日本経済

2019年11月26日

【室伏謙一】国家公務員の劣化が止まらない

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 

 前回は公務員叩きという愚行に対する警鐘を鳴らすお話をしました。今回は、「劣化が止まらない」とは、今度は一転して公務員叩きでもするのか⁉︎と思われた方もおられるかもしれませんが、勿論そんなことはありません。

 今回は、公務員叩き、公務員制度改革という美名の下で進められた日本の公務員制度破壊の結果どのようなことが起こっているのかについてお話ししたいと思います。

 かつて、と言いますか私が霞が関の世界に入った頃は、いわゆる国家公務員試験と言えば、外務省や個別の専門職試験は別として、Ⅰ種試験、Ⅱ種試験及びⅢ種試験でした。Ⅰ種試験はいわゆるキャリア官僚の試験で、各府省の幹部候補の採用試験です。Ⅱ種及びⅢ種試験はいわゆるノンキャリの試験で、それぞれ中級、初級とされています。それ以前は上級職甲、上級職乙、中級、初級と4つに分かれていました。キャリア試験は上級職甲で、これが後にⅠ種試験に、上級乙と中級を再編したものがⅡ種試験になりました。ちなみに、上級乙に合格して国家公務員になったノンキャリの職員は、ノンキャリの中でも上位クラスなので、基本的に皆さん最後は本省課長級の職(地方支分部局の場合は部長であったり所長であったりします。)に就いています。

 さて、この国家公務員試験、公務員制度改革の結果どうなったかと言えば、総合職試験と一般職試験の2つに再編されました。総合職については院卒者と大卒者で試験が微妙に異なるようですが、いずれにせよ総合職ですし、試験内容の話なのでとりあえず無視します。

 問題は、総合職とか一般職という意味不明な名称もさることながら、その内容が易しくなったこと。当時の人事院の説明では、確か人物重視とのことでしたが、人物面と能力面の両方が求められるはずのところ、人物重視とはどういうことでしょうか。

 試験内容が以前に比べて易しくなるとどういうことが起きたかというと、それまでⅠ種試験に絶対受かることはないような人たちまで受かってしまうということが起きました。(別に馬鹿にしているわけではありません。単なる事実です。)

 それに、波はあるものの長年続いた公務員叩きと、国家公務員の給与が、その仕事の内容(ハード、長時間労働等)に比して外資系金融やコンサル会社等よりも著しく低いことから、優秀な学生が国家公務員を目指さずに、そうした外資系金融やコンサル会社へ流れるようになり、その傾向が強まってしまったことが加わり、人物についてはともかくとして、能力的には劣るが易しくなった総合職試験に受かっちゃった人が集まるようになってしまいました。

 数年前に聞いた話ですが、一昔前なら、東大法学部の学生の就職希望の職種の第1位は司法試験を受けて法曹になるかⅠ種試験を受けてキャリア官僚になるかだったそうですが、今や、法曹が1位なのは変わらないですが、2位にコンサル会社や外資系金融がきて、キャリア官僚は3位になってしまったとのこと。もしかしたら現状ではキャリア官僚になるというのは4位以下になっているかもしれません。

 無論、学生たちの国のために働きたいという志が弱まっているというか、そうした志を持った学生が減ってきているのかもしれませんが、衣食足りて礼節を知るとの格言にもあるとおり、働きに見合った給与がもらえなければ、働く動機が下がるのも仕方がないと考えた方がいいでしょう。(国ためにという志が弱まっている背景は背景としてありますが、そちらはまた別の話なので、今回はこれ以上は立ち入りません。)

 そんなこんなで官僚志望の優秀な学生が減少していっているわけですが、毎年新人を採用していかないと国の行政が継続できなくなってしまいます。ということで、優秀ではない学生でも採用せざるをえないというのが実情。無論、中には少数ながらも優秀な学生はいるわけですが、そうではない学生の方が多くなり、国家公務員、特にキャリアの劣化が年々進行し、止まるところを知らないとでも言えそうな状況になってしまっています。

 当然のことながらその傾向が見られるのは課長補佐以下の人材。ベテランの国会議員秘書さんからも、ホント役人の質が落ちたという話がよく聞かれます。例えば経済産業省、この役所は劣化の代表格のようなところですが、私的に分かりやすい表現で言えば、通商産業省の頃は天下国家を語れる有能な人材が多かったし議論していても実に面白かったですが、経済産業省になってからはカタカナ語にかぶれ、目先のことしか考えないようなつまらない小者がばかりになってしまいました。(もちろんみんながみんな、というわけではありません。)

 この間に起きた事は何でしょうか?そう、中央省庁等改革と公務員制度改革です。簡単に言えば、こうした緊縮政策、構造改革によって劣化は引き起こされたことが、経済産業省を例に考えるとよく分かるわけです。(このあたりをもっと知りたい方は、三橋TV第126回「緊縮財政という悪夢の始まり「中央省庁等改革」」をご参照ください。https://youtu.be/1G1A_eWJrCA

 そして、劣化した官僚たちの中には課長補佐で辞める人も少なくありません。そうした人たちが近年多く就いているのが、外資系企業や新興のICT関連企業のアドヴォカシー担当、早い話がロビイストです。当然給与も上がります。そうした連中がレントシーカーの先棒を担いで日本の劣化をも進めている、というお話でございました。

 (余談ですが、私も公益を大前提にしてはいましたが、規制改革とビジネス、新たな制度とビジネスという視点で、役人を辞めた後、民間企業で仕事していましたから、側から見れば同じかもしれません。しかし、社会的な影響を無視して自分のところだけ儲けられればいいなんて考えは持っていませんでした。企業にとってあからさまな独り勝ち狙いは、攻撃の対象になりえますし、そもそも自分さえ良ければいいという発想は、日本の老舗の大企業ではあまり見られませんでした。しかし外資系企業や新興企業は別のようで、そうしたところに劣化したヤメ官僚は次なる活躍の場所を見出すことが多いようです。なんともはや・・・)

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【室伏謙一】国家公務員の劣化が止まらないへの2件のコメント

  1. たかゆき より

    でも しか 官僚 ♪

    官僚に でも なるか
    あるいは

    官僚に しか なれない。。

    そのうち デモ シカ 議員で 溢れ

    日本国における 政 官 の 構造は

    内部から溶解

    戦後レジームの完成を見る のだ

    南無南無

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  2. 大和魂 より

    室伏先生がおっしゃる核心は、天下の財務省とその関係者ですよね。それは三島由紀夫にしろ赤木俊夫も、武士道にゆる大和魂の持ち主で、決して妥協する事無く、素晴らしい見事な決断を為されました。 因みにわたくし事ですが、財務省が絡む年金は、受け取りません。なぜなら、そこまでして物乞いする方が恥だからです。

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