政治

2016年11月4日

【三橋貴明】崔順実逮捕、ブレグジット、そしてTPP

From 三橋貴明@ブログ

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【お願い】

いつもご愛顧を賜りまして誠にありがとうございます。

この度、三橋貴明公式サイトをリニューアルすることになり、
現在の「三橋貴明の『新』日本経済新聞」というタイトルも一新することになりました。

そこで、いつもご利用いただいているあなたに
そのタイトルを決めていただきたいと思っています。

ご協力お願い致します。

https://jp.surveymonkey.com/r/G7F2NKX
※期限は11/6(日)までです。

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 韓国で朴槿恵の「親友」であり、
元・後見人(故・崔太敏)の娘である崔順実が、
職権乱用の共犯と詐欺未遂の容疑で逮捕されました。

韓国のケーブルテレビ局JTBCによると、
朴槿恵は崔順実に日韓の外交文書
(2013年、安倍総理の訪韓時)まで
渡してしまっていたということで、
なかなか洒落になりません。

 機密漏洩のみならず、
そもそも崔順実氏および元夫の鄭允会は、
朴槿恵の背後から政界の人事に介入するなど、
「黒幕」ぶりを大いに発揮していたことが
明らかになっています。

 94年に亡くなった崔太敏は、
キリスト教系新興宗教団体
「大韓救国宣教団」を設立したり、
新興宗教「永生教」の教祖に収まるなど、
胡散臭さが半端ない人物なのですが、
崔太敏と娘の崔順実が朴槿恵に近づいたのは、
陸英修(朴槿恵の母親で、朴正煕の奥さん)が
暗殺された時点(1974年)ですから、
「癒着の歴史」も半端ありません。

 朴槿恵大統領は、本日、「談話」を発表するそうですが、
辞任無しで乗り切れるかどうか、難しい状況だと思います。

 朴槿恵大統領の支持率は9.2%。
わずか一か月前の34.2%から一気に下落し、
ついに10%を下回ってしまいました。

 ところで、ロンドンの高等法院が、
イギリスのEU離脱について議会の承認が必要との
判断と下したことを受け、英国ポンドが急騰しました。

 イギリス議会はEU残留派が主流だったため、
議会承認が必要となると、テリーザ・メイ政権の
ハードブレグジット(強硬なEU離脱)が
困難になるのではないかという「期待」に基づいているようです。

 日本にしても、イギリスにしても、
為替レートは「投機」「期待」で
動いてしまうわけでございます。
 
 さて、山本農相の発言問題で、
採決が延期になったTPPですが、
本日、衆議院の特別委員会で、
締めくくりの総括質疑と採決を行いたいとする与党と、
反発する野党との間で駆け引きが続いています。

『TPP国会承認求める議案 採決めぐり駆け引き続く
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161104/k10010755231000.html
 TPP協定の国会承認を求める議案と関連法案をめぐって、
与党側は、4日、衆議院の特別委員会で、
締めくくりの総括質疑と採決を行いたいとしていますが、
民進党は山本農林水産大臣の一連の発言に反発して欠席する方針です。
与党側は民進党に対し、4日中の衆議院通過は
見送る方針を説明して出席を呼びかけるなど、
駆け引きが続く見通しです。(後略)』

 政局ではなく「内容」の議論をメインにして欲しいと思うわけですが、
残念ながら日本の政治レベルはそれほど高くはありません。
(唯一、共産党がまともな質問をしているようですが、あまり報じられません)

 例えば、TPPの第二十五章は「規制の整合性」ですが、
各締約国の主権はある程度認めつつも、
「規制措置を策定する手続きに関する機関相互間の協議」などにより、
規制の整合性を円滑に実現することを求められます。

 TPPが発効になると、各国は規制について全面見直しを求められ、
「日本の国内規制に関して、なぜそこまでやらなければならないんだ」
 という感想を覚えること必至の状況になります。

 しかも、TPP内に「規制整合性小委員会」が設置され、
各国の規制をチェックし、各国が取り組むべき規制緩和などを
「勧告」してくることになるのです。
小委員会に対しては、利害関係者(要はグローバル企業)が
意見を提供する継続的な機会を与えることになっているのです。

 わかりやすい例を挙げておくと、例えば小委員会で日本の
「遺伝子組み換え作物に関するパッケージ表示」という
規制が槍玉に上がれば(上がるでしょう)、
日本は規制措置の必要を説明し、
小委員会から規制緩和の勧告を受けないように「努力」しなければ、
パッケージ表示の規制を維持できなくなる可能性があるという話です。

 何で、日本国内の規制について、
いちいち外国の機関やグローバル企業の顔色を
窺わなければならないんだと思われるでしょうが、
そもそもTPPとはそういう協定なのです。

 このままTPPが批准され、アメリカの議会も通り、
発効になると、我々は623ブレグジット前のイギリス国民と
同じ思いを抱き続けることになるわけです。

「なぜ、日本国内の法律や規制を、日本国民の主権に基づき、決められないんだ。
なぜ、外国の企業や機関のいうがままに、国内法を変えなければならないんだ」
 と。

 もっとも、大東亜戦争敗北後の長き「平和」の中で、
日本国民は「主権の重要性」を次第に忘れていきました。

 今回を機に、日本国民が「主権」について
正しく意識するようにならなければ、
たとえTPPがアメリカ大統領選挙の結果を受け、
終焉に向かったとしても、同じような事態が
繰り返されることになってしまいます。

 それにしても、イギリス国民が
「主権を取り戻すために、EU離脱」
という決断をしたのと同じ年に、
我が国は「主権献上」の色が濃い
TPP批准の議論を国会でやっているわけです。

本当にわが国は「周回遅れなんだなあ」と、
つくづく思い知らされました。

—発行者より—

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★★★★★:毎日父さん様のレビュー

いつも日本人はお花畑が治らないなと思ってましたが、
世界とこんなにも違う人種なのかと改めて考えさせられました。

日本の常識は良いも悪くも世界の非常識なのだなとつくづく思いました。
こんな世界で日本人は存続していけるのかと疑問を持ちました。

月刊三橋最新号
「2016アメリカ大決戦〜グローバリズムと反グローバリズム、勝つのはどっちだ?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php

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【三橋貴明】崔順実逮捕、ブレグジット、そしてTPPへの3件のコメント

  1. 學天則 より

    無理な統一と分裂と戦乱これが隣の中国という国の歴史です。その結果、歴史はズタズタになり、今でも国家としても民の心もバラバラ。それは欧州でも中世に起こった事、主権国家の誕生だ。巨大化した組織をガバナンスする場合は一部の特権階級だけでは無理なのは歴史が証明している。最低限の基本ルールに皆が合意できなければそんな組織に帰属意識が生まれず、自治もなくなる。その最低限のルールを実現するの要はハード基盤でありフランス式の民衆革命ではない産業革命以後、国民国家がやれて主権国家が安定した。産業革命がなければ主権国家も成長による管理対象の複雑さにより崩壊していたでしょう。フランス革命が成功したのは産業革命を起こしたイギリスがモデルにあったからではないか?グローバリストだナショナリストだと言ってるがそんな物ではなく連中は会議から排除すべき、只の嘘つきですよ。ガバナンス出来ない組織統合はしてはマイナスでしかない実務面から考えて、おかしい話だ。

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  2. 拓三 より

    私が米国ならば、TPPはもうお役御免で御座います。そもそもTPPはミンス党政権時、これ以上日本の資産、つまり米国の資産を支那から守るための別件政策なのであります。ただし米国は日本の資産を支那経由で吸い取っていたにも関わらずなんて傲慢な。しか〜し! そこで現れた米国の救世主! 70年飼いならした戦後右翼政権が日本に誕生したではありませんか!(戦後右左は同じ穴の狢狐) これでTPPはお役御免なのですが政権は違えど一度は米国に背いた国家。容易く信じる事は出来ません。まず極右のナショナリストと脅し、間髪入れず様々な踏み絵を踏ませようとした訳で御座います。(上下関係を認識させる当たり前の行動)すると戦後右翼政党は戸惑うどころかスキップし自ら踏み絵を踏んでいくではありませんか。これには米国も信用を通り越し疑念を覚えたのであります。(何か裏が、それとも唯のバカ)そこで米国は最終兵器の踏み絵である「従軍慰安婦」をダメもとで置いたのであります。これは流石に国家の頂としては踏む事は出来ないだろうと思っていた矢先!スキップしながら何事もなく踏んで..行…く….あ..べ…。米国はこう思ったでしょう。『ただのバカ』….そしてめでたくTPP解除。これを見ていたロシアのプーちゃん。このバカなら北方領土を返還せんでも返還、支那、北朝鮮、をちらつかしたらカネ取れると判断した事でしょう。チャンチャン!最近、こう言うゲスな妄想に耽る今日この頃で御座います。

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  3. 神奈川県skatou より

    TPP反対していた自民党議員の先生方がいつのまにか安倍政権万歳になってしまってまったく論理的帰結がわからないのですが、もしかすると我々の見えてない壮大か、荒唐無稽な別チャネルの構想により正当化されている、ということなのでしょうか。(国民に明かせない宇宙人との戦争に勝利するためとか)(そのためには日本の主権は大したことないとか)違う土俵での正当化だと話は通じない訳で、ならばその世界がどれぐらいまっとうなのかが気になります。中野先生が地政学にも言及するご本を書かれたとのこと、中野先生の観点からも意味不明ならば、それはかなりの「奇策」のたぐいかもしれません。奇策は点であって、戦術未満であり、戦略ではない。真珠湾の浅瀬で航空機からの魚雷攻撃で対米戦を決めてやる、ぐらい、どうでもいい些末なものに国家の命運を預けているということになりそうです。

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