除しようとする具体的な取り組みは、
全く行われていません。
そしてアメリカについては、
どれだけ不当な扱いを受けようとも、
「日米同盟の強化」なる空悟のみを叫びながら、
あらゆる事柄について、
アメリカの指示に半ば言いなりとなる
対米追従の姿勢を崩してはいません。
例えば、トランプの指示を受ける様な格好で
イランとアメリカの中を取り持つために
何日間もかけてイランにまで出かけた挙げ句、
滞在中に日本タンカーが攻撃を受けるなど、
イランとアメリカの間の「非難」合戦は、
日に日に激化しています。
誠に情けなきことに、
そんな非難合戦を繰り返す姿からは、
わざわざ首相がイランにまで出かけた
日本側に対する敬意などほとんど何も見られません。
あるいはトランプを国賓扱いし、
ゴルフやって相撲を一緒に見たり、散々接待し、
「強固な日米同盟が確認できた」なぞと言った尻から
トランプにはいきなり日米同盟「破棄」が言及され、
シーレーン防衛について直接名指しで非難される始末です。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-25/PTMUOE6TTDS801?srnd=cojp-v2&fbclid=IwAR1mck8iK1jVI8kPSUbG0n1v3CN-mdGdfFH5yzCgOu0wlZ-CpRL4_Dj5waA
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-24/PTLZVG6K50XZ01?fbclid=IwAR3emAW-_uJKCkqZ-BIMaiJyFrZbTyAXE5peCNeELyVQs7_k19cl9z8V99M
かろうじて北朝鮮に対して経済制裁を加えたり、
ファーフェイ問題について厳しい対応をとったりしていますが、
それらはいずれも、
アメリカの振る舞いにただただ、
つき従っているだけでしかありません。
要するに日本は、
「仲よくしよう」
「ことを荒立てないようにしよう」
としているだけで、
外国の言いなりになる他、何もない、と言う様な
情けない外交を展開し続けているのです。
これはもはや、
「外交」と呼べる代物ではありません。
外交とはそもそも、
融和と同時に「対立」を通してぶつかり合いながら、
両者の間の勢力の「均衡」を目指そうとするもの。
にも拘わらず、とにかく対立を回避し続ければ、
ただただ、収奪され、はく奪され、従属・隷属する以外に
何も起きないのです。
果たして、私達は、
この情けなき「日本外交」を、
「転換」することはできるのでしょうか―――?
それができるとすれば、
まずは、私たちの外交が如何に情けなきものであるのかを、
過不足なく認識することが全ての出発点になります。
そのためにもまず、
日本外交を様々な角度から論じた
表現者クライテリオンの最新号
「日本外交の大転換」
を是非、ご一読頂きたいと思います。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/
中国、韓国、アメリカ、ロシア―――
そういった国々との間で、
どのような非常識としか言い様の無い
外交が展開されてきているのか―――
是非、ご一読頂く事を通して、
しっかりと現実をご認識頂きたいと思います。
追伸:
隔月発刊の「表現者クライテリオン」は、危機と対峙する、日本唯一の「保守思想誌」として、毎号、あらゆる側面から日本をどうすれば立て直すことができるのかを考え続けています。是非下記より定期購読、お申し込みください。
https://the-criterion.jp/subscription/
【藤井聡】「事を荒立てず、仲良くしようとする」だけの、情けなき日本外交。への1件のコメント
2019年6月27日 1:41 PM
藤井先生の言うように相手がどこだろうと
日本に危害や損害を与えるなら日本も藤井先生の言うように相手がどこだろうと
日本に危害や損害を与えるなら日本もそれなりに反撃報復しますよというのがなきゃまともな外交は出来ない。常に譲ってばっかで
譲という事は日本の国益も譲るのと同じ事だと思います。
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