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2015年4月6日

【三橋貴明】不真面目な発言

From 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

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【今週のNewsピックアップ】
●ウルトラC
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12008701087.html

●成長を否定する政治家
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12009596826.html

実は、国民経済とはそれほど難しいものではありません。

「生産者がモノやサービスという付加価値を【生産】し、誰かが消費・投資として【支出】し、【所得】が創出される」
「生産面のGDP、支出面のGDP、(所得の)分配面のGDPの三つは必ず等しくなる(三面等価の原則)」
「支出面のGDPは、【民間最終消費支出】【政府最終消費支出】【民間住宅】【民間企業設備】【公的固定資本形成】【在庫変動】【純輸出】の合計である」

上記の三つを完璧に理解するだけで(大して難しくないと思いますが)、国民経済のおカネの流れ、厳密には所得創出の流れが七割がたは理解できると思います。

逆に、上記が理解できていない人は、経営や家計簿はともかく、「経済」について語る資格はないと思うわけです。

彼の菅直人は、官僚から政府が歳出削減をすると、GDPの政府支出が減り、マイナス成長になることを指摘され(当たり前ですが)、
「え? ムダを削ってマイナス成長って、どういうこと?」
と発言したと、報じられたことがありました。経済成長とはGDPが増えることであり、支出面のGDPには「政府最終消費支出」「公的固定資本形成」という二つの歳出が含まれている以上、
「歳出削減をすると、GDPがマイナス成長になる」
など、小学生でも理解できる基本でございます。

さて、甘利経済再生担当大臣は、先日、歳出カットは国内総生産(GDP)の下押し圧力となると、「事実」を指摘した上で、
歳出カットが成長に資するというようなウルトラCも含めて取り組んでいきたい」
と、頭の中で体操選手が難易度Cに挑戦しているため、脳細胞の動きが混乱しているのではないか、と疑いたくなるような物凄い発言をしていました。

何と言いましょうか、不真面目です。

なぜ、普通に「GDPを成長させるために財政支出を拡大する」という発想にならないのか、不思議でなりません。

もっとも、自民党には河野太郎のように、とにかく成長をガン否定し、PB黒字化や歳出削減に持ち込もうとする緊縮財政派が少なくありません。結局、現在の自民党では、正しい財政政策によるデフレ脱却は果たすことができないのかも知れません。

とはいえ、世の中とは不思議なもので、「環境」が人間のちっぽけな思想や戦略を吹き飛ばしてしまうことが、ままあります。

日本の場合、何しろ生産年齢人口対総人口比率が低下していっているため、人手不足が深刻化し、政府が何もしなくても、あるいは「歳出削減」をしていてすら、インフレ圧力が強まって来る可能性があるわけです。

もちろん、政府が歳出削減をすると、デフレ脱却の時期が遠のくことになりますが、いずれにせよ人口構造上、我が国は将来的にはインフレギャップ化せざるを得ないのです。

この種の「基本知識」を国民に、特に政治家にインプットしていくことこそが、大げさな書き方をさせて頂くと、三橋に「神様が与えたお仕事」だと考えているわけでございます。何しろ、困ったことに他にはほとんど誰もこの手のお仕事をやっておりませんもので。

PS
「日本のデフレギャップは、政府が財政出動で埋めようとしない限り、埋まらない!」
にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

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【三橋貴明】不真面目な発言への4件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    奇策と言えば、真珠湾攻撃の革新的だったことのひとつに、港湾の浅瀬で航空魚雷により戦艦を撃沈するという技術・技量があったと思います。でも、そんな「ウルトラC」も、戦争を勝利に結びつけられたのでしょうか。戦艦4隻撃沈スゲースゲーでは、国を救えません。今の日米戦、TPP、われらがウルトラCどのに、このような戦術と戦略が見えているかどうか。この先半世紀の日本が大きく左右されそうに思います。

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  2. (仮)端池 碧 より

     毎回楽しみに、そして興味深く拝読させて頂いております。 もう数年間三橋氏、各氏の鋭く中身の濃いレポートに触れ頭が慣れてきましたので、ニュースや新聞を見ていますと逆に頭が混乱してしまう事があります。 甘利大臣はお酒を飲んで発表したのでしょうか? お酒を飲むなら某大臣のように日本の国益を守るお仕事をしてもらいたいものです。 それにしても日銀は2%のインフレを達成できずにどう責任をとるのでしょうか? 三橋氏のように”論理的な”説明をしてもらいたいですね。   話は飛んで財務省のHPなのですが、三橋氏が仰っていた格付け会社への返信のページが消えています。(少なくとも私は見つけることができませんでした。 以前はあったのに) 返信書を書いた人と日銀の重要人物・・・・、何か関連があるのでしょうか? ああ、誰か知っている方いませんでしょうか。

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  3. 匿各希望 より

    要するに、「経済について語る資格のない小学生未満の理解力しかない政治家・国民に対して経済の知識を授けることは、三橋が神から授かった大切な仕事」ということですね。さすが三橋先生です。頑張ってください。^^

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  4. 神奈川県skatou より

    >日本の場合、何しろ生産年齢人口対総人口比率が低下していっているため、>人手不足が深刻化し、政府が何もしなくても、あるいは「歳出削減」をして>いてすら、インフレ圧力が強まって来る可能性があるわけです。いやまったく、このまま政権が「あまり何も決めず」、日本のもともとの力によってなんとかやや景気回復してしまい、「デフレ期の歳出削減」の愚を自覚するチャンスを逃してしまうというのは、歴史的に人類が賢くなるチャンスを失うようでうれしさ半分のような気がしないでもないです。・・・なにもしない政府がいい政府??「ボクは原子力に詳しいんだ!」そういやウルトラCどのは、去年だか9月にはV字回復と言ったり、消費の落ち込みは天候が影響とか言ったりしたそうですが、TTPなんぞ任せたら日本の将来に影響を残す、すごいウルトラCを決めるのではないかと、少々不安であります。奇策は点であり面でなければ線でもない、のかと。

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